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急性低血圧を甘く見てはいけない…コロナワクチン接種後にも多数報告

日刊ゲンダイ ヘルスケア のロゴ 日刊ゲンダイ ヘルスケア 2022/01/15 09:30 日刊ゲンダイ ヘルスケア
写真はイメージ © 日刊ゲンダイ ヘルスケア 写真はイメージ

血圧というと、高血圧ばかりが問題視されがちだが、逆に下がりすぎる「低血圧」も深刻な事態を引き起こす危険がある。東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信氏に聞いた。

新型コロナワクチンを接種した後、急激に血圧が下がるケースがある。

厚労省が2021年12月24日に公表した「医療機関からの副反応疑い報告状況」によると、昨年2月17日から始まったファイザー社のワクチン接種後(推定接種回数1億6568万2882回)に「血圧低下」があった例は20件、同じく「製造販売業者からの副反応疑い報告状況」では191件。臨床検査レベルでの血圧低下は、医療機関からの報告で258件、製造販売業者からの報告では873件に上る。

ワクチン接種後も含め、急激な血圧低下のほとんどは時間とともに回復するという。原則として治療の必要はないとされているが、意識を失って転倒し、骨折などの事故を生じることや、高齢者や基礎疾患がある人が長期にわたって血圧低下を繰り返していると、深刻な疾患につながるリスクがある。

世界保健機関(WHO)の基準によると、低血圧とは安静時「収縮期血圧(上)100㎜Hg以下/拡張期血圧(下)60㎜Hg以下」とされている。低血圧によって、めまい、立ちくらみ、頭痛、倦怠感、食欲不振、肩こり、動悸、胸痛などの症状が表れる。

大きく分けて「慢性低血圧」と「急性低血圧」があり、慢性低血圧は原因がわからない本態性、原因疾患によって起こる症候性に分けられる。

「より注意すべきなのが急激に発症する急性低血圧です。アナフィラキシー、急性心筋梗塞、不整脈、大量出血などが原因で生じ、ショックになると命の危険があるので速やかな対応が求められます。原因が特定できるものについてはそれに対応した治療が必要で、血圧を上げる昇圧剤の使用や集中治療が行われる場合もあります。ワクチン接種や薬剤による急性低血圧に対しては、万が一の発症に備えて投与後に医療関係者が経過観察します。医療機関で指定された安静時間を守ることが大切です」

■心血管病につながる危険も

もうひとつ気を付けるべきなのが「起立性低血圧」だ。急な立ち上がりや、長時間立ち続けていることで生じる。

「立ち上がるとき、重力によって血液が上半身から下半身に移動してたまります。それにより全身から心臓に戻る血液の量が一時的に減り、心拍出量が低下して血圧も下がります。このとき、通常であれば交感神経が働いて血管を収縮させ、速やかに血圧を正常化します。しかし、脳の動脈硬化が進んでいる人などは交感神経がうまく働かないため、血圧が下がったままの状態になってしまうのです」

起立性低血圧は、心血管疾患のリスクもアップさせる。

2018年に米国心臓協会雑誌(JAHA)で発表された米ジョンズ・ホプキンス大学の研究がある。平均54歳の9139人を26年間にわたり追跡したところ、起立性低血圧がある人は、冠動脈疾患が2.77倍、心筋梗塞が1.88倍、脳卒中が1.83倍、心不全が1.65倍、心血管病による死亡も1.68倍と増加していた。

また、起立性低血圧は、頚動脈内膜肥厚、プラーク、心筋障害、心機能低下と関係があることもわかった。

「起立性低血圧では末梢循環がうまく働かなくなるため、一時的に体のあちこちの微細な血管が虚血状態になります。すると末端の臓器障害が生じ、それが長期にわたると心筋細胞の壊死や血管内皮障害が生じ、心血管病が進むと考えられます。若年層であれば大きな問題ではありませんが、高齢者や基礎疾患がある人は、動脈硬化や内臓の傷みがさらに進んで心血管病が生じやすくなります」

起立性低血圧を起こす原因疾患がある場合、まずはその治療を行う。その上で、原因がわからない人も含めて生活習慣を見直したい。

「低血圧は睡眠不足や疲労で生じやすくなるので、規則正しい生活を送ってストレスをため込まないことを心がけましょう。脱水でも低血圧を招くので、水分と塩分を適切に摂取するのも大切です。また、末端循環を改善するためにウオーキングなどでふくらはぎの筋肉を鍛えたり、手先の循環を良くするために手を握ったり開いたりする動作を繰り返すのも効果的です」

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