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ニコンのZマウント初号機「Z 7」の実力は?

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2018/10/18 07:00
ニコンの「Z 7」 © ITmedia NEWS ニコンの「Z 7」

 とうとう来ました、ニコンのZマウント初号機「Z 7」……。

 ほぼソニーの独壇場だった35mmフルサイズセンサー搭載ミラーレス一眼市場にニコンとキヤノンという一眼レフ界の大御所が参入するという意味でも大きな出来事だし、ひたひたと迫るミラーレス一眼が気になってたニコンユーザーにとっても大きな出来事なのだ。

 そのZ 7が手元に来たのでさっそくチェックである。

●マウント径がでかいのにボディは薄くてコンパクト

 既報の通り、Z 7のマウントはミラーレス一眼のために開発されたZマウント。

 マウント径が55ミリとニコンのFマウントより7ミリ大きく、キヤノンのEF/RFマウントより1ミリ大きい。

 マウント径が大きくなった分、爪も3つから4つに増えた。爪が増えた分、装着時に回す角度も短くなって着脱はしやすい。

 フランジバックは16ミリ。マウントの奥にすぐセンサーがあるって感じだ。

 マウントは大きく、ボディは小さくなったので、マウントがすごく大きく見える。

 一眼レフはデジタル化することでフィルム時代よりぐっと分厚くなった。一眼レフ構造に加えて、イメージセンサーやその周辺回路、さらに背面モニターの厚みが追加されるからだ。

 ミラーレス一眼はミラーボックスを無くしてフランジバックを短くすることで、カメラの厚みをフィルム時代に戻した、といっても過言じゃないくらい。だからサイズとしてはしっくりくる。

 薄くコンパクトになったけど、グリップは深くてしっかりしてるので安定して構えられる。これはいい。一度ミラーレスに慣れちゃうと、一眼レフって重くて分厚いよなーと思っちゃうレベルだ。

 操作感はニコンの一眼レフを踏襲している。

 電子ダイヤルは前後に2つ。露出補正はないが、設定で後ろダイヤルを露出補正に使えるし、ISO感度や露出補正は「ボタンを押しながらダイヤルを回す」方式をそのまま採用。

 マウントの横にFn1とFn2の2つのボタンがあり、それぞれデフォルトではホワイトバランスとフォーカス周りに割り当てられてる。

 Fn1ボタンを押しながら後ろダイヤルを回すとホワイトバランスの変更、前ダイヤルを回すとそのホワイトバランスの細かな設定に。Fn2ボタンを押しながら後ろダイヤルを回すとフォーカスモード、前ダイヤルを回すとフォーカスエリアの設定となる。

 ボタンを押しながらダイヤルを回すって操作は慣れると素早く変更できるのですごくいい。Fn2キーを押しながらダイヤルを回すとちょっと右手の指を酷使してつりそうになるけれども。

 上面には右肩に液晶モニター。左肩に撮影モードダイヤル。ニコンのハイエンド機は伝統的に撮影モードの変更は「MODEボタン+ダイヤル」だったので、そういう意味ではミドルクラスのカメラかも。

 ボディが小さくなった分、独立したレバーやボタンが減ったので同社の一眼レフと同じってわけにはいかないが、ニコンユーザーならすぐ慣れるかと思う。

 ファインダーはすごく大きくて見やすい。EVFでありがちなハイコントラストでギラギラした感じはなくて、非常にナチュラル。EVF食わず嫌い系の人は(あるいは昔のEVFのイメージを持っている人は)一度覗いてみるとよいかと思う。本格的スポーツを撮るなら物足りないが、たいていは快適に撮れるはず。個人的にこのレベルに達していればEVFの方が良いと感じる。

 ただ、撮影後の画像確認をオンにすると撮影後にちょっとブラックアウトするので、オフで使った方が快適だ。

 背面モニターはチルト式。

 タッチパネルも搭載しているが、ファインダーを覗きながらAF枠を動かせる「タッチパッドAF」には未対応。ちょっと残念だ。ファインダーを覗いているときはスティックを使ってAFポイントを動かすのだ。

●写りはさすがニコン。これはいい

 という感じで、ニコンユーザーならすぐ慣れると思う。わたしは2年ほど前にミラーレスに完全移行しちゃったけど、それまではニコンの一眼レフをメインに使っていたのですぐ思い出した。

 では肝心の写りはどうか。

 まずZ 7とZ 6。ネーミングが6と7ってのが不思議ではあるが、同社の一眼レフで考えると、D610がエントリー向け(2013年と古いけど)、D750が機動力重視のスタンダードモデル(だった)、D810は高画素モデル(D850でD750を吸収しちゃった感はあるけど)、というラインアップだが、Z 6と7をこれに照らし合わせると、Z 6はD6××と7××の中間くらい、Z 7はD7××と8××の中間くらいと思っていいかも。

 実際にはボディは同じで、Z 6の方が画素数が少ない(その分連写速度も速くISO感度も高い)というだけの違いと思っていいだろう。

 Z 7のイメージセンサーは4575万画素の高画素で像面位相差センサーを搭載した裏面照射型。

 これにボディ内5軸手ブレ補正が付いている。ニコンでは初のボディ内手ブレ補正だ。これはすごくうれしい。

 まずはいつものガスタンクから。レンズは標準ズームともいえる24-70mm F4。これは沈胴式で、ズームリングを手で回して伸ばすと撮影可能になる。沈胴式というとエントリーモデル用キットレンズっぽいけど、コンパクトなミラーレス機に相応しいサイズを保ちつつクオリティを担保するには良い手だったのだろう。

 AFは像面位相差センサーを使った高速AF。AFエリアはカメラ任せのオートAFから、一点に合わせるピンポイントAFまであり、ピンポイントAFはコントラスト検出AFを使ってピンポイントでフォーカスを合わせにいく、AF速度は落ちるけどより正確に合わせたいとき用だ。

 顔検出はオートAF時にのみ有効になる。このあたり、一般的なミラーレス一眼とはちょっと違う感じ。

 オートAF時以外はスティックでAFポイントを移動できるし、背面モニター時はタッチAFも使える(タッチパッドAFを使えないのは残念)。

 というわけで、顔検出を使ったポートレート作例。

 レンズは24-70mmF4の望遠端。

 レンズを35mm F1.8につけかえてもう1枚。WBは「自然光オート」で。

 Z 7はオートホワイトバランスのバリエーションが多く、AWBでも照明の雰囲気を残すか残さないかで3パターン、太陽光の他に「自然光オート」もある。これは「D850」から取り入れられたWBで、屋外で撮るときはだいたいこれにしておくといい、って感じだ。

 連写は秒約5.5コマでもちろんAF/AE追従。高速連写(拡張)にすると最大秒約9コマでブラックアウトのない高速連写が可能だが、連写速度はZ 6の方が上だ。

 シャッタースピードは最高で1/8000秒。電子先幕シャッターをオンにしていると1/2000秒に落ちる。この辺の切替は自動ではしてくれないので、普段は電子先幕シャッターはオフで使うのが良さそうだ。

 使っていて気になったのは暗所でのAF。検出範囲は-1EVまでだが、ローライトAFをオンにしているとコントラスト検出AFによって-4EVまでいける。

 が、夜の公園のような非常に暗い場所ではAFがけっこうもたついた。

 こんな感じ(ISO25600で撮影)

 ISO感度は最高でISO25600だが拡張感度でISO102400までいける。

 ISO12800以上はさすがにざらつきが気になってくる。ISO51200以上は拡張感度だなあという写り。より高感度に強いというZ 6と比べてみたいところだ。

 ではいくつか作例を。

 とまあこんな感じ。

 製品と同時に出るZマウントのレンズは「Z 24-70mm f/4」「Z 35mm f/1.8」「Z 50mm f/1.8」とベーシックなレンズ3本だけなので、多くの人はマウントアダプター「FTZ」を介してFマウント用のレンズを使うことになるだろう。

 今回、Zマウントではラインアップされない望遠ズーム「AF-S 70-300mm」でFTZの使い心地を試してみた。

 AF速度や使い勝手は専用のZマウントレンズと変わらないし、ちゃんと手ブレ補正もOk。

 ただ、どんなレンズでもAFが効くわけではないので注意。

 ボディ内モーターでAFを駆動していた旧い「AF Nikkor」はダメ。MFでの利用となる。モーター内蔵のレンズ(AF-SやAF-Pなど)なら大丈夫だ。APS-Cサイズ用のDXレンズもOk。装着するとDXサイズにクロップされる(これは従来のフルサイズセンサー搭載一眼レフと同じだ)。

 サードパーティのレンズはAFが効くものと認識されないものがあるようで、これはなんともいえない。ニコンもサードパーティのレンズは推奨しないだろうし。ただ最悪MFでの利用は可能だ。

●メディアはSDではなくXQDカードなので注意

 バッテリーは公称でファインダーの未使用時で約330枚、背面モニターのみ使用時で約400枚とEVFを使った方がバッテリーを食う。

 実際にはその2倍くらいは持つ感じではあるが、まあ撮影後の画像チェック頻度などで左右されるので一概にはいえないが、一眼レフに比べると持ちは悪い。そこはミラーレス一眼の宿命だ。

 そこは新たに本体内USB充電に対応したので、いざというときはモバイルバッテリーなどで対応できるかも。

 バッテリー充電時間は本体内USB充電より、付属の充電器を使った方が圧倒的に速いので、普段は充電器の利用をすすめたい。

 メディアはシングルスロットでXQDカードのみ。

 SDカードより高価であり、いざというときの予備の入手もSDカードに比べるとしづらいわけで悩ましいところではあるけれども、非常に高速で快適なので(パソコンに画像を吸い上げるときのスピードが全然違う)、4K動画を撮る人や連写が多い人じゃなくても恩恵には授かれる。

 スマートフォンとの接続はSnapBridgeで。Bluetoothを使った自動転送もできる。SnapBridgeも当初は接続が不安定で使いづらかったが、最近は安定してきたようで実用性が上がってきた。

 ミラーレス一眼ならではの機能性能を掲げたカメラではなく、「ボディ内手ブレ補正」や「像面位相差センサー搭載のイメージセンサー」といったニコンが今までデジタル一眼レフでは使わなかった技術を新たに取り入れた、今後のZシリーズのベースとなるカメラであり、突出した性能よりはミラーレス一眼ならではの高画質や、ミラーレス一眼くささをあまり感じさせないカメラらしい操作系や質感を重視した製品なわけで、ニコンらしいミラーレス一眼に仕上げてきたのである。

 フルサイズセンサー機ではもっともカメラくさい、カメラとして質実剛健なミラーレス一眼である、といって過言ではないかと思う。ミラーレス一眼へのシフトがこれで加速するか、しばらく目が離せない、と同時に、一眼レフを使ってきた人はますます悩ましくなってきましたな。

●モデル:伊東あんず(アミティープロモーション所属)

https://www.instagram.com/an_photo22/

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