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「AI」と「BI」の2文字ペアが世界を変えるといわれる理由

ZUU Online のロゴ ZUU Online 2018/03/31 09:40
(画像=Phonlamai Photo/ Shutterstock) © AI,BI (画像=Phonlamai Photo/ Shutterstock)

AIとBI。まるで語呂合わせのような組み合わせだが、この2つの言葉が今後の社会を大きく変える可能性を秘めている。

AI(Artificial Intelligence、人工口知能)とBI(Basic Income、最低限所得保証)は一見すると何の関連もなさそうだが、AIが人間の仕事を奪い、具体的にはAIなどを扱う高度な知的労働階級と職を失う単純労働階級の二極化(デジタルディバイド)が進み、そのために富の再分配を行う必要性がある、その一つの方法がBIだという議論だ。

最近では経営コンサルタントの波頭亮氏の著書『AIとBIはいかに人間を変えるのか』(幻冬舎、NewsPicks Book)も注目されている。

経産省「2030年には700万人の失業者が生じる可能性も」

2015年、野村総合研究所からセンセーショナルな予想が発表された。それは日本の労働人口の49%が人工知能に置き換えることが可能、という内容だ。将来AIに取って代わられるであろう職種が具体的に明示されたことを覚えている人も多いのではないだろうか。

昨2017年末、メガバンク3行がAIを活用して大規模な人員削減に踏み込むと発表した。いよいよこの予想が現実のものになりつつあるのだ。一方、日本政府は「日本再興戦略2016」の中で第4次産業革命を打ち出し、特に今後の生産性革命を生み出す鍵は、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、人口知能、ロボットセンサーの4つだと定義している。

この第4次産業革命に的確に対応していかなければ、中間層の崩壊を招き、この状態を放置すれば2030年には700万人もの失業者が生じると経産省は試算している。

BIは人を幸せにするか

富の再分配の一つの方法であるBIは、欧州の経済学者を中心に議論が高まっている。国家が無条件に国民に対して最低限の生活を保障するための給付を行う制度だ。その発端は約500年前、英国の思想家、トマス・モアが著書『ユートピア』の中で提唱した理論。すべての市民は社会の価値ある一員であり、社会全体の富にあずかる権利を有するというものだった。これがBIという概念を裏付ける理論として改めて注目されている。

AIを擬人化することに対して議論の余地はあるが、「ロボットが人間に仕事を奪うなら、人と同じレベルで課税すればよい」とBIの財源としてロボット課税を提言したのがビル・ゲイツ氏だ。

一方、否定的な意見として、「働かない人に何故お金を配るか、それは社会主義と同じではないか」「その財源はどうするのか」といったものある。

実は米アラスカ州には30年以上前から似た制度が存在している。それは石油事業を元手にした「永久基金」と呼ばれるものだ。基金は運用成績によって上下するものの、社会への貢献や富など関係なく一律に支払われてきた。昨年6月Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏はそのアラスカを訪れ、永久基金などの同州の社会制度は他の地域に大いに参考になると持ち上げた。

また2016年6月には、スイスで成人に対して毎月約27万円を支給するBIの導入の是非についての国民投票が行われ、結果的には否決されたが、その後フィンランドやオランダでも検討が始まっている。

興味深いことに、BI制度はリベラル、保守の両方から支持されている。リベラル派はAIが人間の仕事を奪うのでその貧困対策として、一方の保守派はそれとは関係なく、現状多くの執行コストがかかる社会保障制度をスリム化しようとする観点からだ。

AIの普及が人間にもたらすプラス

AIの進行は、グローバル化の中で暴力的なスピードで人間の仕事を奪っていく。一方、それに対応する富の再分配の仕方については政治の世界の話なので、対応が後手に回ることは明らかだ。

AIの普及が結果的に人間にとってプラスになるか、マイナスになるか、今の段階では予測できない。だがAIの普及で人間の生産性が上がり、その余った時間で人々は人間らしい生活を謳歌(おうか)できるのが望ましい社会の姿と考えるが、果たしてそうなるだろうか。

マネーデザイン代表取締役社長 中村伸一

学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。

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