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自然循環型の農業と暮らし。農場を営む移住者と2拠点生活のスタッフ

コロカル のロゴ コロカル 6日前 コロカル編集部
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循環する農業・暮らしがテーマ! 各地から移住してきたメンバーが、共同生活を送る〈ぴたらファーム〉

「パーマカルチャー」という、自然のリズムに寄りそった農業と、暮らし方。この思いに共感するメンバーが生活をともにする〈ぴたらファーム〉。

山に囲まれ、清流を抱く、山梨県北杜市の白州エリアに、ファーム長・田才泰斗さん、青木彩華さんたちが農場を立ち上げたのは7年前。それぞれに経験した農法や、自然への向き合い方、暮らしのアイデアが一致し、泰斗さんの故郷、札幌北部の原風景に近いというこの地に移住したという。

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その後レギュラーメンバーとなったスタッフ、短期滞在で訪れる人、WWOOF(World Wide Opportunities on Organic Farms)を見て訪れる外国人など、複数のメンバーが集まり、ひとつ屋根の下で暮らしている。

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「ぴたら」とはマオリ語でテントウムシのこと。種によっては、作物に被害をもたらす害虫や菌を食べ、作物を守ってくれる強い味方。自然界のパズルの1ピースを担う「ぴたら」をファーム名に借りたのだそう。

「自然循環型」の暮らしには、アイデアと知恵が満載!

ここには、農業、土壌、建造物、自然エネルギー、廃棄物、コミュニケーションなど、ぴたらファームの理念に基づいた、循環する仕組みが揃っている。

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ぴたらファームの循環の仕組み。

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オール手づくりのコンポストトイレ。排泄物を微生物で発酵させ、土に還す仕組み。便器も木を使った手づくり。建造物は、崩せば容易に土に還る素材でできている。

でも、なぜ循環する仕組みなのか?ぴたらファームの考え方は、こういうこと。

私たち人間は、穀物、野菜、肉を食べて生きている。食肉となる牛、豚、鶏などは、草や穀物を食べて生きている。その動物が食べる草や穀物は、土からできている。土にはたくさんの微生物がいて、有機的な土壌環境を整える。有機的な土からは植物が育ち、植物は、動物や虫の命の糧となる。そうして命を終えた生き物は、また土に還る。

よく聞く話ではあるけれど、都会で生活していると忘れがちな自然界の仕組み。ぴたらファームでは、こうした巡りを農や暮らしに落としこむ実践をしているのだ。

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鶏小屋は、竹、古畳、藁などの素材で手づくり。ハイペースで卵を産めなくなった鶏などを譲り受け、自然のペースで気ままに産卵させているそうだ。台所から出るごはんの残りは鶏たちが食べ、鶏糞は畑の肥料に。

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玄関先に置いてある手づくりのヘビイチゴチンキ&ドクダミ軟膏。虫刺され、あせも、湿疹に。旬の植物を長く楽しむ工夫がなされ、健やかな暮らしに役立てている。(Photo:Shiori Kudo)

「パーマカルチャー」ってどんなもの?

パーマカルチャーとは、永続性(パーマネント)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた言葉で、自然界の体系を観察し、伝統的な農法の知恵と、現代の技術的知識(適正技術)を組み合わせ、永続可能なライフスタイルを構築するシステムであると言われている。

ぴたらファームは、パーマカルチャーの哲学をベースにする農場。しかし、なぜそこに行きついたのだろう?立ち上げメンバーの泰斗さんと、彩華さんに話をうかがってみた。

「大学を卒業したあと、世界を放浪していた時期があって。そのとき、日本は分業化が進んで、社会は成熟しているかもしれないけれど、ひとりひとりの生きる力は失われつつあるんじゃないか、と感じたんです。そこから僕は、自分の力で生きられる人になりたい、と思うようになって」(泰斗さん)

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ファーム長の田才泰斗さん。畑・米担当。木工の仕事をしていた経験を生かし、敷地内の建造物づくりや建物の修繕も手掛けている。(Photo:Shiori Kudo)

その後、いくつかの経験や就業をするなかで、茨城にあるオーガニックファームに出合った泰斗さん。そこでは、スタッフが共同生活を送りながら、有機農業、循環型の暮らしをしており、泰斗さんは約3年半、スタッフとして働くことに。

「しばらくして、もっと自分の理想とする環境で、自分が伝えたいことを伝えられる場所をつくりたいと思い、独立を考えました」(泰斗さん)

泰斗さんとともに立ち上げに携わった彩華さんは、ニュージーランドやオーストラリアに留学し、パーマカルチャーを学んだ経験が。

「もともと植物が好きで、いつも森で遊んでいるような子どもだったんです。近所に大好きな木があったんだけれど、開発の関係で伐られてしまって……。そのときから、自然と人間の共存みたいなものが、自分の中のライフワークテーマになったような気がします」(彩華さん)

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ECサイトの制作・更新や、加工品づくり、外国人が訪れたときの案内などを兼任する青木彩華さん。ときどき東京に出向き、ぴたらファームの食材を使った食事会を開くことも。

ランドスケープ、パーマカルチャー、自然農法——さまざまに学んできたなかで、自分の行きついた理念に説得力を持たせるには、自分自身がどう暮らすかというところから始めなければ、と思い至ったという。

「ニュージーランド、オーストラリアで、いろんな人と共同生活を送りながら、自然にあまり負担のかからない暮らしや、持続可能な暮らしを模索するというような、緩いコミュニティを見てきて。同じようなイメージで、日本でやってみたいという気持ちがありました」(彩華さん)

そんな折、泰斗さんと出会うキッカケがあり、話をすれば、お互いの理想とするイメージやキーワードが一致。このようにして、ぴたらファームが立ち上がり、パーマカルチャーというキーワードが、どっしりと根づくことになった。

農場だけれど、農業が一番重要ではない!? ぴたらファームで得られるエッセンスとは? © MAGAZINE HOUSE Co.,Ltd. 提供

「ここはファームだけれど、農業に一番重点を置いているわけではなくて。大地にしっかり足をつけて生きる暮らし、四季を取り入れた衣食住、手づくりの暮らし。それらのベースに農業があり、手を抜かずに取り組んでいるという感じです。滞在される方には、そういったことを楽しく実践してもらいたいという思いがあります」(泰斗さん)

農場だけど、農業がメインじゃない。なんだか新しい発想だが、ぴたらファームで過ごしている間に、なるほど、納得。例えば、屋外の長いテーブルを囲んで、四季を感じながらみんなでいただく食事。ただ提供されるのではなく、ゲストも一緒に手伝う。食べ物の旬、野菜本来の味、新しい発想の献立を知ることができるのは農場ならでは。

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食事は屋外の長いテーブルで。ちょっと珍しい野菜が登場したり、こんな食べ方があるんだ! という発見につながったり。鳥の声や、風の音、四季を感じられるおいしい時間。

食後の片づけも、もちろんみんなで。パーマカルチャーの理念を取り入れ、自然素材と無駄のない洗浄方法で、すっきりと洗う。普段、合成洗剤を使う私たちは、きっと目からウロコ。都会に戻っても、自然に寄りそった暮らしのアイデアが生かせそうだ。

短期滞在以外にも、季節ごとの農体験、暮らし体験、収穫祭など、一般参加のイベントを開催している。年3回に分けて行われる大豆プロジェクトイベントは、大豆の種まき、収穫、採れた大豆でつくる豆腐づくりと、大地と食卓がつながるような体験型企画になっている。

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在来種を主とした大豆。イベント参加者が持参したものや、農家から集まった大豆を育て、自家採取。同じ場所で採り続けることで、その土地の風土に順応し記憶され、それがまた次の種に受け継がれるのだ。(Photo:Shiori Kudo)

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大豆プロジェクト用の畑。大豆の種をまく前には、参加者に蒸し大豆を試食してもらい、気に入った品種を多めにまいてもらうそう。

何かの折にここを知り、この地とぴたらファームの暮らしに魅せられ定期的に通う人や、「ぴたらファームがつくるものだから」と野菜や米を買いに来る人、最終的に山梨に移住する人もいるのだとか。

「いろんな人が来ることで、いろんなアイデアが生まれ、いろんなかたちで派生していって。“共生共創のコミュニケーション”は、ぴたらファームの理念のひとつで、私たちも訪れる人にたくさんのアイデアをもらっています」(彩華さん)

毎日が濃厚なドラマのよう、と話すぴたらファームの皆さん。私たちが訪れたなら、なにかしら持ち帰れるエッセンスがあって、大地に生かされていることを、あらためて気づかせてくれる場所。

ぴたらファームでは今日も、のんびりと、ドラマチックに、自然循環型の営みが続いている。

© MAGAZINE HOUSE Co.,Ltd. 提供 スタッフだけれど、東京・山梨の2拠点生活! マメちゃんのお話

いっぷう変わった偏食家(失礼!)工藤詩織さん、通称「マメちゃん」。その名の通り、豆、特に大豆食品が大好きで、幼少期からごはんの代わりに、豆腐やおからを主食にしてきたという食歴の持ち主。

彼女はぴたらファームのスタッフだが、唯一、東京と山梨の2拠点生活を送るメンバーだ。

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みんなから「マメちゃん」と呼ばれる、工藤詩織さん。豆腐マイスターの資格や、趣味の写真などを生かし、ぴたらファームのPRなどを手掛けている。(Photo:Maho Miyashita)

過去、豆腐業界に深く足を踏み入れた社会生活を送っていた彼女。ぴたらファームのスタッフとなった経緯と、2拠点生活スタイルを選んだ理由を聞いてみた。

「大学生の頃、ぴたらファームの存在を知って訪ねたんです。都会での暮らしとは全然違うものだけれど、同時に、こうやって生きていける世の中だったんだ! って、ものすごく新鮮に映って」

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「山梨に来るたび、景色が違うものになってる。田舎のスローライフって言葉があるけれど、自然は全然スローじゃないと思う」大きく育った稲や大豆を見て、そう呟くマメちゃん。

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以降、足繁く山梨に通い始め、海外でのイベントにぴたらファームの一員として参加したり、農場の畑で大豆プロジェクトを開かせてもらったり。いつの間にか、大切な気づきやキッカケをくれる場所になり、ときどき帰りたくなる、実家のような場所になっていったという。

「ぴたらで一緒にやってほしいこと、いろいろあるのだけど……」ファームのスタッフにならないか、そう声を掛けられたマメちゃん。

「前職の豆腐関連のお仕事を辞めて、職業訓練所のクリエイティブ講座を卒業する頃でした。これから組織に入るか、フリーランスでやっていくか、迷っていたときだったので、まさかのタイミングで声を掛けてもらって。

でも、私がぴたらファームにできることって何だろうって、ものすごく考えて、何度も何度もファームのメンバーと協議しました。

ぴたらファームって、持続可能な仕組みをとっているからこそ、経済的な持続もこれから両立させていかないといけない。大学生の頃から通い始め、長年ぴたらファームを見てきた私だからこそ、もしかしたら、そこで何か役に立てること、手伝えることがあるかもしれないと、スタッフになる決心をしました」

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山梨に移住して、畑の人員になることもできるけれど、完全にファームの人間になったら、ぴたらの魅力をどう伝えていくべきか客観的に見れなくなってしまう気がした、と語るマメちゃんは、東京と山梨を行き来する生活を選ぶことに。

ぴたらファームと東京をつなぐ架け橋になるのが目標、というマメちゃんは、スタッフになったあと、オンラインショッピングサイトの制作や、イベントのチラシづくり、大豆プロジェクトの運営、農作業、東京でのぴたらファームの認知拡大などを担当。

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豆腐マイスターのスキルを生かした豆腐づくりワークショップは、ぴたらファームをはじめ、各地で開催。ときどき海外へ進出することも。(Photo:Minori Maeguchi)

「山梨にいないとできない、とは思っていなくて。逆に私が東京にいることで、いままでぴたらファームがリーチしてこなかった場所から人を流しこむことができるんじゃないかとも思うんです。そういう種のまき方が、これまでの東京での社会生活で経験してきたことを生かす私の特技かも知れません」

唐突だが、大豆の花言葉を知っているだろうか? それは、「可能性は無限大」「必ず訪れる幸せ」。まさにマメちゃんと、ぴたらファームの理念にふさわしい言葉だと思うのは、きっと、私だけではないはずだ。

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大豆の花は小さくて、控えめ。でも、やがて枝豆になり、大豆になり……たくさんのおいしい未来が訪れる。

information

ぴたらファーム

住所:山梨県北杜市白州町横手1118

TEL:0551-35-2793

http://pitarafarm.shop/

text&photograph

Kiyoko Hayashi

林貴代子

はやし・きよこ●宮崎県出身。旅・食・酒の分野を得意とするライター・イラストレーター。旅行会社でwebディレクターを担当後、フリーランスに転身。お酒好きが高じて、唎酒師の資格を取得。最近は野草・薬草にも興味あり。

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