古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

服の試着に手術、観光、ゲームまで VR、MRが生み出す“これまでにない”体験の価値

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/11/22
服の試着に手術、観光、ゲームまで VR、MRが生み出す“これまでにない”体験の価値: ホロラボの脊椎・関節手術トレーニング © ITmedia エンタープライズ 提供 ホロラボの脊椎・関節手術トレーニング

 11月に入ってから、日本マイクロソフトが推進するMixed Reality(MR:複合現実)の取り組みがさらに加速している。

●MRパートナープログラムの国内展開を加速

 1つは、日本マイクロソフトが、2017年10月からスタートした「Microsoft Mixed Realityパートナープログラム」に、新たな認定パートナーとして3社が加わったことだ。

 スタート時には、博報堂、wise、ネクストスケープの3社が国内初のMRパートナーとして認定されたが、これに、博報堂プロダクツ、ハニカムラボ、ホロラボの3社が新たに加わった。

 MRパートナープログラムでは、認定されたパートナー企業が、顧客企業に「HoloLens」やWindows MR対応デバイスを用いたソリューションを提供できるよう、日本マイクロソフトと米Microsoftがトレーニングや技術情報を提供。顧客企業との実証実験を通してスキルを高める狙いもあるという。

 新たに参加した博報堂プロダクツは、既に認定パートナーとなっている博報堂、wiseとともに、京都の大本山建仁寺と共同で、「京都Mixed Realityプロジェクト」に取り組んでいる。これは文化財の新たな鑑賞の在り方や文化教育、観光の新モデルの樹立を目指すものだ。

 また、ハニカムラボはDMM.makeと共同で、MR技術を使って服の試着を行う「バーチャルフィッティング」を開発。ホロラボは稲波脊椎・関節病院と共同で、患者のCTスキャンデータをもとに生成した3Dホログラムの模擬骨を応用して「脊椎・関節手術トレーニング」の開発に取り組んでいる。

 このように、ビジネス用途における具体的な利用シーンを前提とした開発が進展しているというわけだ。

 日本マイクロソフトは、「現在、国内では多くの企業がMRを使ったデジタルトランスフォーメーションに関心を寄せており、実証実験や導入検討が進んでいる。MRソリューションを実現するには、これまでの法人向けのアプリケーションやインフラストラクチャを開発するスキルに加えて、創造性に富んだMRソリューションの設計や開発のスキルが必要になる」とし、「MRパートナープログラムは、より多くのパートナー企業が、確かな開発スキルや知識に基づいて、顧客企業に対してトレーニングや技術情報を提供する仕組み。今後、さらに参加企業を募りたい」とする。

●HoloLensを活用した航空機訓練システムが進化

 2つ目の動きは、MRの取り組みで先行していたJALの取り組みがさらに進んだという点。これも、同様にビジネス用途での進展だ。

 JALは、2016年4月にMicrosoft HoloLensを活用して開発したパイロット向けの「ボーイング737-800型機 運航乗務員訓練生用トレーニングツール」と整備士向けの「ボーイング787型用エンジン整備士訓練用ツール」を発表している。その開発ノウハウを生かし、航空機メーカーの仏Airbusは、JALとJALエンジニアリングの協力の下、HoloLensを活用した訓練用アプリケーションのプロトタイプを開発。2017年11月に、今後、実用化していくと発表した。

 Airbusが開発したのは、同社が戦略的航空機として投入している「A350 XWB」向けの整備および操縦訓練アプリケーション。HoloLensを装着することで、ディスプレイを通じて3Dのコックピット空間や機内空間などを作り出すことができ、実機がなくても実際の訓練と同様のトレーニングが可能になるという。

 JALは、ボーイングの機体を再現するために自ら撮影した写真データを基に3D化したが、今回のAirbusとの取り組みでは、航空機の3Dデータを活用することで12週間という短期間でプロトタイプを完成させた。

 エアバス・ジャパンの代表取締役社長ステファン・ジヌー氏は、「今回開発した訓練アプリケーションは、JALの協力によって開発できたもの」と前置きし、「最先端のMR技術によって、いつでもどこでも訓練が行えるようになり、コスト効率が高い運用が可能になる。今後、MR技術の採用を設計や整備にも広げ、迅速な意思決定や生産性の向上につなげることを期待している」と語った。

 JALでは、2013年10月にA350 XWBを31機(「A350-900」が18機、「A350-1000」が13機)を発注し、さらにオプションで25機を発注。初号機の引き渡しは2019年を予定しているという。JALにとっても、HoloLensを活用したA350 XWB向け訓練用アプリケーションの開発は、今後の社内訓練にプラス効果があるというわけだ。

 なお、Airbusも、欧州のMRパートナープログラムに参加することを明らかにしている。

●MR体験コーナーでコンシューマーを狙い撃ち

 そして、3つ目が、11月18日から全国の販売店でWindows MRの体験コーナーの展開がスタートしたことだ。

 これは年末商戦に向けたキャンペーンで、主にコンシューマーユーザーが対象になる。日本マイクロソフトが主導する形で22店舗を設置。Windows MR対応デバイスを発売する富士通クライアントコンピューティングなどのハードウェアメーカーが主導する店舗と合わせると、約400店舗でWindows MRの体験ができるようになる。

 富士通クライアントコンピューティングの齋藤邦彰社長は、「Windows MR対応デバイスを年末商戦の目玉にしたい」と意気込み、「リアルを求めるのは人間の欲求である。全国の体験コーナーで実際に体験してもらうことで、MRの楽しさや新たな気付き、五感に訴える実在感などを感じてほしい」と続けた。

 また、日本マイクロソフトでは、年末商戦に向けた2017 年冬の Windows 10 キャンペーンのクリエイティブ ディレクターに、漫画家やタレントとして活躍中の蛭子能収氏をCMに起用することも発表した。

 「クリエイティブ ディレクター エビス・ヨシカズ氏」と命名し、すでに、同社サイトを通じて、同氏のクリエイティブ・ディレクターに就任した経緯や、CM制作の過程を追った動画など5篇を先行公開している。ここでも、Windows Mixed Realityに関連し、「蛭子さんの目からビーム? 写真なのに?」と題した「Windows Mixed Reality のオリエンを聞く篇」が用意されている。なお、量販店店頭のWindows Mixed Reality体験コーナーでしか見られない限定動画コンテンツもあるという。

 MRを構成する1つであるVR(仮想現実)は、1990年代にゲーム専用機向けデバイスなどの発売によって、一度ブームを迎えたが、技術面での課題などもあり、普及には至らなかった経緯がある。その後、2015年にSamsungがスマホと連動するGear VRを発売。2016年10月には、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)がゲーム機と接続する「PlayStation VR」を発売。PC対応のVRデバイスも各社から登場し、2016年来、第2次ブームを迎えているところだ。

 Windows MRの対応デバイスは、Dell、日本エイサー、日本HP、富士通クライアントコンピューティング、レノボ・ジャパンの5社から登場する。

 一方、VRコンテンツもそろってきた。2015年2月からVRプロジェクトに取り組んできたソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)では、ソニー・ミュージック所属のアーティストのライブ映像や、世界各国の空間を長時間に渡って楽めるコンテンツなどを用意。2016年11月からVR配信事業を開始しているDMM.comでは、約2500タイトルのVRコンテンツを配信する体制を整えている。コンシューマー領域でも活用できる土壌が整いつつあるというわけだ。

 コマーシャルおよびコンシューマーユースのいずれからも、着実な広がりを見せようとしているMR。まずは、年末商戦での盛り上がりぶりが注目される。

ITmedia エンタープライズの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon