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竹細工のコーヒードリッパー! 伝統工芸の技術を生かした便利グッズ

コロカル のロゴ コロカル 2019/01/10 20:05 コロカル編集部
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茶こしから生まれた戸隠竹細工のヒット商品

竹で編まれた目の細かいコーヒードリッパー。いまではなかなか手に入らない人気商品なのですが、実はこれ、長野県の伝統工芸「戸隠(とがくし)竹細工」のアイテムのひとつなんです。

戸隠竹細工とは、この地域に自生する「根曲がり竹」(チシマザサ)という、真竹に比べて繊維がしなやかで丈夫な素材でつくられる生活用品。輸入品の竹細工は使っていると棘が立ってきてしまいますが、戸隠竹細工は使い込むと飴色のような色合いになって手に馴染み、頬ずりができるほど滑らかになってくるのです。

粘りがあって強靱な根曲がり竹の特性を生かし、箕(み)や魚籠(びく)など、自然の中や台所などで使うさまざまな道具がつくられ、重宝されてきました。 © MAGAZINE HOUSE Co.,Ltd. 提供 粘りがあって強靱な根曲がり竹の特性を生かし、箕(み)や魚籠(びく)など、自然の中や台所などで使うさまざまな道具がつくられ、重宝されてきました。

粘りがあって強靱な根曲がり竹の特性を生かし、箕(み)や魚籠(びく)など、自然の中や台所などで使うさまざまな道具がつくられ、重宝されてきました。

その真骨頂といえるのが、戸隠名物のそばを盛る「そばざる」。若竹、2年もの、3年ものと3種類の竹を使い分けながら緻密に編むことで、堅牢で完成度の高い一品に仕上がります。

日本三大そばのひとつに数えられている「戸隠そば」は、ざるも大切な要素。 © MAGAZINE HOUSE Co.,Ltd. 提供 日本三大そばのひとつに数えられている「戸隠そば」は、ざるも大切な要素。

日本三大そばのひとつに数えられている「戸隠そば」は、ざるも大切な要素。

© MAGAZINE HOUSE Co.,Ltd. 提供 ほかにも戸隠竹細工の用途は広がっています。 © MAGAZINE HOUSE Co.,Ltd. 提供 ほかにも戸隠竹細工の用途は広がっています。

ほかにも戸隠竹細工の用途は広がっています。

この熟練の技術を用い、近頃、大きな注目を集めているアイテムが、戸隠中社竹細工生産組合長で〈井上竹細工店〉の井上栄一さんが手がけるコーヒードリッパーです。

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銀座の寿司屋から茶こしの製作を依頼されたことがきっかけで生まれたというこのドリッパー。細かい茶葉は網目に詰まってしまうため、茶こしも紙のフィルターとセットで使う必要があるのですが、それなら同様にフィルターを使うコーヒードリッパーにも応用できるのでは? と、そばざるの技術を駆使してつくったのがはじまり。

ただ、そばざる以上に先端部分の編み目が細かいため吟味した竹を使う必要があり、より高度な技術と手間がかかるそう。そのおかげで細かい編み目からコーヒーがゆっくりと時間をかけて抽出されるため、渋みや雑味のないまろやかな味になるといいます。

こうした伝統の技術が凝縮された上質な佇まいと味わいがテレビで紹介されたこともあり、いまでは予約もできないほど人気の商品となっています。

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そんな井上さんに竹細工のおもしろさを尋ねてみると「形や大きさなどお客様の要望に柔軟に応えられることですね。自分で山に入って材料の竹を切り出しつくっていく自己完結型であることも魅力かな」との答えが。

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また、代々竹細工をつくる家で育った井上さんは「竹を切って割り続け、繊維のように細くし、まったく違う立体の形として新たな命を吹き込む祖父や父の手の動きがマジックのようだと感じた」と、幼い頃を振り返ります。

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ちなみに、ナタとハサミ、切り出し小刀といった竹細工の道具は鍛冶屋でオーダーメイド。実は竹を割る材料づくりが最も時間も技術も要するのだそうです。

「竹は節があるし、それぞれかたさも違うんですが、製品の種類ごとに厚さや幅を揃えていきます。やっぱり材料がいいとよい品物ができますね」と井上さん。

竹は指先の感覚で切り出すため、昔の人は停電しても竹割りができたそう。とはいえ、熟練した職人でもなかなか納得のいくものができないことがあるほど難しいそうです。

© MAGAZINE HOUSE Co.,Ltd. 提供 最近では戸隠竹細工による弁当箱やバッグ、カゴなど時代に合ったものも手がけている井上さん。こちらは長年使い込んで飴色になった井上さんの私物。 © MAGAZINE HOUSE Co.,Ltd. 提供 最近では戸隠竹細工による弁当箱やバッグ、カゴなど時代に合ったものも手がけている井上さん。こちらは長年使い込んで飴色になった井上さんの私物。

最近では戸隠竹細工による弁当箱やバッグ、カゴなど時代に合ったものも手がけている井上さん。こちらは長年使い込んで飴色になった井上さんの私物。

こうしてできあがるコーヒードリッパーはなかなか手に入らない希少な商品ですが、実は長野県のアンテナショップ〈銀座NAGANO〉では毎月数量限定での特別販売をしています。詳しくは銀座NAGANOにお問い合わせを。

また2月28日(木)は、同じく銀座NAGANOで熟練職人による戸隠竹細工製作の実演も行われます。

精密機器の技術を生かしたスタイリッシュなペン

一方、伝統工芸とは対照的な工業製品の分野でも、長野県にはすばらしい商品が誕生しています。高度な切削技術を擁して開発された〈丸安精機製作所〉のオリジナルブランド〈Laurett’s(ローレッツ)〉です。

〈Laurett’s〉は外観をギザギザの形状に切削するローレット加工の技術を生かした美しく精密なデザインが特徴。スタイリッシュな筆ペンやボールペンが発売中です。実際に触れると心地よい手触りで、筆ペンの〈MLK万年毛筆〉は墨汁の老舗メーカー〈開明〉とのコラボでつくられました。

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誕生のきっかけは「自社の誇る技術を生かしたオリジナル商品をつくりたい」との思いと、工場見学に来たデザイナーから出た「文具をつくってはどうか」というアイデアの出会い。「金属加工の現代的なソリッドさと毛筆の古風なやわらかさの融合」をめざして試行錯誤が繰り返され、約2年の歳月を経て完成し、2018年6月には栄えある〈日本文具大賞(デザイン部門)〉の優秀賞も受賞しました。

「こだわったのは、外観のシンプルな美しさと、開けると筆ペンというギャップのおもしろさ。転がり防止や携帯性の面でクリップをつけるか悩みましたが、最終的には見た目の意外性やデザインを大切にしました」と、取締役の長峰偉紘さんは話します。

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また、ボールペンは内部のパーツまですべて自社で削り出しており、ボディとキャップがアルミなのに対して、ペン先は真鍮を用いることで前重心になり、安定感がアップしています。ペン芯は実際に使って最も書き心地が滑らかなものを採用していますが、ユーザー好みのものに交換可能。今後はボディの長さを伸ばすエクステンションバーの開発なども考えているそうです。

Laurett’sは銀座NAGANOの近所にある〈銀座伊東屋〉や〈銀座蔦屋書店〉などで取り扱っています。ぜひ実際に手にとって、長野県のさまざまなものづくりに触れてみてください。

information

銀座NAGANO

住所:東京都中央区銀座5-6-5

TEL:03-6274-6015

営業時間:10:30~20:00

Web:銀座NAGANO

writer profile

Hiromi Shimada

島田浩美

しまだ・ひろみ●編集者/ライター/書店員。長野県出身、在住。大学時代に読んだ沢木耕太郎著『深夜特急』にわかりやすく影響を受け、卒業後2年間の放浪生活を送る。帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店〈ch.books〉をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。

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