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163キロの速球でも狙い打たれる!?大谷翔平、貴重な世界一打線“初体験”。

Number Web のロゴ Number Web 2018/04/25 18:15 鷲田康
ダルビッシュ有のフォーシームの平均回転数は2500を越えるという。大谷翔平はフォーシームはどこまで進化させられるか? © photograph by Getty Images ダルビッシュ有のフォーシームの平均回転数は2500を越えるという。大谷翔平はフォーシームはどこまで進化させられるか?

 二刀流でメジャーに挑戦しているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が現地時間4月24日(日本時間25日)、敵地のミニッツメイド・パークで行われたヒューストン・アストロズ戦に今季4度目の先発登板を果たした。

 この日は5回に2ランを浴びて1点差とされたが、6回1死まで打者24人に6安打7奪三振、5四球という内容。

 リリーフ投手が打たれて3勝目は逃したが、強打を誇る昨年のワールドチャンピオン・アストロズ打線を相手に見応え十分のピッチングだった。

あのレッドソックス戦から1週間後。

 前回登板の4月17日のボストン・レッドソックス戦。

 右手中指にできていたマメの状態が悪化して、わずか2回でマウンドを降りなければならなかった。

 それから1週間後のこの日は、心配されたマメの影響もほとんど感じさせない投球内容だった。

「良かったと思います。入りも良かったですし、状態的にも前回より全然、いい状態で入れたと思います」

 相手は強力打線を前面に押し出して、昨年はワールドチャンピオンまで上り詰めたアストロズ。「素晴らしいまっすぐとキレのあるスプリットを駆使する投手」――各打者に配られたスカウティング・リポートには大谷の特長が、おそらくこう記されていたはずだ。

 しかし、この日の立ち上がりはちょっと違う背番号17がマウンドにいた。

日本ハム時代の大きな柱だったスライダー。

 先頭打者は昨年のワールドシリーズMVP、ジョージ・スプリンガー。その初球は154キロのストレートが高めに抜けて、続く2球目の外角低め、156キロを打たれて一、二塁間を破られた。

 しかし2番のホセ・アルトゥーベの初球にスライダーが決まると、4球目もまたまたスライダーで中飛に打ちとり最初のアウトをとる。

 日本ハム時代には大谷のピッチングの大きな柱だったスライダー。

 しかしボールが変わり、マウンドが変わった影響からか、過去3度のマウンドではどうにも制御が効かずに“封印”してきた球種だった。

「それでもスプリットとスライダーは投げていかなければならない球種」

 こう語っていたように、この日の立ち上がりは、アルトゥーベの打席に続いて3番のカルロス・コレア内野手にも初球、2球目とスライダーを連投。フルカウントからの6球目には135キロのスライダーで見逃し三振を奪った。

スプリット、カーブも決まりだしたが……。

 立ち上がりは今までと全く違う組み立てから入っていた。

「1人、1人の傾向を出してキャッチャーの(マーティン・)マルドナード選手と相談しながら。球種の比率というのは試合の中でもどんどん変わっていくものですし、1試合、1試合、次の試合でも変わっていくと思う。そこは今日の試合で完結していると思います」

 ただ、明らかに目立ったのは球種の幅がかなり広がってきたことだった。

 2回からは宝刀・スプリットも決まりだして、さらに4球投げたカーブもカウントを稼ぐ球としてかなり有効に使えていた。

 初回にマイク・トラウトの先制弾、2回にはアンデルトン・シモンズ内野手のソロ、3回はジャスティン・アップトンの適時内野安打にシモンズのタイムリーで4点をもらったのも大きかった。

 その中で2回の失点は2死から、6番のアレックス・ブレグマン内野手へのスライダーが甘く入って左翼線に二塁打されたのがきっかけで、2死一、二塁から8番のマーウィン・ゴンザレスに一、二塁間を破られて失ったもの。そして本人が悔やんだのは5回に9番のデレク・フィッシャーに浴びた一発だった。

「そんなに力のない球だったんじゃないかなと」

 この回先頭のゴンザレス外野手をフルカウントから歩かせて、続くフィッシャーへの初球だった。

「投げにいったところはそんなに悪くなかった」

 こう振り返った外角の154キロのフォーシーム。あえて言えば高さがベルト付近でやや高かったことが命取りだったかもしれない。

「やっぱり(走者を)溜めたくないというところから、そんなに力のない球だったんじゃないかなと思っています。それで打たれたのかなと思っています」

 センターバックスクリーン左に飛び込む特大弾。

 確かに打球はよく飛んでいた。

フォーシームの質の問題が出てきたか?

 この日のピッチング内容で1つ、見えてきたことがある。それはキャンプから指摘されてきたフォーシームの質の問題だった。

 この日投げた98球でストレートは37球。その中で2回のブライアン・マッキャンの打席の3球目に初めて160キロを超えると、3回のジョシュ・レディックへの2球目には161キロ(100.6マイル)と、全部で6球の160キロ超えがあった。

 特に5回に2ランを浴びて1点差とされての、なお2死一塁で4番のレディックに対するピッチングでは、カウント1ボール1ストライクからメジャー最速となる101マイル(163キロ)の速球を3、4球目に連発するなど、ボールが走っていなかったわけではない。むしろ過去3度の登板の中でもボールのキレは一番あった部類のマウンドだったのだ。

「点を与えたくなかったり、素晴らしいバッターが並んでいる中で、自分の持っているもの、それ以上のものを出したいという気持ちじゃないかと思う」

 大谷は振り返った。だが、その一方で打たれた6本の安打のうち5本がこのフォーシームだったのである。

全盛期の上原浩治は2400回転を上回る。

 MLBの公式サイトで出るスタットキャストのデータを見ると、大谷のフォーシームの回転数はほぼ2190回転から2250回転の間で、ほぼ平均的(昨年のメジャーの平均値が2241回転)と言える。これが例えば全盛期の上原浩治投手の場合は、2400回転を上回る。それがホップする感覚を打者に生み出すわけだ。

 確かに大谷のフォーシームは100マイルというパワーはある。日本では苦しくなればこのパワーで打者を抑え込めた。しかし、メジャーではこのパワーピッチがきちっとコースに決まって初めて打者を打ちとれることになるのだが、少しでも甘く入れば打たれてしまう。

 だからこそ本人が語るように、相手の特長を踏まえて、どう配球を組み立てていくかが重要になる。

 これからのマウンドで問われるのは、まさにそのことなのである。

「やっぱりホームランは痛かった」

 1点リードの6回1死一塁で2番手左腕のホセ・アルバレス投手にマウンドを譲ったが、そのアルバレスが逆転弾を浴びて白星は消えた。それでも7回に打線が4点を奪って再逆転をすると、そのまま逃げ切ってチームはこのカード2連勝を飾った。

「勝ててよかったなと思います」

 試合後の大谷はまずこう胸をなでおろした。

「粘れたところも、もう少しできたところもあったと思うので、結果としては勝ったということが良かった。

 やっぱりホームランは痛かった。

 下位打線にああいう点の取られ方というのは、あまりよくなかったなと感じたので、そこは次回以降も課題になるのかなと思っています。もう少しいいところを発揮できる場面もあったと思うので、そこは次回またやりたいと思います」

 白星はつかなかったが、様々なことを学んだ4度目のマウンド。

 結果はもうすぐ付いてくるだろう。

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