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「日本郵政」は民営化後もお役所体質 上意下達と面従腹背が横行

マネーポストWEB のロゴ マネーポストWEB 2019/08/26 07:00
2015年11月の上場で株価に捉われ続けることに(AFP=時事) © SHOGAKUKAN Inc. 提供 2015年11月の上場で株価に捉われ続けることに(AFP=時事)

 かんぽも、ゆうちょも不適切な営業が横行し、郵便事業は採算割れ―国内屈指の規模を誇る3社がグループの事業を構成する“巨象”はなぜ、機能に綻びが出ているのか。

 ゆうちょ銀行の預金残高180兆円は3メガバンクを抑えて国内トップ。かんぽ生命も売上高や純資産では日本生命などに後れを取るものの、支払い余力を示す指標で見ると他社を圧倒する。日本郵便も大きなシェアを誇る上に、手紙などの信書は今も独占事業だ。

 にもかかわらず、不祥事が次から次へと発覚した。

「日本郵政グループは、深刻なガバナンスの欠如を露呈してしまった」

 そう語るのは、5年前からゆうちょ銀行の社外取締役を務める経済ジャーナリストの町田徹氏。1993年に旧郵政省記者クラブに在籍して以来、国営、公社、民営化と変遷してきた日本郵政グループを取材してきた。今回、「ジャーナリストとして話す」と断わった上で不適切販売が蔓延した背景について語った。

「(政府が)国営と民営の両方の“良いとこ取り”をさせようとしたことが仇になって、業務に制約が生まれた。金融業務にしても、国営時代からの規制が温存され、銀行なら当然のローンや海外業務はできず、集めた預金の運用先も制約されている」

 その結果、認められている保険などの販売で顧客に不利益を与える契約が横行した。町田氏が続ける。

「中央集権的な現業官庁から出発した組織ならではの古いカルチャーが残っている。日本郵便では、ゆうちょ銀行やかんぽ生命から求められた営業目標(ノルマ)を中央の本社が地域ブロック拠点に割り当て、その拠点から現場の最前線に降ろしていく。

 現代的な成果主義なら個別の営業マンごとに前期の達成度や本人の意識に応じ、目標を設定するのが定石ですが、郵政は上意下達で押しつける風土がある。上に意見を言うのは一握りの人たちだけです」

 上に物申さない代わりに、“面従腹背”が横行している形跡もある。7月31日の会見で日本郵便の横山邦男社長は「数年前から課題認識をしていた」としながらも「不適正な販売は減少してきていた」と述べた。

「苦情やトラブルの統計データが存在し、経営トップがその数字が改善していると誤解していたことが図らずも露わになった。つまり、社内にそうした統計を操作する“官僚”が存在し、不適切営業は“悪質でなく件数も少ない”と横山氏に信じ込ませていたと推察できるのです」(同前)

 上意下達と面従腹背の組織が正常に機能するのは難しい。経営トップがよほどの手腕を発揮すれば別だが、日本郵政ではそれも難しい。

 郵政民営化直後に起きた「かんぽの宿」問題などを受けて総務省が設置した「日本郵政ガバナンス検証委員会」の委員長を務めた弁護士の郷原信郎氏がいう。

「日本郵政グループでは、政権が変わるたびに社長の首がすげ替えられるなど、経営が政治的な影響を強く受けてきた。そのため、経営陣が、短期的に実績を上げようとし、ユニバーサルサービスの制約を受ける現場の実態と乖離したやり方のために不祥事が発生するというのが、これまで繰り返されてきた」

 形ばかりの民営化が進められ、不適切営業が温存された。ツケを押し付けられたのは、郵便局を信じてきた一人ひとりの国民だ

※週刊ポスト2019年8月30日号

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