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シニアに広がる「ドライアイ」 スマホが影響か、不眠の恐れも

NIKKEI STYLE のロゴ NIKKEI STYLE 2021/09/15 11:00
涙や目の表面の状態を検査する二本松眼科病院の平松医師(東京都江戸川区) © NIKKEI STYLE 涙や目の表面の状態を検査する二本松眼科病院の平松医師(東京都江戸川区)

「目がかすむようになった」「まばたき時に違和感がある」。こうしたドライアイの症状に悩むシニア世代が相次いでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で、外出自粛の生活が続き、スマートフォンなどの画面を見る機会が増えたことが要因とみられる。頭痛や不眠につながりかねず、適切な対応が欠かせない。

東京都の60代男性は今春、受診先の医師から「ドライアイの症状です」と診断された。ここ最近、急に文字が見えにくかったり、目がかすんだりして、不便を感じていたという。

二本松眼科病院(東京・江戸川)の医師、平松類氏は「シニアでドライアイの患者が目立っている」と話す。新型コロナ下で「自宅でスマホなどのデジタル機器を扱う時間が急速に増えたことがある」とみる。

総務省の調査によると、2019年と20年のSNS(交流サイト)の利用状況を比較すると、1年間で全年代で増加。全体平均で約5%増だったが、60代は約9%増と、全世代で増加率は「6~12歳」(13.5%)の次に高かった。70代も約7%アップし、シニアの増加が顕著になった。

60代男性も動画配信を見たり、親族とSNSで連絡を取ったりして、スマホ画面を見る時間が大幅に増えたという。

みさき眼科クリニック(東京・渋谷)の石岡みさき院長は「シニアは特に注意が必要」と指摘する。発症の可能性が「加齢に伴って上がることが理由」だ。

要因は2つ挙げられる。一つは「年齢を重ねることで、涙の分泌が減る点」。もう一つは涙の膜は外側から油層、ムチンを含む涙液の2層で構成されるが、加齢で目の外側を覆う油層が薄くなり、「涙が蒸発しやすくなること」という。

ドライアイは涙の質や分泌が低下し、目の表面の健康が保てなくなる病気とされる。スマホの長時間利用やコンタクトレンズの使用によっても、目の乾燥や痛みといった症状が生じる。

医師や研究者で構成するドライアイ研究会によると、患者数は国内で2000万人超と推定される。症状があるのに、診断を受けていない人も少なくない。在宅勤務などの影響で、働き世代が患うケースも出ているという。

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平松氏は「ドライアイは直ちに失明などにつながる疾患ではないが、不調を我慢していると、肩こりや頭痛、不眠の原因になる」として「十分な予防が欠かせない」と訴える。

日常生活でパソコンやスマホの画面を見る時間を減らせないなか、日本眼科医会は「目を休ませるため、20分ごとに20秒間遠くを見る」といった方法を提案する。目を大きく開くと涙が乾きやすくなるため、あまり開く必要がないよう、画面の位置を低くするなどの対応も有効という。

目の周囲にあり、油分を分泌する脂腺の働きを改善させることも効果的。油分はまばたきによって涙の表面に広がり、蒸発を防ぐ役割を持つ。脂腺の出口が詰まれば、油分が出にくくなるため、平松氏は「蒸しタオルなどで目の周りを温めて、詰まりを和らげることがお勧め」と話す。

市販の目薬では、人工涙液などの防腐剤を含まないタイプが活用できるという。石岡院長は「頻繁に使うと、涙が押し流されたりして、涙の層を乱したりするため逆効果。1週間ほど使って改善しない場合、眼科を受診してほしい」と呼びかける。

◇  ◇  ◇

■目の健康、睡眠や運動で維持

涙の状態が悪化すると、視力の低下にもつながりかねない。涙の役割は多岐にわたっており、専門家は「重要性を認識することが、涙の健康を維持する第一歩」と指摘する。

涙は目の表面を覆うことで、ごみなどの異物が入らないように守る役割を果たしている。仮に入った場合でも、涙が洗い流す。きれいな画像で見えるよう、目の表面を滑らかにして、視力の質を上げる機能もある。

京都府立医大の横井則彦・病院教授は「涙には様々な成分が含まれることも知ってほしいポイント」と話す。例えばビタミンや酵素は紫外線対策となっており、タンパク質は細菌感染を防いでいる。

「涙を守ることは目だけでなく、全身の健康を保つ秘訣」と横井・病院教授。涙の分泌と質の向上のため、「十分な睡眠や適度な運動を心がけることが欠かせない」という。

(ライター 南雲つぐみ)

[日本経済新聞夕刊2021年9月8日付]

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