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ITの力で快眠! “スリープテック”記者が試した結果は…?

AERA dot. のロゴ AERA dot. 2019/11/09 17:00
「illumy」はアプリから起床時間や発光の長さを設定できる。1万5481円 © Asahi Shimbun Publications Inc. 提供 「illumy」はアプリから起床時間や発光の長さを設定できる。1万5481円

「若いころは深い眠りで、何時間でも寝られたのに!」と思う人は少なくない。安易に睡眠薬に頼る前に、できることはたくさんある! というわけで快眠グッズを試してみた。

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“スリープテック”という言葉を聞いたことがあるだろうか? ITなどの技術を活用し、睡眠状態を測定したり、眠りやすい環境を整えたりする製品を指す。今回、記者は三つのアイテムを実際に使ってみた。

 一つ目は「illumy(イルミー)」。大きなアイマスクで、内側に秘密がある。就寝時は夕暮れ時のような赤い光を発することでリラックスした状態に誘い、起床時は青い光が徐々に強まり、白い光に変わることで目覚めを促す仕組みだ。宇宙飛行士の体内時計の調整に使われた技術を応用しているという。

 さっそく「illumy」を装着してベッドに入る。まぶた越しに温かみのある光がチカチカと点滅している。普段は真っ暗な状態で寝ているため、はじめは面食らうが、すぐに心地よさを感じてすっと眠りに落ちた。朝はまぶた越しに柔らかな光を感じ、自然と目が覚めた。目覚まし時計のアラーム音にたたき起こされるよりはるかに快適だ。

 販売元のウェザリー・ジャパンによると、光で起きられるため、新幹線の中で愛用している人もいるとのこと。外光を遮断できるので仮眠などでも使えそうだ。

 二つ目は「Sleepion(スリーピオン)3」。これは聴覚(音)、嗅覚(香り)、視覚(光)を刺激して眠りに導く快眠ツールだ。音は入眠にふさわしいオリジナル音源やクラシックの名曲、鳥のさえずりなど、15種類から好みのものを選べる。香りはリラックスしやすいラベンダーなどの3種類を用意。光は本体下部で、ろうそくの揺らぎを再現した、温もりのある明かりが灯る。

 さっそく枕元に置いて寝てみる。アナログレコードのような柔らかい音が流れ出し、耳に心地がいい。香りもスイッチを入れてしばらくすると、かすかに漂ってきた。装置は45分後に自動的に切れるようになっている。また、旅先などで環境が変わっても、これがあれば自宅と同じ睡眠環境を再現できるのはよさそうだ。

 販売元のティ・アール・エイによると、睡眠導入剤を服用していた女性がこれを使ってみたところ、10日弱で薬なしで寝られるようになったという。

 最後の一つは「THIM(シム)」。親指サイズの機械を、指先に装着するようになっている。睡眠学者による研究に基づいて開発された睡眠トレーニング用アイテムだ。

 スマートフォンにアプリを入れ、睡眠時に本体と同期させる。指先に装着して横になると、30秒に1回、本体がブルブルと震える。振動を感じたら、まだ寝ていないことを知らせるために本体を指で軽くたたく。

 何度か繰り返すうちに眠りに落ちると、振動に気付かなくなるのだが、再び振動によって起こされてしまう。「せっかく寝たのに何で起こされるの?」と文句の一つも言いたくなるが、実はこれが重要なポイント。

 睡眠学者の研究によると、不眠や睡眠の質向上のためには、「眠りに落ちる感覚を繰り返し体感する」ことが効果的だというのだ。そのため、この装置を毎晩装着することで、眠りに落ちる感覚を体に覚え込ませていくというのだ。

 アプリには、本体によって測定された入眠時間、浅い睡眠、深い睡眠、起床時間などのデータが記録される。データをもとに睡眠効率(85%以上がいい睡眠の目安)が算出されるが、記者もトレーニングを重ねていくうちに90%を超える日が出てきた。数字で可視化されることも喜びにつながり、いい睡眠にプラスになっているような気がした。

 実はベッド自体も著しい進化を遂げている。パラマウントベッドが今年6月に発売した「Active Sleep BED(アクティブスリープ ベッド)」だ。これは、背や足の部分に角度をつけられる“ハイテクベッド”。同社は医療、介護用ベッドのトップブランドで、今までの研究の結果、人は角度をつけたほうが眠りやすいことに着目したという。

「背中の角度が少し起きているほうが、気道や横隔膜にかかる重力が変わり、呼吸しやすくなります。足も角度をつけたほうが筋肉への負荷が少なくなるので、リラックスできるのです」(パラマウントベッド・小澤卓矢さん)

「Active Sleep BED」は、六つの部位ごとに10段階で硬さを調整できる「Active Sleep MATTRESS(マットレス)」と、睡眠状態を測定する「Active Sleep ANALYZER(アナライザー)」をセットで使うことで“眠りの自動運転”を実現した。

 眠りやすい角度の状態で就寝し、センサーが眠ったことを感知すると、およそ1分に1度という速度でゆっくりと平らな状態に戻っていく。睡眠中に角度を元に戻すのは、平らなほうが寝返りを打ちやすいからだ。

 一方、起床時刻を設定しておくと、ベッドの背がゆっくりと起き上がり、自然な目覚めを促してくれる。

 実はこのベッドで寝てみることができる。眠りにこだわったホテル「レム東京京橋」(東京都中央区)とのコラボレーションで、3製品が導入されている客室があるのだ。記者もさっそく泊まってきた。

 チェックイン時にアプリが入ったスマートフォンを貸与される。これがリモコンの代わりにもなる。ベッドに入って「入眠ポジション」に設定すると、ベッドは静かに動き出し、背の部分が少し起き上がった。角度のついたベッドに身をゆだねると、平らな状態よりこの姿勢のほうが楽に感じる。入眠角度のおかげかあっという間に眠りに落ち、気づいたら朝。あらかじめ設定した時刻にゆっくりと背が起き上がり、自然に目覚めることができた。

 ベッドにはむくんだ足を楽にする「足楽ポジション」や、テレビを見たり、本を読んだりするのに快適な「読書/TVポジション」などもあり、睡眠時以外でも楽な姿勢でくつろげる。

「今後、エアコンや照明などと連動して、室温や湿度、明るさなど睡眠に最適な寝室環境を整えることで、より良い眠りを追求していきたいと考えています」(同)

 睡眠テクノロジーがここまで進化しているとは! 人生の3分の1は寝ていることを考えると、これらのスリープテックを試してみる価値は大いにあるだろう。(ライター・吉川明子)

※週刊朝日  2019年11月15日号

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