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【クロカン列伝24 初代ビッグホーン編】ドイツのイルムシャー、イギリスのロータス、ビッグホーンを支えた名門

Motor Magazine のロゴ Motor Magazine 2021/02/23 18:00 Webモーターマガジン編集部

1980〜90年代にかけて「クロカンブーム」を支えた4WDが各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第24弾はいすゞ「初代ビッグホーン」だ。

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デビュー時は「ロデオビッグホーン」というネーミングで登場した

1980年、タフな4WDの代表車ともいえるランドクルーザーが先だって乗用車フィールを取り入れた60系を発表し、話題を集めた。しかし、ランドクルーザー60は車体も大きく、価格も高額、誰もが簡単に手を出せる車両ではなかった。

「もっと気軽に楽しめる4WD」のニーズが高まり、1982年にパジェロ、1984年にハイラックスサーフ、1986年にテラノがデビューするなど、各メーカーはRVブームに遅れまいと躍起になるが、この新ジャンルのフラッグシップモデルこそ、1981年にいすゞが投入した都会派4WD「ロデオ ビッグホーン」だった。

「イムーシャS」には2ドアのショートボディもラインアップされた。トランスミッションは5速MTのみだった。 © Motor Magazine 提供 「イムーシャS」には2ドアのショートボディもラインアップされた。トランスミッションは5速MTのみだった。

デザインはイタリア カロッツエリア界の巨匠ジウジアーロ氏が担当。ベース車両は、1972年からいすゞが販売していたピックアップトラック「ファスター ロデオ」を用いた。ちなみに「ロデオ」とはファスターの4WDグレードを示しいていた。

さて、初代ビッグホーンのボディタイプは、ショートバン、ロングバン、ショートソフトトップの3タイプ。1982年にはリアシートの居住性を大幅改良して、5ナンバーワゴンを投入した。1984年、「ロデオ ビッグホーン」の車名を「ロデオ」を外し「ビッグホーン」としてブランドを確立した。また、当初はショートボディ、ロングボディともに2ドアのみの設定だったが、1985年のマイナーチェンジでロングボディは5ドアに変更され、使い勝手が格段に向上した。同時にマニュアルトランスミッションを4速から5速へと進化させた。

クラス初の独立懸架式サスペンションを搭載

斬新さが際立っていたのは見た目だけではない。フロントサスペンションに独立式を採用したのもビッグホーンがクラス初だった。フロントは走行安定性を考慮したダブルウイッシュボーン+トーションバー、リアは悪路走行に強いリーフリジッドを取り入れた。このサスペンションレイアウトは現在のオフロード4WDにも使われている。

1987年にサスペンションに大幅な変更を施す。ドイツの「イルムシャー社」と共同でサスペンション開発を行い、フロントロアアームのスパン延長・前後のトレッド拡大・きめ細かいリセッティングなどを実施し、高速安定性と悪路走破性を大幅に改良した。

1988年11月には、2.8Lディーゼルターボエンジンを搭載したワゴン仕様の「イルムシャーS」が追加された。 © Motor Magazine 提供 1988年11月には、2.8Lディーゼルターボエンジンを搭載したワゴン仕様の「イルムシャーS」が追加された。

このサスペンションを採用したアクティブなモデルを「イルムシャー仕様」とし、後のビッグホーンの代名詞ともなる基礎を作り上げた。以降、イルムシャーシリーズの充実化を図っていった。また、1987年には最高級ワゴングレード「エクスポート仕様」も追加。スタイルでは、特徴的だった丸目2灯ヘッドライトを角目に変更している。

さらに1989年には上級グレードもイノベーションする。エクスポートに代わり、イギリスの「グループ・ロータス・パブリック社」がサスペンションを設定し、よりしなやかな乗り心地を実現した「スペシャルエディション byロータス」をロングボディに追加。この翌1990年にはディーゼルターボ車のロングワゴン車全車に4速ATを設定した。

10年という長い時を過ごした初期型は、絶えず改良を加え人気モデルへと成長した

なおデビュー当初のエンジンは、ファスターロデオから譲り受けた2238ccの直4ディーゼルC223型(最高出力73ps/最大トルク14.2kgm)を搭載した。ただし、こちらはスタイリッシュな見た目とは裏腹に非力さが目立ち、1984年にターボを備えたC223-T型(最高出力87ps/最大トルク18.7kgm)を追加。同時に、ガソリンエンジンG200型(最高出力105ps)をワゴン車に採用する。

1985年には1994cc 直4ガソリンエンジン(4ZC1型:最高出力105ps/最大トルク16.6kgm)へ、1988年には2559cc 直4ガソリンエンジン(4ZE1型:最高出力120ps/最大トルク20.0kgm)へと進化させ、後のロータスとなる3ナンバーモデルを強化する。

イルムシャーシリーズのビッグホーンには、MOMO製のレザーハンドルが標準装備された。 © Motor Magazine 提供 イルムシャーシリーズのビッグホーンには、MOMO製のレザーハンドルが標準装備された。

一方ディーゼルエンジンは1987年にエルフ搭載のターボ付き2771ccの4JB1-T型(最高出力115ps/最大トルク24.0kgm)に変更。1988年には、それにインタークーラーを備えることでクリーンな排出ガスとパワーアップを実現。パワーユニットも絶え間なく進化させ、さらに乗用車感覚に近い4WDに仕上げた。

まだ国内ではRVやSUVという言葉は浸透していない時代だっただけに、ビッグホーンの出発はトライアンドエラーも多かった。しかし、登場からフルモデルチェンジまでの10年間であらゆる面を見直していった結果、一度は下降気味になった販売台数を回復させることに成功。頭角を表した多目的4WDの先駆者ビッグホーンは、ライバルをリードする存在へと返り咲いたのだ。

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