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コロナで不動産市場どうなる? 「密」回避の動き、大都市に影響も

NIKKEI STYLE のロゴ NIKKEI STYLE 2021/06/07 11:00
東京ではオフィス価格への影響が大きい空室率が急上昇している(写真はイメージ=PIXTA) © NIKKEI STYLE 東京ではオフィス価格への影響が大きい空室率が急上昇している(写真はイメージ=PIXTA)

新型コロナウイルス禍の影響を受けて、地価が下落していると聞いたわ。どんな理由があるのだろうか。私たちの生活様式の変化も地価の下落に影響しているのかな。

コロナ禍が不動産価格に及ぼす影響について、木崎真那さんと黒木友紀さんに太田康夫編集委員が解説した。

木崎さん「足元の地価の情勢はどうなっていますか」

2021年1月1日の公示地価(全用途)は6年ぶりに下落しました。感染拡大の影響で経済活動が停滞したためです。大きかったのは緊急事態宣言発令に伴い、時短営業などを求められた飲食店舗や対面による物販の不振です。不動産価格は物件から上がる収益性に左右されますが、そうした業種が入る商業施設の収益性が低下しました。

もう一つ響いたのは訪日観光客の減少です。この数年、訪日観光客の急増が人口減少に伴う地価の下落圧力を和らげてきましたが、その構図がコロナで一変しました。影響が顕著に出たのが大阪です。商業施設が集積する繁華街・ミナミでは国内外の観光客が減り、前年急上昇した地価が一転大幅下落に転じました。

黒木さん「コロナ禍による生活様式の変化の影響は」

感染拡大を防ぐため世界的に在宅勤務が推奨されています。英金融機関バークレイズの20年12月のリポートは、欧米でオフィス需要が10~20%減るとしています。オフィスビルなどに投資する米国のオフィス不動産投資信託(REIT)の20年の下落幅は18%と、REIT全体の下落幅の5%を上回りました。

またロックダウン(都市封鎖)で商店などが休業に追い込まれ、ネット通販の利用が加速しました。米国では収益性が落ちた地方モールに投資するREITの20年の下落幅は37%と、とりわけ大きくなっています。

木崎さん「そうした動きは日本でも今後広がりますか」

東京では高い賃料を払い続けられなくなったテナントの撤退などで、オフィス価格への影響が大きい空室率が急上昇しています。しかし欧米に比べ在宅勤務の実施比率は低めです。コロナ収束後には在宅勤務の急速な普及は一層期待しづらく、在宅勤務の不動産価格への影響は当面は欧米より限定的になりそうです。

一方、ネット通販は高齢者にも利便性が広く認識されました。今後も拡大が見込まれ、競合するリアル店舗の閉店・撤退が増えかねません。都市部の大型商業施設や地方のショッピングモールなどの収益性が低下して、そうした施設がある地域の不動産価格に下落圧力がかかりそうです。

半面、ネット通販の拡大に伴い物流施設の重要性が高まり、物流関連不動産の価格が上がっています。不動産業界では交通網へのアクセスが良い地域は物流拠点として評価が高まるとみられています。

黒木さん「地方などに明るい兆しはないのでしょうか」

欧米では感染防止のためソーシャルディスタンス(社会的距離)の重要性が強調され、「密」になりやすい大都市を避ける動きが加速しています。米国ではリモートワーク用に、郊外に広めの住宅を求める傾向が強まっています。

日本でも都心の超高層のオフィスビルなどを回避する動きが一部でみられます。受け皿になっているのは住宅では埼玉などの近郊住宅地です。オフィスについては、政府が地方に住みながら働くワーケーションを促しており、自治体が積極的な和歌山県白浜町などが注目されています。

東京ではコロナ禍の影響で収益性が計画を下回るプロジェクトも出てきそうですが、なおもインフラ整備や再開発計画が目白押しです。日本は「密」をつくり出し、都市の収益性を高める都市再開発を推し進めてきました。そうした政策のあり方を改めるとともに、省庁などの地方移転を真剣に進めない限り、地方の魅力が本格的に高まることは見通しにくいでしょう。

© NIKKEI STYLE

■ちょっとウンチク

不良債権の火種の懸念も

バブル期に地域のリゾート開発を促した政府の戦略は、集客見通しが甘いホテルの破綻で、銀行に不良債権のヤマを残した。再び観光に活路を求めたインバウンド(訪日外国人)戦略は、五輪の誘致で東京の大規模開発を誘発したが、コロナ禍で2020年の訪日観光客目標は大幅未達になった。

銀行の20年末の不動産業向け貸し出しは84兆円で1989年末の1.8倍。貸し出し全体に占める比率は12%台から15%台に上昇している。もともと五輪は一過性イベントだ。地価の高い東京での集客計画に持続性があるのかどうかが、今後の不良債権の動向を左右しそうだ。(編集委員 太田康夫)

■今回のニッキィ

木崎 真那さん およそ10年ぶりにピアノの練習を再開し、新しいピアノも購入した。家にいる時間が長くなったことで、オンラインの料理教室も始めた。「いろいろな成果をインスタグラムで発信しています」

黒木 友紀さん 夫婦そろってコーヒーが大好きで、市販の豆や自家焙煎(ばいせん)を楽しんでいる。豆の産地や栽培にも注目する。「いつもコーヒーの香りでリフレッシュしています」

[日本経済新聞夕刊 2021年5月31日付]

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