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U-20W杯で「黄金世代を超えたい」。初瀬、小川、堂安それぞれの野心。

Number Web のロゴ Number Web 2017/05/19 佐藤俊
巧みな左足を持つ堂安、豊富な運動量でサイドラインを駆ける初瀬。そしてフィニッシャーの小川。3人が待ちわびた大舞台が幕を開ける。 © photograph by AFLO 巧みな左足を持つ堂安、豊富な運動量でサイドラインを駆ける初瀬。そしてフィニッシャーの小川。3人が待ちわびた大舞台が幕を開ける。

 いよいよU-20W杯が始まる。

 日本にとって10年ぶりの参戦、さらに久保建英が飛び級でメンバー入りするなど話題と期待が大きく膨らんでいる。

 選手たちは、いろんな思いを抱えてピッチに立つ。

 世界と戦って自分の現在地を知るとともに少しでも成長し、その後のサッカー人生につなげていきたい。勝利に貢献して自分の名前を世界に知らしめたい。チームとして歴史に名を残したい等々……。

 実際、この大会での経験は非常に大きく、過去の大会に出場した選手たちはこの大会で成長し、日本サッカーの中心選手になっていった。

初瀬が尊敬する先輩・宇佐美と似ているギラギラ感。

 初瀬亮は、この大会に懸ける気持ちが非常に強い。

 昨年、AFC U-19選手権バーレーン2016を戦うのを愉しみにしていたが、大会初日に膝を負傷。決勝までの6試合でスタメン出場できたのはグループリーグのイラン戦と準決勝ベトナム戦の2試合のみ。ベスト8のタジキスタン戦、決勝のサウジアラビア戦は途中出場に終わり、チームは優勝こそしたものの悔しい思いを噛みしめた。

「昨年の大会は膝を怪我して、ほぼベンチでちょっと試合に出た感じだったのでチームに貢献することができなかった。ベンチに座っているだけじゃ物足りないと思っていたので本当に悔しかったです。今年は最初ガンバで試合に出られたんですけど、代表に合流する前の3試合は出場できていない。昨年と今のこの悔しさを大会にぶつけて健太さん(G大阪の長谷川監督)にアピールしたいと思っています」

 初瀬は、左右のサイドバックをこなせる器用さを持ち、ピッチ上でも外でも声を出して雰囲気を盛り上げるムードメーカーだ。それと同時に内面に非常に熱いものを秘めている選手でもあり、それはピッチでの激しいプレーからも見て取れる。今どき珍しくギラギラ感を発散するタイプで、初瀬が尊敬するガンバユースの先輩・宇佐美貴史と似ているところでもある。

「メラメラしてますんで、ガツガツいきます」(初瀬)

「もう今からメラメラしていますんで、大会ではガツガツいきます。メラメラしてやらないとこれからのサッカー人生を生きていけないと思うんです。もちろん大会に出ても将来、生き残っているかどうかという保証はない。でも、選ばれたからには前(U-19選手権)と同じ轍は踏みたくないですし、このW杯に懸ける思いは誰よりも強いんで初戦から全部の試合に出て戦っていきたい。それに昨年の大会では、みんながW杯出るためにがんばってくれたけど、今回は選ばれなかった人もいる。その人たちのために自分の足が折れてでも戦いたいと思います」

 初瀬の覚悟は、大会で大きな爪痕を残すことができるだろうか。

少年時代の小川航基は“ジャイアン”のようだった。

 小川航基は、ジュビロ磐田ではまだ完全なレギュラーではないが、U-20日本代表では点が取れるエースストライカーだ。得点感覚に優れた選手に成長したベースは、小学校時代と中学時代にある。

“小川はジャイアンだ”

 小川は小学校時代、チームメイトにそう思われていたという。というのも今からは想像ができないほど太っていたのだ。

「もう、めちゃ太っていましたね。すごい食べて体が大きかったですし、走れなかった。だから、ゴール前にいて『ボールを寄こせ』って感じで、ばんばんゴールを決めていました」

 現在は逆に筋肉がつきにくい体になり、食べてもなかなか大きくなれないのが悩みでもあるが、小学校時代はその体の大きさから、まるでジャイアンのようなストライカーだったのだ。「ボールを寄こせ」と仲間に要求し、当たり前のようにゴールを決めていた意識が、小川のストライカーとしてのベースを築いた。

 そして、中学生になると成長期に入って身長がぐんぐんと伸び、体型が大きく変わっていった。

「中学では小学校時代のストライカーの意識はそのままだったんですが、身長が伸びて痩せていったんです。まったくダイエットとかしなかったんですが、親がすごく食事のことを考えてくれていました。その食生活の管理がすごく大きかったですね。それで痩せて動けるようになって、走るスピードが上がっていった。今の自分のプレースタイルの原型がその時、できたという感じです」

「上を目指して、黄金世代を超えていきたい」(小川)

 その後、桐光学園高校に入り、高校選手権で活躍してジュビロ磐田に入団した。

 中山雅史、高原直泰という希代のストライカーの系譜に連なる存在として名波浩監督も「可能性がすごくある」と期待している。チームの勝利に貢献するのはもちろん、自らの力を証明し、自分の名前を世界に発信するために小川は世界の舞台に立つ。

「いよいよという感じですね。ここまで充実した時間を過ごせたし、いい練習もできた。これから急にうまくなることはないので、あとは連係面を向上させていくのが一番大事。ホンジュラス戦では流れの中で点が取れなかったのが不甲斐なかったですけど、それは本番に取っておきます。ひとつでも上を目指して、黄金世代を超えていきたいですね」

「ヤバいくらい調子が良すぎて怪我しそう」(堂安)

 堂安律は、今が「絶好調だ」という。

 ガンバ大阪では8節から10節までスタメンフル出場を果たし、3ゴールを挙げた。リーグ戦とACLと連戦が続き、体力的な疲れがあったが合宿に合流してコンディションを整えると、ウソのように疲労が抜けたという。

「ヤバいくらい調子がいい。良すぎて怪我しそうなくらい。体が伸びるところは伸びるし、ボールも獲り切れる。最近は点が取れる感覚がわかってきたし、攻撃を作る時、自分が関与しない時はみんなに任せてフィニッシュを決める役割を果すとか、そういうメリハリをつけることができるようになってきたんで、大会が楽しみです」

 もともとドリブルができてパスも出せるし、フィニッシュもできる選手だが、今年は得点感覚により磨きがかかっている。そのキッカケになったゴールシーンがあった。4月30日の横浜F・マリノス戦で、藤春廣輝からニアに入ったクロスを長沢駿がヒールで流し、中央から堂安が詰めて決めたものだ。

「あのゴールって無理せず、一番簡単じゃないですか。リーグ戦で大量得点するには、そういうゴールが必要やと思うんです。自分で運んで決めるゴールも1点やし、簡単に決めるのも1点。しっかり隙なく、簡単にゴールを決めるのがストライカーだと思うんで、あのゴールを決められたのは自信になりました」

アフリカ勢相手にもスピードで負けず、ブチ抜く。

 U-20日本代表では、まず自ら仕掛けることを意識している。左サイドで崩し、クロスが上がった時はファーサイドに詰めつつ、こぼれ球とマイナスのパスを狙う。いつも得点を狙い、自分が決めるつもりでいる。

「ゴールを決めるのが自分の仕事やし、その野心に満ちているんで(笑)」

 気持ちはすでに戦闘モード、視線も初戦の南アフリカ戦に向いている。アジアを戦い抜き、ドイツ遠征などで海外経験を積んできたが、堂安はアフリカ勢が一番難しい相手とみている。

「欧州や南米はフィジカルが強くてスピードとか技術が高いけど、だいたい何をしてくるのか読めるんですよ。でも、アフリカ勢は訳わからんところから足が出てくるし、フィジカルもめっちゃすごい。正直、一番イヤですね。だから初戦を取れれば大きいし、波に乗れると思う。その勢いでアジアでは優勝できたし、今回も優勝を狙っている。そこで自分が点を取って勝つのが理想です」

 この大会のために、そして世界で闘うために走るスピードを改善し、フィジカルを強くするなど地道に準備してきた。アフリカ勢相手にもスピードで負けず、目前の相手をブチ抜いて世界をアッと言わせてほしい。

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