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「いきなり!ステーキ」と「俺の」シリーズで、“脱・立ち食い”が進む背景

ITmedia ビジネスONLiNE のロゴ ITmedia ビジネスONLiNE 2018/09/12 17:16

 古くからある「低単価、高回転」のビジネスモデルとしては、都市部や駅構内にある立ち食いそばが有名だ。近年では、「俺のイタリアン」で有名な「俺の」シリーズや「いきなり!ステーキ」が立ち食いスタイルでお値打ち価格の料理を提供し、お客の高回転を実現してきた。

 しかし、数年ほど前から、いきなり!ステーキや「俺の」シリーズで立ち食いスタイルが消えつつある。なぜなのか。

●お客の要望を受けて椅子席を増やした

 「2016年くらいから、座って食べるスタイルの店舗が主流になりつつあります」

 いきなり!ステーキを運営するペッパーフードサービスの広報担当者はこう解説する。国内の店舗数は9月上旬時点で315店にまで増加しているが、ほとんどの店舗で椅子席が用意されているという。特に、出店数を増やしているロードサイドの店舗では立ち食いのスペースがゼロというのも珍しくはない。実際、18年8月にオープンしたいくつかの店舗情報を公式Webサイトで調べると、「全席椅子席」と記載されていた。

 一方、都内の路面店は店舗面積が小さいため、立ち食いのスペースを残しているところもあるという。いきなり!ステーキにおけるお客の平均滞在時間をみると、ランチが20分、ディナーが30分で、「座って食べても立って食べてもほとんど変わらない」(広報担当者)そうだ。

 では、なぜ立ち食いは消えつつあるのか。広報担当者は「お客さまからの要望が多かったから」と説明する。当初は、「高回転、低価格」のビジネスモデルの象徴として、立ち食いスタイルは大きなインパクトを与えたが、店舗数が急増し、多様なお客を取り込む方針に転換した同社は、椅子席を増やしたというわけだ。

●「俺の」シリーズでも立ち食いが消えている

 いきなり!ステーキの創業者である一瀬邦夫社長に「低価格、高単価」というビジネスモデルのヒントを与えたのは、「俺の」シリーズだといわれている。当時、「俺の」シリーズは銀座を中心に原価率60%超で、お値打ち価格の料理を立ち食い形式で提供してきた。

 ただ、「俺の」シリーズでも近年、立ち食いスタイルが消えつつある。広報担当者によると「立ち食いを減らして、椅子席を増やしている」という。

 同社の方向転換を象徴するような店舗が18年8月に東京駅の近くにオープンした。「俺のGrill」だ。席数は138あり、全て椅子席。ステーキを味わいながらバンドの生演奏を聞くことができる。

 メインメニューは「Tボーンステーキ」(3980円、税別、以下同)で、肉は900グラムあり、2人で分け合って食べることを想定している。都内にある有名レストランの3分の1以下の価格で提供しているのがウリだ。つまり、高級料理店と同じ料理を安く提供する基本戦略は変わらない。

 「俺の」シリーズを立ち上げた坂本孝社長は「来店したお客さまの案内時間や調理時間を短縮したり、ディナータイムに時間制限を設けたりすることで、高回転率を維持できる」と語った。

●牛角創業者が仕掛ける「高回転」の店も座って食べる

 18年8月、「焼肉 kintan」や「やきとり家 すみれ」などを展開するダイニングイノベーション(東京都渋谷区)は、「低単価、高回転」の1人焼き肉新業態店である「焼肉ライク」を東京都港区にオープンした。この店舗は全席椅子席である。

 焼肉ライクでは、お客1人が1台の無煙ロースターを使い、自分のペースで好きな肉を好きな量だけ注文できるようになっている。メニュー数を絞り込むことで、注文を受けてから迅速な提供が可能で、滞在時間は25分を想定している。高回転、客数増を実現することで、肉の原価アップも可能となり、お客の満足度を高めたいと考えている。

お値打ち価格で高級料理を食べられるのが特徴 © ITmedia ビジネスオンライン お値打ち価格で高級料理を食べられるのが特徴

 ダイニングイノベーションの西山知義会長はオープン時の説明会で、「立って食べても、座って食べても、お客さまの滞在時間に大きな違いはない」とコメントした。さらに、近年、座って食べるスタイルが広まっているいきなり!ステーキの戦略にも言及しており、“脱・立ち食い”は業界のトレンドになりつつあるようだ。

 立ち食い形式は、「だからこんなに安いのか」という納得感をお客にアピールする意味では一定のインパクトがあった。しかし、そのビジネスモデルが浸透した今、必ずしも立ち食いにこだわる必要はなくなりつつあるといえそうだ。

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