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語彙力がない子は「全教科の成績」が伸びない 東大生が断言!「問題文が読めない子」も多い

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/09/01 10:00 西岡 壱誠
「日本語の語彙力がない」ことが、あらゆる教科の成績に影響してしまうといいます(画像:terumin K / PIXTA) © 東洋経済オンライン 「日本語の語彙力がない」ことが、あらゆる教科の成績に影響してしまうといいます(画像:terumin K / PIXTA)

「勉強しているはずなのに、成績が上がらない」「どれだけ本を読んでも身に付かない」。受験生に限らず、勉強熱心なビジネスパーソンでも、このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

「かつての僕は、まさにそうでした」。2浪、偏差値35という崖っぷちから1年で奇跡の東大合格を果たした西岡壱誠氏は、自らの経験を振り返って言います。「でも、ちょっとした工夫で、劇的に改善したんです」

教科書、参考書だけでなく、あらゆる本の読み方を根本から変えた結果たどり着いた、「知識を増やすだけでなく『地頭力』も高められる」「速く読めて、内容も忘れず、かつ応用できる」という読書法を、新刊『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』にまとめた西岡氏に、勉強における「語彙力」の重要性を解説してもらいました。

皆さんは「自分には語彙力がないな」「語彙力を付けなきゃ!」と思ったことはありますか? 僕は思ったことがありませんでした

 だって、別に語彙力がなくたって会話できないわけではありませんよね? 文章だって、難しい言葉ばかりのものでなければ語彙力なんてなくても読めてしまいます。日常生活を送るうえで、そこまでの語彙力が必要になるタイミングなんてほとんどないと思います。

 「語彙力なんて、わざわざ付ける必要ないでしょ」

 そんな風に思って僕はずっと生きていたわけですが、あるとき、その考えが間違っていることに気づきました。

 偏差値35だった自分が東大を受験することを決めて勉強し始めたときに、いちばん大きな壁として立ち塞がったのが「語彙力」の壁だったんです。

 多くの方は語彙力は「国語」でしか必要にならないと考えているかもしれませんが、そうではありませんでした。国語以外の科目のほうが、実は語彙力が必要になるんです。

 そして僕は、受験に限らず、実は日常生活においても、本当は語彙力が求められるのだということも痛感しました。

 なぜ語彙力がないと成績が伸びないのか? 日常生活においても語彙力が必要になるのはなぜなのか? 今日はその3つの理由をお話させてください。

なぜ「語彙力」があらゆる教科に必要なのか

理由1:語彙力がないと、英語が致命的に伸びない

 文章を読んだり、語彙が問われたりする「国語」で語彙力が必要になることは皆さんもご理解いただけると思います。しかし、語彙力がないと、それ以外の科目でも成績が上がらないのです。

 それがいちばん顕著なのは「英語」です。英語って、「日本語の語彙力」がないと絶対に伸びないんです。

 日本語の語彙力がないと、まず英単語の意味がまったく頭に入ってきません。たとえば「suggest」という言葉の意味は「示唆する」ですが、まず「示唆する」の意味がわからない、という方だっていらっしゃいますよね? 僕もそうでした。「示唆する」の意味がわからないから、ずっとsuggestという言葉を覚えられませんでした。

 そんな状態だと、せっかく和訳してもその和訳の意味がわからないから問題には答えられないなんてこともあります。「suggestが示唆だとわかってはいるんだけど、でも示唆って具体的に何したんだよ!?」なんてこともあります。そんな風に、英語が理解できない理由は「日本語の語彙力がない」ことである場合が多いんです。

 これは予備校の英語の先生から教えてもらったことなのですが、英語でどんなに頑張っても偏差値55以上に到達できない子は、語彙力がないことが原因になっていることが多いのだそうです。

 語彙力がないから英語を日本語に直せず、またかろうじて直せたとしてもその日本語が理解できない。そういう子は、語彙力がないためにどんなに英語を頑張っても成績が上がらないのだそうです(ちなみに僕は完全にこのパターンでした)

理由2:語彙力がないと、教科書も問題も読めない

 英語だけではありません。理科や社会などの科目も、実は語彙力がないと成績が伸び悩むと思い知りました。

 まずもって語彙力がないと、教科書が読めなくて勉強にならないんです。たとえば世界史で「イギリスとフランスが利権を争い競合して……」と書かれていても「利権」や「競合」が具体的にどういう意味なのかわからなければ、何が書いてあるのかさっぱりです。生物で「DNAの鋳型が複製されて……」と書かれていても、「鋳型」がわからなかったらDNAがどうなったのか理解できません。

 理解できないものを覚えることは至難の技です。だからもうこの時点で、どんなに勉強しても成績のタカが知れてしまうわけです。

 数学だってそうです。僕もいろんな受験生から数学の質問を受けますが、その3割程度は「語彙力」がないがゆえの質問でした。「無作為」「確からしい」「軌跡」などの言葉を知らないことが原因で理解できない、というパターンが非常に多いんです。

問題文を正しく理解するには「語彙力」が不可欠

 教科書だけではありません。語彙力がないと、まず問題すら読み取れないのです。

 たとえば、僕が初めて受験した2014年のセンター試験の地理の問題文は、以下のようなものでした。

問6 都市における消費・余暇活動について述べた文として、下線部が適当でないものを、次の1~4のうちから一つ選べ。

僕はこの問題の意味がわかりませんでした。「余暇活動? なにそれ?」と、余暇活動という言葉をまったく知らなかったので、この問題が解けなかったのです。

 また、語彙力があるかないかで、解けるか解けないかがはっきり分かれる問題も存在します。

 たとえば地理の問題ではよく「レアメタルは、埋蔵地域が偏在している」という知識が問われます。あるとき、次のような問題が出ました。

レアメタルは、世界中に遍在して埋蔵している。○か×か。

みなさんはこれ、○か×かわかりますか?(これは決して「良問」だとは思いませんが……)

 正解は「×」です。偏在とは「偏って存在していること」であり、遍在とは「広く行き渡って存在していること」を言います。「偏」と「遍」で、まるっきり意味が逆なんです。だから「レアメタルは『偏在』はしているけれど、『遍在』はしてはいない」のです。

 こんな風に、語彙力のあるなしで、はっきり成績が分かれてしまうのです。

文章で説明する力は語彙力に左右される

理由3:語彙力がないと「説明」できない

 そして、語彙力がなくていちばん困るのは「説明」できないということです。

 たとえば受験では「記述問題」があります。自分の考えを記述で説明する問題です。こういった問題ではすべて、自分で言葉を考えて答えなければなりません。そうすると、もう本当にかわいそうになるくらい語彙力で点が引かれてしまう。「こうなる確立は1/6」と回答してしまうミスを、僕は受験生を教えていて本当に何度も見ています(正しくは“確率”です)。

 また、言葉のミスがなくても「青年トルコ革命は、日露戦争で日本が勝ったから『俺らもこれに便乗しよう!』といって軍人が起こした革命なんだけど、これをどう説明したらいいんだ!?」といったこともあります。

 「語彙力がないのでどう説明していいのかわからない」ために点数が低くなってしまうことが多いのです(ちなみに僕なら「青年トルコ革命は、日露戦争での日本の勝利が軍人に大きな『刺激』を与えた結果『誘発』された」などと答えます)。

 これって、もはや受験とか関係ないですよね。日常生活においてでも、人に何かを説明しなければならないタイミングは多いです。そんななかでも、語彙力がないと長ったらしい、よくわからない説明になってしまいがちなんです。

 そして、他人にも説明できないばかりか、語彙力がないと自分にも説明できません

 たとえば、僕の昔のノートもそうだったのですが、語彙力がない子のノートを見ると、多くの場合、授業や参考書で書いてあったとおりにしかメモしていません。自分の頭で考えて補足説明を加えたり、わかりやすくするために書き直したりといった「整理」が一切ないんです。

 「Aの出来事が端緒となりBが発生し、Bの出来事はCと呼称されるようになった」

 と、黒板や教科書に書いてあったとおりにノートに書けても、「端緒」「呼称」をぼんやりとしか理解できていないために、

 「Aの出来事→Bの出来事=C」

 とまとめられない。だから何と何がつながっていて、何と何が同じなのかがわからない。語彙力がないがゆえに、自分でかみ砕いて理解することができないのです。

「構造化」こそ最高の勉強法だ

 先日、東大生6人と飲み会に行った時に、「どういう勉強がいちばん効果があるか」という話になったのですが、その結論は「知識を構造化する勉強」でした。

 何と何がつながっていて、どことどこが類似で、どれとどれが反対なのか。そういった「事象を構造的に理解していく勉強」がいい、ということです。そして多分、そんな勉強をできなくするいちばんの要因が「語彙力が欠けていること」なのだと思います。どう関連しているかを言語化するだけの語彙力がないから、構造化できないのではないでしょうか。

 他人にも自分にも説明できない。こんな状態で勉強しても、問題も解けませんし、理解を深めることもできません。語彙力がないがために、どんなに勉強しても意味がない状態になってしまうのです。

 語彙力が欠けていることの恐ろしさ、わかっていただけたでしょうか。

 誤解しないでほしいのですが、語彙力というのは鍛えようと思えば鍛えられるものです。実際、僕も必死で鍛えました。前回の「東大生が絶賛!『電子辞書』は最高の学習ツールだ」でも紹介したように、電子辞書をフル活用して語彙力を上げることもできますし、また最近では語彙力を高めるための本も多く出版されています。ぜひ、「語彙力」を鍛えてみてください!

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