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獣害減少・観光資源創出・人材育成 ジビエサイクル、本格始動 岩手・大槌

河北新報 のロゴ 河北新報 2020/05/19 14:48 河北新報社
加工場でシカを解体する兼沢さん(右) © 河北新報社 加工場でシカを解体する兼沢さん(右)

 岩手県内初のジビエ(野生鳥獣)の処理加工場が18日、岩手県大槌町で操業を始めた。町とハンター、飲食店などが連携して獣害の減少や観光資源の創出、人材育成を図るジビエサイクル構想の中核施設で、害獣を地域の財産に変える取り組みがスタートする。

◎出荷制限で廃棄

 加工場の運営会社MOMIJIを起業したのは町内の猟師、兼沢幸男さん(35)。町の農作物の獣害は年約1000万円に達するが、駆除を担う猟友会員は高齢化などで減少。東京電力福島第1原発事故の影響でシカ、クマ、ヤマドリの出荷は制限され、捕獲しても廃棄を強いられてきた。

 幾重にも絡まる問題を解こうと、兼沢さんは町の復興推進隊員だった岩手県釜石市の藤原朋さん(35)らと約2年前からジビエの勉強会を開いてきた。藤原さんは今年、町内に会社を設立し、兼沢さんとジビエサイクルの中心となっている。

 加工場は約13平方メートルのプレハブ平屋。小さい冷蔵・冷凍設備棟、約30平方メートルの事務棟もある。藤原さんによると、国内のジビエ加工施設の約8割は赤字で、必要最小限の大きさにした。

 本格稼働した18日は兼沢さんが町内で捕獲した2歳ほどの雌のシカ(重さ約40キロ)を解体した。

 シカは現場で血抜きし、1時間以内に加工場に搬入する。素早く丁寧な処理を施すため、臭みのない良質な肉を提供できるという。県の放射性物質検査を全頭行い、安全性を確認して出荷する。

 15日に試食会を開いた町内のカレー店の植山竜太郎店長(56)は「癖がなくジビエ独特のかみ応えもある。カレーと相性がいい」と評価した。肉は町内の精肉店、MOMIJIのホームページで販売される。

◎狩猟体験企画も

 兼沢さんらの活動を背景に県は3月31日、釜石市と大槌町で捕獲したシカの出荷制限解除を国に申請。4月15日付で許可された。

 角や皮を使ったインテリア雑貨の開発や販売、猟師育成塾や狩猟体験ツアーなども企画する。全国からの視察を積極的に受け入れる。町は加工場整備に200万円を助成。藤原さんの会社に「大槌ジビエソーシャルプロジェクト事業」を3000万円で委託する。

 兼沢さんは「仲間の猟師と意識を共有し、山の恵みを生かす。将来的にはクマなどの加工もやりたい」と語った。藤原さんは「野生生物と人、地域が共存するためのサイクルを大槌から発信したい」と話す。

 連絡先は、藤原さんが経営するソーシャル・ネイチャー・ワークス、080(3192)6932。

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