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村上海賊に遭遇!? 来島海峡急流観潮船のクルーズが楽しすぎる

マイナビニュース のロゴ マイナビニュース 2017/11/14 中納俊
© マイナビニュース 提供

●来島海峡クルーズ(前編)
遊覧船といえば、"船上からのんびりと観光スポットを眺めるもの"というイメージをお持ちではないだろうか。愛媛県・大島から出航している「来島海峡急流観潮船」は、ひと味違う。村上海賊ゆかりの歴史ロマン、海流がぶつかり合う激しい海原、間近に迫る巨大な造船工場……そこには、身も心も揺さぶるドラマがあった。

○第壱話「雨したたる、出航前」

朝一から船で海へ出るというのに、あいにくの雨。しかも、なかなかの雨量。船が出航できないのでは? と一抹の不安を抱えながら、船の出航場所である道の駅「よしうみいきいき館」に到着した。

不安をよそに船は出ると聞き、さっそく船着場へ。そこでカッパを手渡される。てっきり雨が降っているからとばかり思っていたのだが、そうではない。波しぶきがかかることがあるのでカッパを着るのだという。「こんなに静かな海なのに……?」と少し不思議だったが、とにかくカッパを着用して船へ向かう。

このとき、筆者の頭の中では「船でのんびりと渦潮みたいなヤツを観るだけでしょ」としか思っていなかった。しかも、朝早くて頭はぼんやり。ところが、船に乗り込むと……。

○第弐話「動き出す、船」

船に乗り込むと、全員が救命胴衣を着用。準備が済み、女性のガイドさんの「出航しまーす!」の一声で船は動き出した。

速い。思っていたより全然、速い。かなりのスピード感がある。乗客たちも皆、少し戸惑っている様子だ。しかも、時たまガッツリと波のしぶきがかかる(濡れたくない人は、ガイドさんがあまり濡れない席を教えてくれるそう)。そのたび、船上でちょっとだけ悲鳴があげる。このころから「あれ、おかしいな」と、いつもの乗りなれた遊覧船とは違うことに気づく。

乗客たちの困惑をよそに、ガイドさんは慣れた声色で「この海峡には、かつて村上海賊という~」と、海峡の解説をスタート。正直、動揺していたので、あまり頭に入ってこない。ちなみに内容は、戦国時代からこの瀬戸内の海峡を拠点に活動していた村上水軍(海賊)の話。村上海賊は、能島村上氏、因島村上氏、来島村上氏の3つの勢力に分かれており、その名の通り来島村上氏が、この来島に拠点を築いて活動していたという。

しばらくして、ようやく船の早さに慣れ始めたころ、突然ガイドさんが大声をあげた。「あれ!? あの船は何!? こっちに近づいてくるっ!!」

○第参話「海賊、襲来」

ガイドさんが指さす方向を見ると、一隻の小舟。すごいスピードで、こっちに向かってくるではないか。目を凝らし、よく見てみると、あれ? 鎧兜を着てる。もしかして……。

「あれは、村上海賊です!」とガイドさんが声をあげる。すぐさま船の横まで来た小舟には、甲冑の男性が「村上海賊だっ!」と刀を振りかざす。

まさか、あの伝説の海賊に出会えるなんて! 船上では乗客たちが歓声をあげ、誰もがカメラを構える。シャッターの嵐。また、それに応えるように、海賊は刀を高々と掲げてポージング。揺れまくりの不安定な小舟で、重い甲冑に身を包みながら必死にポーズをとる海賊……なんだか、とても愛おしい。

次項では、ついに来島の急潮流へ!

●来島海峡クルーズ(後編)
○第四話「渦、揺れる船上」

村上海賊が去ったあとは、いよいよ海峡急流へ。ガイドさんによると、この来島海峡は鳴門海峡・関門海峡に並ぶ日本三大急潮流のひとつとのこと。しかも、古くから"一に来島、二に鳴門、三とさがって馬関瀬戸(関門)"とうたわれ、3つの中でも潮の流れが最も早く"最大の難所"と言われてきたそうだ。

最大時に10ノット、落差2メートル、時速18km、そして大潮のタイミングには直径10m以上の「八幡渦」と呼ばれる巨大な渦がいくつも発生するという。ちなみに、日によって潮の早さは異なり、そのレベルは10段階に分けられるとのこと。「今日は?」と聞くと……なんとレベル"8"! はやいっ!

そうこうしているうちに、遠くにうごめく白波が見えてきた。近づくにつれ、船は徐々にスピードを落とすが、次第に揺れは増していく……。

近くでみる「八幡渦」は、圧巻のひと言。こんな風に縦横無尽に波がうねる光景は、今まで見たことがない。「ここに落ちたら……」と考えただけでゾッとし、手すりを強く握りしめた。

それから、どんどん船は渦に近づいていく。どんどん、どんどん……え! もう飲み込まれるじゃない!? と思った瞬間、ガイドさんが「渦の上を通過します!」と衝撃発言。同時に船はぐわんと上下し、乗客の誰もが「うわっ!」「おぉ!」と声をあげた。

てっきり、渦の近くを通るだけとばかり思っていたが、まさか突っ込んでいくとは驚き。手に汗握るほど、スリル満点だった。

○第伍話「ガイド語る、海峡の史」

「いやぁ~、すごい迫力だったね」「おれ、落ちたらどうなるか想像しちゃったよ」と、乗客たちは興奮気味。海賊の襲来、渦を通過を経て、よく言う"吊り橋効果"じゃないが、みんなで危険を乗り越えたような気分になり、いつの間にか乗客たちに妙な一体感が生まれている。

ここからは、来島海峡に点在する島や名所を巡っていくという。この来島海峡は、村上海賊ゆかりの史跡のほか、巨大な渦潮、これまた巨大な来島海峡大橋、日露戦争の戦跡……と、実に見どころが多い。船では、それら海峡に点在する見どころを巡りながら、ガイドさんが丁寧に解説してくれる。

真下から眺める圧巻の大橋、村上海賊が拠点にしていた島、大河ドラマ「坂の上の雲」で使われた28サンチ榴弾砲のレプリカなど、いずれも見ごたえ満点。美景はもちろん、歴史ロマンで知的好奇心も満たしてくれるスポットの数々に、乗客たちのシャッターは鳴りやまない。

○第六話「巨船、迫る」

いよいよ航海も終盤。船は造船地帯へと進んでいく。今治市の代表的産業といえば「造船」。その主要施設が集結しているのも、この来島海峡なのだ。

近年、巷では"工場景観"が密かな人気となっているが、この船で見る造船所の景観はファンならずとも一度は見て欲しい。海から近づけるとあって、今まさに造船中の船、巨大な工場などがすぐ間近で眺められるとあって、迫力がスゴイのだ。

工場で働く方々もウェルカムな雰囲気で、近くを通ると手を振ってくれたりするのも、なんかいい。来島の造船は、世界でもトップクラスの技術と規模を誇るとあって、造船所が囲む湾に入れば、なんだかSFの世界に迷い込んだような気分にも浸れる。

○最終話「航海の末に」

「では、港に戻っていきますね」というガイドさんの声を合図に、船は港へ向かう。相当に見ごたえがあった分、いつしか船に愛着がわき、下船するのが少し寂しい気持ちになってくる。そんな中、ガイドさんが「ここで、来島ゆかりの歌を一曲」と言って、センチメンタルな歌謡曲をアカペラで披露。……これが、沁みる。

ガイドさんの美声とともに幕を閉じた、来島海峡急流観潮船のクルーズ。所要時間は約50分間ながら、見ごたえは抜群。しかも、価格はなんと税込1,500円(大人)、安いっ!! これは"買い"というか"乗り"だ。この船をただの観光クルーズと侮ることなかれ。船の上では、大興奮のドラマが待っている。

●information
来島海峡急流観潮船
乗船場所:伊予大島 下田水港(道の駅 よしうみいきいき館)
時間:9~16時頃
※定期便ではなく、潮流などにより毎日運航時間が変わるので事前に要問い合せ

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