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「LTE対応」のノートPCが少ない理由

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/11/21
「LTE対応」のノートPCが少ない理由: 画像 © ITmedia NEWS 提供 画像

 こんにちは、日本HPでPCの製品企画を担当している白木智幸です。この連載では、もはや知り尽くされていると思われがちなPCの意外な一面をメーカーにいる“中の人”の観点で紹介しています。今回はLTEに対応するノートPCについて、素朴な疑問にお答えしたいと思います。

 このごろ、大手通信事業者(MNO)ではなく仮想移動体通信事業者(MVNO)──いわゆる“格安SIM”と呼ばれる安価なモバイル回線を気軽に契約できるようになりました。以前に比べて回線契約のハードルが下がったので、「ノートPCでもLTEが使えたら便利なのに……」と考える人も増えたのではないでしょうか。

 しかし、市場で販売されているPCの仕様を確認すると、LTEに対応するモデルが非常に少ないことに気が付きます。その理由は、ノートPCを利用する多くの“状況”がWi-Fi利用に適していたからと私は考えています。

 スマートフォンは“歩きスマホ”が社会問題化するほど、移動中の利用が中心です。時には電車のように高速で動いている状況でも安定して通信できる必要があります。LTEをはじめとするモバイルネットワークは、一番近くて適した基地局に接続を切り替えながら通信できるので、移動中でも安定してインターネットにアクセスできます。

 一方、ノートPCの場合は歩きながら使う事はまれです。1つの場所にどっしりと腰を据えて使うケースが多いでしょう。さらにノートPCの画面で利用するコンテンツは、スマートフォンよりもデータが大きくなる傾向があります。このような場合は、大量のデータを高速に転送できるWi-Fi(と、その背後にある固定回線)が有利であるといえます。

 最近はビジネスやプライベートでも動画コンテンツの活躍する場面が増えてきました。商品やサービスを紹介したり、ユーザーがその効果を調べたりするときに、動く映像の説得力はインパクトがあります。当然、動画を再生する場合はデータ量も大きくなりますので、LTEに比べて低消費電力で高速に通信できるWi-Fiのほうが効率は良いのです。

 ところが、最近はLTEで通信できるモバイルPCに注目が集まりつつあります。どういった点が評価されつつあるのでしょうか?

●LTE対応PCが注目される?

 その理由の1つが、働き方改革推進のために通信のセキュリティを向上させるという目的です。悪質なハッカーがPCに侵入する手段として、偽のフリーWi-Fiスポットを立ち上げ、接続してきたPCまたはスマートフォンで入力されたIDやパスワードなどの情報を抜き取ってしまうという手口が横行しています。

 皆さんも公共のWi-Fiスポットに接続するときは慎重になっていると思いますが、注意していても意図せずして接続されてしまう可能性もあります。悪質なWi-Fiとは知らずに、ネットバンキングなどにログインしてIDやパスワードが盗まれたら……怖いですよね。

 この場合、企業はWi-Fiを使えないようにしてLTEだけに制限することで、通信の安全性を確保できます。LTEの通信は簡単に傍受されないよう強固なセキュリティで保護されていますから、通信経路の安全性を高められます。さらにユーザーのブラウザレベルで暗号化通信の利用、企業などの場合は専用回線やVPN(バーチャルプライベートネットワーク)といった技術を組み合わせることで、より安全性を強固に高められるでしょう。

 もう1つが、ネットワーク常時接続の実現です。GoogleドライブやOffice 365などクラウドベースのアプリを普段から利用している方であれば、作業にネットワーク接続が必須。ノートPCを立ち上げて毎回スマートフォンでテザリングをオンにするよりも、安価なデータプランのSIMカードを差し込んでおき、PCを開けば即ネットにつながる方が便利なのは明白です。

 PCの紛失時にも、LTEが搭載されていれば位置を特定できる可能性が高まります。さらに、スリープ中でも通信できる「モダンスタンバイ」(旧Connected Standby、旧InstantGo)対応のPCなら、スリープ状態でも通信ができるので、将来的にさまざまな応用ができる可能性があります。

 LTE回線は通信事業者が提供する回線なので、場所によって設置環境が異なるWi-Fiのネットワークに比べれば圧倒的に信頼性が高く、いつでも安定した通信ができるネットワークといえます。

 働き方改革やクラウドを活用しての効率化を進めていく中で、クラウドやメッセンジャーアプリを利用する機会も増えているため、LTE通信機能が搭載されたノートPCや2-in-1デバイスが求められる状況も以前と比較すればだいぶ増えています。今後は、LTEが使えるノートPCやタブレットも有力な選択肢の1つになるのではないでしょうか。

 ※スマートフォンは画面が消えている状態(待ち受け状態)でポケットに入れている状態でもLINEやメッセージの着信があればすぐに画面がONになり、通知がされるのが普通です。これは、見た目にはまるで電源が切れているような低消費電力の状態になっていても通信機能が機能しているために、こういった通知が行えます。コネクトスタンバイまたはInstant Goという機能を搭載したノートPCであればスリープ状態からの復帰も非常に早く、アプリがスリープ状態でも通知できます。

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