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【韓国新政権】歴代大統領の悲惨な末路の要因…「ハイエナ検察」を改革できるか、早くも「文氏おもねり」が出現

産経新聞 のロゴ 産経新聞 2017/05/19

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が掲げる重要施策のひとつに検察改革がある。韓国の検察といえば、政権に勢いがあるときは政権に同調し、政権が求心力を失うと政権の敵になる-とのイメージが強い。文氏は、大統領府で司法をつかさどる民情首席秘書官に初の非検察出身者を任命、「検察の権限縮小」を目指すが、ソウル中央地検は突然、文氏が一昨年に名誉毀損(めいよきそん)で告訴した人物の捜査を始めた。組織改革の前に、権力者におもねりがちな発想やすぐ法的手段に訴える公職者らの意識改革がまず必要なのではないだろうか。

検察はハイエナ

 「権力機関を政治から完全に独立させる」。文氏は10日の就任演説で検察改革を宣言した。検察の捜査権を警察に移し、起訴の権利と2次的な捜査権だけを検察に持たせる方針だ。

 翌11日には、政府高官の監視と司法を担当する民情首席秘書官に法学者のチョ・グク氏が任命された。 

 同秘書官には検事出身者が就くことが既成事実になっていたため、この人事は話題を呼んだ。

 チョ・グク氏はかつて、「検察は死んだ権力と戦い、生きた権力には服従するハイエナ」と堂々たる検察批判を展開した人物だ。

 ハイエナとの表現には賛否両論出そうだが、実際に産経新聞ソウル元支局長のコラムをめぐって朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)の怒りを忖度(そんたく)して元支局長を在宅起訴した検察は、朴氏の友人女性による国政介入事件で朴氏が求心力を失うと、一転して朴氏を追及する側に回った。

 自身や親族の逮捕、有罪判決に自殺…。韓国の歴代大統領が悲惨な末路をたどるのは、対立勢力と国民情緒、そして検察権力が結託するからだ。

 韓国事情に詳しい日本の検察幹部はこう話していた。「韓国検察は裁判所からも警察からも嫌われている。元支局長の在宅起訴も法律家だったら誰もが『無理筋の事件』『食えない事件』と思っていたはずだ」

おもねりの動き早速

 それこそ韓国社会の積弊とでもいうべき検察権力の改革を掲げた文氏だが、皮肉にも同氏におもねる動きが早速出ている。

 ソウル中央地検公安2部は12日、2013年に「文在寅は共産主義者だ」と発言して文氏から告訴されていた放送文化振興会のコ・ヨンジュ理事長から陳述書を受け取ったことを発表した。

 元公安検事であるコ氏は、1981年に釜山地域で起きた反政権派弾圧事件の捜査を担当。文氏が敗北した前回の大統領選直後の2013年1月、ある会合で「(この事件は)民主化運動でなく、共産主義運動であり、事件の弁護士を務めた文在寅氏は共産主義者であることを確信した」と発言、物議をかもした。

 文氏は発言から2年以上たった2015年9月にコ氏を告訴した。それから1年8カ月がたって“突然”捜査が行われたことになる。

すぐ告訴体質こそ問題

 産経元支局長のケースで韓国政府当局者の一人は「告訴・告発された事件は関係者の聴取など、すべてただちに捜査が行われる。恣意(しい)的に産経を扱っているのではない」と話していたが、文氏の例のように2年近く放っておかれる事件もあり、この説明は事実とは遠かったようだ。

 それにしても、韓国の検察はなぜ、ここまで政治的なのだろうか。

 「金正日秘録」などの著書でおなじみの李相哲・龍谷大学教授は、本紙(大阪本社発行版)に連載した「内戦の韓国」で次のように書いている。

 「韓国政治の病は、5年単任制の韓国大統領にあるのかもしれない。任期半分を超えれば大統領は求心力を失う。3年をすぎれば、検察もメディアも次期政権の向背に敏感になる」

 そして何より、大統領をはじめ、公職にある人が「名誉を傷つけられた」として、告訴や提訴など法的手段にすぐに訴える発想がある。本当に根拠のない批判や誹謗中傷ならともかく、公職者には公益のための批判であれば、それを甘受する度量も求められる。それが民主主義社会だ。

 文氏も今回の選挙戦中、国連の対北人権非難決議をめぐる北朝鮮への“おうかがい疑惑”で同僚でもあった元外相を告訴した。

 組織改革の前に、為政者のこうした認識を改めることが最も重要かもしれない。

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