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「中国の植民地」化が次第に強くなっているベネズエラ。マドゥロ大統領が訪中

HARBOR BUSINESS Online のロゴ HARBOR BUSINESS Online 2018/09/18 15:47

 あらゆる物資が不足し、多くの市民は食料難にあり、2015年から数えると400万人が国外に脱出。そしてIMFによると、市場は1,000.000%のハイパーインフレ。唯一の外貨獲得源である石油の産油も大幅に減少。あと2年先には国家が破綻すると言われているベネズエラ。

 その大統領ニコラス・マドゥロが急きょ9月13日から15日までの予定で中国訪問を開始した。その目的は新たに50億ドル(5500億円)の融資を受けるためであるとメディアは報じた。(参照:「Infobae」)

 マドゥロの訪問に先立って、彼の夫人デルシー・ロドリゲスが北京を訪問していた。チャベス前大統領の政権時ではロドリゲス夫人はマドゥロ以上に重鎮だったので、単に「夫人だけ先に観光で入った」わけではない。マドゥロが到着する前の彼女は、中国石油集団(CNCP)の総経理(社長)である章建華とも会談を持ち、ベネズエラ石油公社(PDVSA)の開発に協力を要請したという。(参照:「El Pais」)

◆慎重に相手を値踏みしながら投資を行う中国側

 もちろん、ベネズエラの置かれている状況については中国側も把握しており、今回のマドゥロ大統領の訪問では、滞在二日目に28項目に亘って数十億ドルにのぼる投資の合意が交わされたと各紙が報じられているものの、各紙とも、これまでのように当初期待された50億ドルの融資について合意書の中で一切触れられていないと言及している。

 中国国家開発銀行(CDB)の役員の一人が匿名希望で『El País』の取材に応じたところによれば、「ベネズエラで起きているすべてのことに不安を抱きながら追跡しており、状況に順応しながら対応している」のだという。つまり、中国政府も状況に応じて許せる範囲で協力しているようだ。なお、今回の合意の投資内容については石油開発は勿論、金鉱の開発や医薬品の供給などが謳われている。(参照:「El Mundo」、「La Patilla」)

◆「気前の良い中国」の先にある狙い

 インターアメリカン・ダイアローグ研究センターによると、中国からベネズエラへの融資額は2005年から2016年で622億ドル(6兆8400億円)となっており、中国の国家開発銀行(CDB)と中国進出口銀行(Eximbank)がその債権銀行になっているという。

 中国はベネズエラに2015年に50億ドル(5500億円)、2016年は22億ドル(2400億円)を融資していた。ところが、2017年はこれがいきなりゼロになり、しかも未払いの返済が193億ドル(2兆1200億円)もあったため、中国のベネズエラへの支援は終幕を迎えたかのように思われていた。

 しかしどうやら、中国はベネズエラを見捨てることはしないようだ。中国サイドは、ベネズエラからの返済には石油を送ることで了承している。また、ベネズエラからの返済の滞納には返済日の再編などで対応している。(参照:「El Pais」)

 そのようなベネズエラに今も支援を続ける中国の狙いはとなると、ワシントンに本部を置く戦略国際問題研究所(CSIS)がそれを次のように指摘している。ベネズエラが国家として倒壊して行くにつれて、自国の自然資源そして自国の制度を含め中国のコントロールの配下に下ってしまうことになる。俗にいう、中国の植民地になるということだ。嘗てのソ連に依存したキューバ、そして現在中国に依存している北朝鮮。中国はラテンアメリカに北朝鮮のような国家をつくる。その対象にしているのがベネズエラなのである。(参照:「Dolar Today」)

 中国から受ける融資の返済に石油を送る形で返済金としているが、石油価格が下がれば、その分、中国に送らねばならない石油の量も増える。その上、産油量は年々減少している。即ち、中国に融資の返済として送る石油の量が産油される石油量から見てその比率が増えることを意味し、ベネズエラで産油する石油は中国の為に産油するということになるのである。しかも、今後CNCPが開発を支援するようになるとベネズエラの石油は中国に益々依存し、中国がベネズエラの石油を支配するようになるのである。

 中国と比べ、ロシアによるベネズエラへの融資は少ないが、ベネズエラはその返済にも中国と同様に石油の発送でそれを相殺している。ただ、ロシアはベネズエラの石油を支配するまでには至らない。

ハーバービジネスオンライン: alexlmx / PIXTA(ピクスタ) © HARBOR BUSINESS Online 提供 alexlmx / PIXTA(ピクスタ)

◆資源を握る一方、武器も提供

 中国のベネズエラでの支配を強化する意味で武器の供給についても、今ではロシアを抜いて中国がベネズエラの最大供給国になっている。

 チャベス前大統領政権下の2009年から2013年まで、ベネズエラに供給される武器の66%はロシアからの供給であった。しかし、マドゥロ大統領になってから中国からの融資が次第に増加して行くにつれ、中国からの武器の輸入が増えて行ったのである。

 経済的に疲弊し、国家は崩壊寸前で、市民は空腹と闘っているにも拘らず、CSISによると、ベネズエラの防衛費は世界21位、ラテンアメリカ

ではトップの位置にあるという国なのである。(参照:「ABC」、「Dolar Today」)

 ラテンアメリカにおける中国の投資が最大の国はブラジルで、2001年から2016年の間に549億ドル(6兆400億円)の投資額となっている。これはその次に投資先となっているペルーの124億ドル(1兆3600憶円)を大きく引き離している。ルラ元大統領とルセフ前大統領の左派が政権を担っていた期間にその投資が急増したのだ。しかし、米国寄りのテメル大統領になって、その傾向に幾分の変化が見られるようになっている。10月に新大統領として極右のボルソナロが選ばれるようになると、中国にとって些か足踏みせねばならなくなることになるだろう。

 それでも、中国はベネズエラそしてブラジルをラテンアメリカにおける玄関としている。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

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