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韓国企業「利益1兆ウォン超え」34社の顔ぶれは

JBpress のロゴ JBpress 2018/05/17 06:00 玉置 直司
サムスン電子の「ギャラクシーノート8」。 © AFP PHOTO / DON EMMERT〔AFPBB News〕 サムスン電子の「ギャラクシーノート8」。

 日本の上場企業の決算がほぼ出そろった。世界的な好景気や超円高修正が続いたことなどで最高益更新企業が相次いだ。

 2017年決算を見ると、韓国企業の業績も堅調だった。日韓の高収益企業を見比べてみた。

 日本の上場企業は3月期決算が多い。4~5月にかけて2017年度決算を発表した。これに対して韓国企業は12月決算期の企業が多く、一足先に、2017年決算を発表済みだ。

 2017年の韓国企業の決算で、営業利益が1兆ウォン(1円=10ウォン)、つまり、ざっと1000億円水準を超えた企業は以下の34社だった。

営業利益が1兆ウォンを超えた企業は34社

◇営業利益が1兆ウォンを超えた韓国企業(単位ウォン)◇

サムスン電子      53兆6450億

SKハイニックス     13兆7213億

SK           5兆8748億

韓国電力        4兆9532億

ポスコ         4兆6218億

現代自動車       4兆5747億

KB金融持ち株会社    4兆160億

新韓持ち株会社     3兆8286億

SKイノベーション    3兆2343億

LG化学         2兆9285億

ロッテケミカル      2兆9276億

ハナ金融持ち株会社    2兆7181億

LG電子         2兆4685億

LGディスプレー     2兆4616億

LG           2兆1858億

ウリィ銀行        2兆1567億

ハンファ         2兆1300億

GS           2兆712億

企業銀行        2兆283億

現代モービス      2兆249億

サムスン生命保険    1兆6906億

SKテレコム        1兆5366億

KT&G           1兆4261億

KT            1兆3757億

Sオイル         1兆3733億

現代製鉄        1兆3713億

CJ           1兆3260億

現代ロボティクス    1兆2952億

斗山          1兆1799億

ネイバー        1兆1792億

サムスン火災海上保険  1兆1326億

韓国ガス公社      1兆339億

現代建設        1兆119億

メリッツ金融持ち株会社 1兆37億

 韓国メディアによると、韓国の上場企業277社の営業利益額の合計は180兆6574億ウォンで前年比31%増だった。営業利益が1兆ウォンを超えた企業の数は、2016年実績とほぼ同じだった。

30%増益のからくり

 営業利益が3割も増えたとなると、「空前の好景気か?」と思えるが、これにはからくりがある。

 スーパースター級企業が圧倒的な貢献をしたのだ。

 営業利益ランキング1位のサムスン電子と2位のSKハイニックスだ。世界的な空前の「半導体スーパーサイクル」のおかげで、両社の利益もまた歴史的な水準に達した。

 サムスン電子の営業利益は53兆ウォンを超え、前年比83%増だった。日本円換算で5兆3000億円だ。SKハイニックスの営業利益は13兆ウォンを超えた。前年比で4.1倍にも急増したのだ。

 なんのことはない。この2社の増益額だけで全上場会社の増益額の81%を占めてしまった。

 特に躍進が著しいのが、半導体専業メーカーであるSKハイニックス。売上高は30兆1094億ウォンで売上高営業利益率は45%という「怪物企業」になった。2018年1月~3月期はついに50%に乗ってしまった。

 だから韓国企業の利益上位企業の業績を見ると、増益になった企業も多いが、2017年に苦戦した企業も目につく。

苦戦企業も

 例えば、利益4位の韓国電力。政府のエネルギー政策によって業績が大きく左右される。

 原発依存度を下げる政策を掲げる文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権の誕生で、コスト高のLNG(液化天然ガス)発電の比率が高まったことなどもあり、大幅減益になった。

 それどころか、2017年10~12月期に続いて、2018年1~3月期には赤字に転落し、2018年には「利益ランキング」に登場することさえ危うくなっている。

 「利益上位企業」の常連メンバーだった自動車業界の不振も目立った。

 現代自動車の2017年決算は、前年比12%の減益になった。電装品大手の現代モービスも30%減益だった。

 2016年に2兆4615億ウォンの営業利益を上げて上位に入っていた起亜自動車の2017年の営業利益は6622億ウォンに急減し、「1兆ウォンクラブ」から脱落してしまった。

 では、韓国企業の利益水準は、日本企業と比べるとどの程度なのか。

 最近、相次いで発表になった日本企業の決算と比べてみよう。

 日本企業の営業利益トップはトヨタ自動車で2兆3998億円だった。トヨタの業績も好調だったが、サムスン電子の利益額は、この2倍以上だった。

 では、その他の企業はどうだったか。

 韓国企業の場合、営業利益が1兆ウォン、ざっと1000億円を超えた企業が34社、3兆ウォン、ざっと3000億円を超えた企業が9社、2兆ウォン、ざっと2000億円を超えた企業が20社だった。

層の厚さの違い

 日本企業の場合、営業利益が1000億円を超えた企業は110社を超える見通しだ。

 かつて、「利益1000億円」は高収益優良企業の証だったが、いまや、100社以上になった。

 3000億円超は30社、2000億円超は50社を超える見通しだ。

 ということで、「層の厚さ」という意味では、日本企業に分配が上がる。

 韓国企業の利益上位企業の顔ぶれを見ると、半導体、化学、金融、通信、電子、鉄鋼などの企業がほとんどだ。

 半導体や化学、鉄鋼は設備投資産業で、韓国企業の強味である「集中投資戦略」が効果を上げた。ただ、一方で、「市況産業」でもあり、収益の触れが大きいことも特徴だ。

 これに対して日本企業の利益上位企業を見ると、自動車、金融、通信のほか、電機、製薬、流通、サービス、建機、機械など輸出型内需型ともにまんべんなく入っている。

 韓国の産業界では、今後の見通しをどう見ているのか?

 2大産業である半導体と化学については、「好況のピークは超えたかもしれないが、2018年も市況が急落する可能性は低い」との見方が多い。

 何とか持ちこたえるのではないか、という期待感をこめた見通しでもある。

 市況が持ちこたえれば、2018年も堅調な業績が続く可能性はある。ただ、市況の先行きは誰にも分からない。

 産業界が懸念するのは、市況よりも為替だ。2017年初めに1ドル=1100~1200ウォン水準だったが為替レートは、最近、1070ウォン水準に「ウォン高」になっている。

 輸出依存度が高い企業にとっては、警戒ポイントだ。米国の利上げや北朝鮮、イラン情勢などに関心が高まっている。

 最低賃金の上昇や、労働時間規制強化など労働コストに影響を与える政策の影響も懸念材料だ。

 中長期的には、半導体や化学に次ぐ「新しい成長分野」開拓が大きな課題だ。好業績とはいえ、韓国の産業界には、楽観ムードは漂っていない。

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