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内田篤人「意外にできるじゃんって」10年前のU-20W杯と、今大会を語る。

Number Web のロゴ Number Web 2017/05/20 了戒美子
U-20W杯に出場する選手たちの中には、内田篤人より一回り下の選手もいる。先日娘の誕生も発表し、立ち位置も大きく変化してきた。 © photograph by AFLO U-20W杯に出場する選手たちの中には、内田篤人より一回り下の選手もいる。先日娘の誕生も発表し、立ち位置も大きく変化してきた。

 間もなく韓国で開幕するU-20ワールドカップに、日本代表が10年ぶりに出場する。日本が最後にこの大会に出場したのは'07年カナダ大会。ベスト16に進出したそのチームの主力選手だった内田篤人に、当時を振り返ってもらおうとたずねてみた。

「あれ、次の予選っていつなの? え、来週開幕するんだ。日本出るの?」と、まるで状況をわかっていない様子。だが、当時を思い出してシンプルにこう言う。

「楽しかった!!」

 普段より一段トーンの上がったような、曇りのない口調だった。

 当時はU-20ワールドカップ出場は当たり前のことだった。'93年大会から連続で7大会目の出場だった。さらに直前2大会では決勝トーナメントに進出しており、カナダ大会でもそれに続くことは半ば当然と思われていた。かといってそれが重荷や負担になるようなシリアスさはなく、のびのびと世界に立ち向かっていった。

「点取ったのモリシ、ウメさん、あおちゃんでしょ?」

 内田は主将の福元洋平と共に、この大会で日本が戦った全4試合にフル出場した2人のうちの1人だ。

「こういう大会って、初戦が全てだよね。負けて空気が落ち込むっていうことは別にないだろうけど、勝たないと勢いがつかない。北京五輪も、ブラジルワールドカップもそうだったでしょ。俺らの時の相手って、どこだっけ? スコットランドか。結構強い相手だと思ってたら、意外と勝てちゃったんだよね。点取ったのモリシ(森島康仁)、ウメさん(梅崎司)、あおちゃん(青山隼)でしょ? 良く覚えてるな(笑)」

 当時、練習時間の大半を割いてこの初戦のスコットランド相手に対策を施し、万全の態勢で勝負をかけて臨んだ。結果3-1で勝利するのだが、この試合に弾みを得たことは間違いない。

 続く第2戦はコスタリカ戦だった。

「2試合目、苦戦したと思う。相手はコスタリカか。そうそうすごい強かったんだよな。あいつらってね、がしゃがしゃってなったら(ボールの奪い合いになったら)絶対にね、なぜかあいつらの前にこぼれるの、なんでだかわからないけど。上手いし、体は強いしぶれないし。(今大会で日本が第2戦で対戦する)ウルグアイってこういうイメージなんじゃないかな? で、あの試合は、アトム(田中亜土夢)のゴールで勝てたんだよね」

槙野や安田もいた“調子乗り世代”の冒険。

 日本はこの2勝で突破を決めた。おかげで第3戦は主力を休ませ、控えに経験を積ませることが可能になった。この試合で先発した選手の中には香川真司もいる。第3戦はナイジェリアと引き分け、決勝トーナメントに1位で進出した。

「ナイジェリアとやったよね。アフリカ勢は嫌だったな。もう足が速いとか特徴がはっきりしてるから。そういう意味では中南米とか、アフリカとかよりヨーロッパが一番やりやすかったと思う。最後チェコね。勝てそうだったんじゃないっけ?」

 決勝トーナメント1回戦はこの大会で準優勝したチェコを相手に、2-0でリードしながらも追いつかれ最後はPK戦の末に敗れた。日本は当時、槙野智章や安田理大ら明るいやんちゃな選手が揃っていたこともあり“調子乗り世代”などとスポーツ紙に愛称をつけられたが、この時の対戦相手のチェコも同じようなチームワークと明るさと勢いを感じさせるチームだった。それだけに、もったいない一戦でもあった。

「やっぱり監督とコーチが良かったんだと思うよ」

 とはいえ、「楽しかった」と内田がこのチームを振り返るのは、単に選手同士の仲が良かったからだけではない。

「やっぱり、監督(吉田靖)とコーチ(森保ー)が良かったんだと思うよ。監督は基本的に優しい人なんだけど厳しいところもあって、アジア予選から主力をガラッと入れ替えたりもしていた。それって難しいこともあると思うんだよね。監督が優しい分コーチの森保さんがぴりっと締めてくれてたな」

 吉田靖監督は、端から見れば穏やかで口下手な、選手になめられかねないタイプだ。選手をつけあがらせるか、のびのびやらせて結束を固めるかのさじ加減は難しいところだが、けじめをつけるところはつけ、コーチとのコンビネーションでチームをマネジメントした。

 一方で起用にはシビアな一面を見せ、アジア予選では主力だった山本真希を、世界大会のメンバーにさえ選ばなかった。

「あれ意外にできるじゃんって感じだと思う」

 内田はこのU-20ワールドカップ後には北京五輪代表、そして南アワールドカップ代表へと飛躍し、その後はドイツブンデスリーガ・シャルケに移籍と一気に駆け上がった。今でも欧州CLで準決勝に出場した唯一の日本人選手だ。そんな内田が後輩達に送るエールには説得力がある。

「20歳くらいだと、外国人も日本人もみんなあまり変わらない。上手いとか下手とかあんまりない。この後で結構差はついてくるんだけどね。だからやってみたら、あれ意外にできるじゃんって感じだと思う。彼らが準備でどれくらい海外との試合を経験してきたかは知らないけど、自信を持ってやれば良いと思う。イタリアとウルグアイは自分たちが1位2位を争うつもりだと思うから、初戦の南アにきっちり勝つことが大事。やっぱり初戦が全てだと思うよ」

 10年ぶりの世界挑戦。日本の若者達の戦いは間もなく始まる。

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