古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

観光客は迷惑? 混雑とマナーの悪さに欧州に広がる不満と抗議の声

AFPBB News のロゴAFPBB News 2017/09/13

【AFP=時事】「こんな夏は二度とごめんだ」──押し寄せる観光客のせいで、街に住みづらくなったことにいら立ちを強めたスペイン・バルセロナ(Barcelona)の住民たちが抗議に立ち上がった。

 欧州内の一部には観光業を敵視する動きが広がっている。スペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)自治州にあり、観光客に大人気のバルセロナもそうした街の一つだ。

 世界の旅行者数は、1995年の5億2500万人から2016年には12億人に増加。背景には、格安航空会社の参入や、中国やインド、湾岸諸国といった新興市場の観光客が増えていることが挙げられる。その結果、一部の地域に観光客が集中するという現象が起きている。

 イタリア・ベネチア(Venice)のロマンチックな運河から、クロアチアにある中世の城塞都市ドゥブロブニク(Dubrovnik)、英スコットランド(Scotland)スカイ島(Isle of Skye)の原野まで、観光業は地元に間違いなく雇用と収入をもたらすが、その一方で、大勢の住民にとっては悪夢になりつつある。

 バルセロナ市内のおしゃれな臨海地区バルセロネータ(Barceloneta)の住民は以前から、公共の場で泥酔したり性行為に及んだりする反社会的行為の横行に加え、家賃高騰で多くの地元民が追い出される事態に不満を募らせてきた。先月には、世界中から訪れる観光客がお祭り騒ぎを繰り広げるビーチに数十人の地元住民が集まり、「私たちの建物に観光客はお断り」という横断幕を掲げて抗議デモを行った。

 世界第3位の観光大国であるスペインでも同様のデモが各地で開かれている。この夏、観光客に人気のバレアレス諸島(Balearic Islands)マヨルカ(Majorca)島の港町、パルマデマヨルカ(Palma de Mallorca)に活動家らが突然やって来て発煙筒をたき、レストランで食事中の人々に紙吹雪を投げ付けた。バルセロナでは大勢の観光客を乗せたバスが襲撃され、フロントガラスにペイントされた抗議のメッセージに乗客がおびえる出来事もあった。

 観光客が過度に集中する問題は、一連の抗議行動だけにとどまらず、当局も対策に乗り出している。

■観光客が地面に座って飲食しないよう散水

 バレアレス諸島では、一度に同地域のホテルや合法的な宿泊施設に滞在できる旅行客の人数を62万3000人前後に収めるようにした。

 クロアチアのドゥブロブニクは、クルーザーの寄港地として人気を集めている。テレビのファンタジードラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」の舞台になってからというもの、その人気はさらに高まった。住民は、混雑のせいで移動がほぼ不可能になっていると困惑。地元に住むある女性は、「旧市街に入るのに気温40度の炎天下で1時間並ばなくてはいけないこともある」と嘆いた。

 マト・フランコビッチ(Mato Frankovic)市長はAFPに対し、旧市街に入る人数を計測するカメラを設置し、当局は入港するクルーザー数の削減計画を進めていると明かした。

 クロアチアからアドリア海(Adriatic Sea)を挟んで対岸、イタリアのベネチアでも同様の措置が既に講じられている。人口26万5000人の同市を訪れる旅行客は、年間約2400万人に上る。

 ベネチア当局は、人気のサンマルコ広場(Saint Mark's Square)を混雑する時間帯に訪れようとする観光客には、事前予約を義務付けるシステムの試験運用を決めた。さらに、決められた場所以外の戸外で飲食をしたり運河を泳いだりした観光客には、500ユーロ(約6万6000円)の罰金の支払いを命じる予定だという。

 また同国フィレンツェ(Florence)では、公共の場所の地面に座って飲食をしないよう、大勢の人々が集まる教会の階段などに水をまく対策を取り始めた。

 ある観光情報ウェブサイトの創設者は、市内中心部への集中を緩和するため、観光客が比較的少ない地区へ誘導するという解消策を提案。しかしこのせいで、以前は観光客がいなかった場所にまで問題が拡大するという事態も生まれている。

「さよならベネチア」と書かれたスローガンを貼り付けたスーツケースを掲げ、観光客増加に抗議する男性。イタリア・ベネチアで(2016年11月12日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News © AFPBB News 提供 「さよならベネチア」と書かれたスローガンを貼り付けたスーツケースを掲げ、観光客増加に抗議する男性。イタリア・ベネチアで(2016年11月12日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

■「最悪なのは誰も来ないこと」

 ポルトガルの首都リスボン(Lisbon)で最も古い町並みが残るアルファマ(Alfama)地区でも、観光客の急増は住民に大きな悪影響を及ぼしている。観光客向けのアパートが至る所に増えたせいで家賃が高騰。「月1000ユーロ(約13万円)未満の家賃のアパートがなかなか見つからなくなった。ポルトガル人の月収は一般的にこれより低いことを考えれば、今の家賃は高過ぎる」と、地元の町並み保存協会の代表は言う。

 人里離れたスコットランドのスカイ島でさえ観光客が増え、環境被害や居住施設の不足といった苦情が住民から出始めている。

 一方で、抗議と批判にさらされたスペインのマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)首相は、同国の経済成長の11パーセントを担っているのは観光業だと擁護した。

 国連世界観光機関(UNWTO)のタレブ・リファイ(Taleb Rifai)事務局長も、観光業にノーを突き付けることには反対だ。「観光ブームはうれしい悲鳴。最悪なのは、誰も来ないことなのだから」と話している。

【翻訳編集】AFPBB News

image beaconimage beaconimage beacon