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納豆と牛乳は朝と夜で「効果」が違う…!多くの人が知らない、「食べる時間」で寿命が決まるワケ

現代ビジネス のロゴ 現代ビジネス 2022/11/15 05:00 週刊現代

何を「いつ」食べるか

「今まで栄養学では『何をどれだけ食べるか』ばかりが注目されていました。しかし、2017年に体内時計に関する研究がノーベル医学・生理学賞を受賞した頃から、『何をいつ食べるか』に着目した『時間栄養学』の重要性が急激に高まっているのです」

こう語るのは早稲田大学理工学術院先進理工学部教授で薬学博士の柴田重信氏だ。柴田氏は「時間栄養学」の権威として知られており、新著『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』(講談社+α新書)を10月に上梓している。

「一日は24時間ですが、人間の体内時計は約24. 5時間のサイクルで動いています。普通に生活していても、体内時計には必ずズレが生じるのです。体内時計の狂いが大きくなると、がんや糖尿病など多くの病気の原因となります」(柴田氏)

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実は、不調の原因となる体内時計のズレをリセットする方法がある。それが毎日の食事だ。柴田氏が解説する。

「人間の身体には時計遺伝子という遺伝子が存在します。朝食など食事で血糖値を上げると時計遺伝子が活性化し、止まっていた体内時計が動き出します。これで人間の社会活動と体内時計のサイクルがかみ合うのです。

時計遺伝子のもう一つの働きとして、同じ物を食べても、時間帯によって身体に与える影響を変える役割もあると明らかになっています」

同じ食べ物でも、口にする時間を意識して効果的な食べ方ができれば、肥満の予防や善玉菌の多様性の保持、免疫系のバランスを保つのに役立つ。食べる時間を意識すると、健康的に年齢を重ねることが可能になるのだ。

朝は米と魚でいい

まずは、朝食に取り入れたい食材からみていこう。朝食に求められるのは、体内時計をスタートさせ、代謝を上げる役割だ。柴田氏が語る。

「朝食は体内時計を動かす、目覚まし時計のような役割を担っています。重要となるのは、お米に代表される、体内時計を動かすインスリンを分泌しやすい食べ物を口にすることです。青魚などに多く含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)といった不飽和脂肪酸にも、体内時計を動かす効果があります。

お米と魚の組み合わせは最高の朝食だといえます。朝食のイメージは薄いですが、マグロやサーモン、しめさばといった寿司は、夜よりも朝に食べるのがおすすめです」

日中の活動でエネルギーを消費するため、朝食はカロリーを多めに摂ってもさほど問題にはならない。余裕がある時は主食と主菜のほかに、副菜を用意するといいだろう。

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もし一品追加できるなら、同じく体内時計のズレを解消する水溶性食物繊維が含まれるわかめやひじき、納豆を加えるといいでしょう。わかめの味噌汁やひじきサラダなどにすると、朝でも食べやすいと思います」(柴田氏)

実は、朝食でトマトを食べると老化予防につながるというデータもある。トマトに含まれるリコピンの吸収効率は、朝がもっとも高いためだ。愛国学園短期大学非常勤講師で管理栄養士の古谷彰子氏が解説する。

「リコピンは強い抗酸化作用があるため、老化を進める活性酸素を除去してくれます。老化を防止するだけでなく、がんの発生を抑えることも期待されるのです」

高血圧、高血糖を防ぐ食材

体内時計が動き始めた後の昼食で気を付けたいポイントは、高血糖と高血圧を防ぐことだ。

「私たちの研究では、昼食抜きで朝食の10時間後に夕食を食べると高血糖に陥りやすいとの結果が出ています。血糖値を安定させるため、昼食は抜かずに食べましょう。

体内時計は味覚にも影響を及ぼします。体内時計が活発に動く昼から夜にかけては、塩辛い味を感じにくくなり、濃い味付けを好むようになります。昼食や夕食では塩分を過剰に摂取しやすくなり、高血圧の原因になるのです」(前出・柴田氏)

高血圧の予防には、食塩摂取量を抑えるほか、塩分を体外に排出するカリウムを豊富に含む食材を昼に食べる方法もある。かぼちゃ、芋類、白菜といった野菜を意識して食べると、自然と減塩ができるのだ。前出の古谷氏が補足する。

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「意外なところでは、魚のカンパチがカリウムを多く含んだ食材です。日本人の昼間のカリウム摂取量は足りていない傾向にあるため、高血圧の予防と思って取り入れるといいでしょう」

冷えを改善、よく眠れる

夜は体内時計の動きが鈍り代謝が落ちるため、インスリンの効きが悪くなる傾向にある。一度上がった血糖値がなかなか下がらなくなってしまうのだ。高血糖を防ぐため、夕食は遅くとも就寝の2時間前には食べ終えておきたい。

「お茶に含まれるカテキンには血糖値の急上昇を抑える効果があります。時間栄養学の観点でいうと、夕方にカテキンの作用がもっとも高まります。夕食の前に1杯のお茶を飲むのは非常にいい習慣だといえます」(前出・柴田氏)

生姜の辛み成分であるジンゲロールには、血管を拡張して冷えを改善する働きがある。そのため、夕食で生姜を食べると寝付きやすくなる効果があるのだ。

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体内時計の働きによって、朝と夜とでは健康への影響が変わる食材も存在する。

「牛乳に含まれるトリプトファンは、睡眠を促すメラトニンの原料になります。メラトニンは作るのに時間がかかるため、朝のうちに牛乳を飲んでおくと、その日の夜の睡眠の質を上げてくれるのです。

一方で、同じく牛乳に含まれるカルシウムは吸収効率が夜にもっとも高まります。骨を強くしたい人は、夕食に牛乳を取り入れるといいでしょう」(柴田氏)

健康食の代表格である納豆も同様だ。大豆に含まれる難消化性タンパク質は腸内細菌の餌になるため、朝の納豆は便通の改善につながる。

夜に納豆を食べるともたらされるのは、血栓ができるのを予防する効果だ。柴田氏が続ける。

「納豆に含まれるナットウキナーゼは血液をサラサラにして、血栓の発生を防ぎます。血栓は早朝にできやすいため、夜に納豆を食べておくのをすすめます」

何を食べるかだけではなく、いつ食べるか。立ち止まって考えることが、長生きの実現に役立つかもしれない。

「週刊現代」2022年11月12日号より

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