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インドネシア地震:液状化泥流4キロに 想像絶する破壊力

毎日新聞 のロゴ 毎日新聞 2018/10/12 17:59

 【パル(スラウェシ島中部)小泉大士】インドネシア・スラウェシ島の地震で、液状化現象で生じた泥の流れは約4キロに及び、多数の人や家屋をのみ込んでいたことが住民らの証言で明らかになった。九死に一生を得た生存者は、想像を絶する泥流の破壊力に「なすすべがなかった」と口をそろえる。依然として5000人近い犠牲者が泥に埋まっているとみられるが、地震発生から2週間となった12日、当局は遺体の回収は困難として捜索を打ち切った。

 今回、液状化現象が起きたのはパル市内の2地区と隣接するシギ県ジョノオゲ村の計3カ所とされていた。だが、住民の証言を元に現場を確認すると、ジョノオゲ村の約700メートル東側のポンベウェ村でも液状化が起き、泥流はそこから始まっていた。

液状化現象による壊滅的な被害が出たバラロア地区の住宅街=中スラウェシ州パルで2018年10月12日、小泉大士撮影 © 毎日新聞 液状化現象による壊滅的な被害が出たバラロア地区の住宅街=中スラウェシ州パルで2018年10月12日、小泉大士撮影

 ポンベウェ村を訪れると、地表に無数の深い亀裂が入っており、泥流に押し流されたためか、家屋はほとんど見当たらない。

 9月28日午後6時ごろ、自宅で水浴びをしようとしていたジュマリアナさん(19)は、強い揺れを感じて飛び出した。「ココナツの木が次第に遠ざかっていくのでおかしいと思ったら、地面が動いていた」。泥流の中で助けを求める男性の姿がかすかに見えたが、足がすくみ動けなかった。男性はしばらくして視界から消えた。

 泥流はジョノオゲ村に入って勢いを増し、村内の500棟以上が消失。幹線道路は寸断され、道路脇にあった教会の残骸は約2.5キロ先で見つかった。

 「ドゥルルル」。教会から300メートル離れたところに住んでいたママン・ソリキンさん(42)は不気味な地鳴りが続く中、揺れる地面から転げて泥にのまれかけた次女(7)を引きずり出した。父子は数メートル四方の土の塊に乗ったまま流された。

 「この世の終わりだと思った。右からも左からも『助けて』と声が聞こえたが、自分たちの身を守るのが精いっぱいだった」。ソリキンさんは沈痛な表情で振り返った。「(泥流の中で)助けを求め必死に手を伸ばしていた男性は、『アラー・アクバル(神は偉大なり)』と叫びながら沈んでいった」という。

 泥流は約5時間後にランガレソ村で止まり、約3キロ流されてきたママンさん父子もそこで救出された。泥流の起点のポンベウェ村からジョノオゲ村を挟んでランガレソ村までは直線距離で約3・7キロ。この3村の一帯は泥に覆われ、最大約10メートルの高低差があった。

 一方、液状化で1000棟以上が全壊したパル市バラロア地区では、多くの住民が「地面が大きく割れて家や人々がのみ込まれ、泥とともにぐるぐる回った」と証言した。

 自宅でテレビを見ていたアワルディンさん(38)は「地面が爆発したような激しい揺れを感じ、自宅が10メートルは沈んだ。逃げる余裕はなかった」と言う。直後に地面が隆起した際に家からはい出した。生存者は比較的家屋の高い場所にいた人々で、沈んだ家屋の屋根伝いに避難したという。

 今回の地震の死者数は確認されただけでも12日現在で2090人に達している。

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