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WHO、新型コロナ緊急事態の終了を宣言 テドロス事務局長が表明

朝日新聞デジタル のロゴ 朝日新聞デジタル 2023/05/05 22:27 朝日新聞社
世界保健機関(WHO)本部=2021年12月2日、スイス・ジュネーブ © 朝日新聞社 世界保健機関(WHO)本部=2021年12月2日、スイス・ジュネーブ

 世界保健機関(WHO、本部スイス・ジュネーブ)のテドロス事務局長は5日の記者会見で、新型コロナウイルスをめぐる世界の現状について、2020年に発表した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の終了を宣言した。「危機対応」が3年以上続いた新型コロナは、他の感染症と同様に「管理」していくものとなる。ただ根絶はされておらず、テドロス氏は今後も感染拡大が起こるリスクは残ると強調した。

 テドロス氏は、4日に開かれた専門家でつくる緊急委員会の助言を受け入れた。宣言終了の背景として、ワクチン接種や感染により免疫力が高まり、新型コロナによる死亡率が下がり、医療システムへの負担が緩和されてきたと指摘。「ほとんどの国でコロナ禍の前のような暮らしに戻ることができている」との認識を示した。

 一方、「これで新型コロナが世界的な健康上の脅威ではなくなったというわけではない」とも強調。世界では判明した分だけでも3分に1人のペースで死者が出ており、多くの人々が集中治療室にいるとも指摘。新型コロナウイルスは地球上にとどまるとして、「新たな変異株が出現し、新たな感染者や死者の増加をもたらすリスクは残る」と述べた。

 緊急事態の解除が意味することについては、「各国が緊急対応から、他の感染症と同じように管理する局面に移行する時期にあるということだ」と述べた。新型コロナが世界を再び危機に陥れるようなことがあれば、ちゅうちょなく緊急委を招集する方針も示した。

 WHOは20年1月30日、中国・湖北省武漢市で新型コロナによる肺炎が集団発生し、国外でも感染が拡大していることを受け、緊急事態を宣言した。感染が国境を越えて広がり、拡大防止に国際的な緊急の対応が必要な場合に出されるもので、6例目の宣言だった。これにより、WHOは各国に対し、感染拡大などを防ぐための勧告を出せるようになった。

 それ以降、WHOは緊急委が約3カ月ごとに、国際的な感染状況が緊急事態に該当しているか否かの検討を重ねてきた。テドロス氏は今年4月6日の記者会見で、専門家の助言を尊重する意向を強調したうえで、「年内に解除できるようになるだろう」との見通しを示し、今月4日には通算15回目の緊急委が開かれていた。

 WHOの集計では、今月3日時点で、世界で約7億6500万人が新型コロナに感染し、692万人以上が死亡した。世界全体でみると、最近の感染者数や死者数は、これまでで最も低水準の状態が続いている。(ロンドン=金成隆一)

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