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バーバリー、130億円分以上の売れ残り商品焼却 高級ブランドが苦戦

ZUU Online のロゴ ZUU Online 2018/07/28 17:15

今後3年間で4〜5%の成長が見込まれているラグジュアリー市場だが、「ブランドネームが付いていれば飛ぶように売れる」という時代は終わりを告げ、多くのブランドが再編に迫られている。

バーバリーは、ブランド価値を維持する目的で、過去5年間で9000万ポンド(約1302億円)相当を上回る余剰在庫を処分。グッチ、ルイ・ヴィトンらは、ミレニアル世代の顧客獲得を目指しデジタル化に力を入ている。

■個人向けラグジュアリーは5%増、中国消費者のブランド志向再燃などが追い風に

米コンサルティング企業ベイン・アンド・カンパニーの報告書によると、個人向け高級品の市場規模は、中国消費者の購買復興や他の顧客層・地域における需要強化が後押しとなって、2017年に過去最高の2620億ユーロに達した。

今後ラグジュアリー市場は年間4〜5%のペースで拡大を続け、2020年までには、2950億〜3050億ユーロに成長すると予想されている。

(画像=Willy Barton/Shutterstock.com) © 高級ブランド,ラグジュアリー,企業再編 (画像=Willy Barton/Shutterstock.com)

■売れ残り商品を廃棄処分する高級ブランド

需要が順調に伸びているとはいえ、高級品でも商品が大量に売れ残ることはある。売れ残り商品が盗まれたり、低価格で市場に出回れば、ブランド価値が損なわれ、それが価格に反映しかねない。対応策として、売れ残り商品を廃棄する高級ブランドもある。

BBCが2018年7月19日に報じたところでは、英国の老舗高級ブランド、バーバリーが焼却処分した売れ残りの衣料・アクセサリー・香水は、2017年だけで2860万ポンド。過去5年で9000万ポンドを超えているという。

カルティエやモンブランを傘下に置くスイスのリシュモンは、過去2年で4.8億ユーロ相当の腕時計を処分している。

ブランド側の「ブランド価値を下げたくない」という信念は理解できるが、大量の商品を廃棄処分しており、環境への悪影響が懸念される。

バーバリーは「焼却の際のエネルギーは再利用されており、環境への配慮を示している」と主張。余剰在庫を最小限に抑えるための慎重なプロセスをとっており、「商品を処分する必要がある場合は責任を持って処置し、廃棄物の軽減および再利用法の模索を続ける」とコメントしている。

また、2017年に処分品が増えた理由として、化粧品ブランド、コティとの新規ランセンス契約により、大量の香水を処分する必要があったことを挙げている。コティが新たな商品を製造する一方、バーバリーは1000万ポンド相当の商品を処分する必要があったが、そのほとんどは香水だった。

■「ブランド価値の低下」に危機感?株主からの圧力?

マンチェスター・メトロポリタン大学のファッション・ビジネス主任講師、マリア・マローン氏いわく、過去数年、バーバリーチェックを入れた偽造品が市場に溢れ、バーバリーはブランド価値の低下に危機感を感じていた。売れ残り商品の廃棄処分は、ブランド再建の一環だという。

しかし環境保護団体グリーンピースのルー・イェン・ロロフ氏は、バーバリーが高級品を販売しているにも関わらず、「自社の商品と商品製造のための労力、天然資源をまったく尊重していない」 と批判的で、「余剰在庫=過剰生産にほかならない」と指摘している。生産量を減らす代わりに、余剰分を焼却処分して無駄にしているというのだ。

グラスゴー・カレドニアン大学British School of Fashionの責任者ティム・ジャクソン氏いわく、バーバリーのような高級ブランドは 株主からの圧力と過剰在庫への批判の「パラドックス(背理)」に苦しんでいる。

株主の期待に応えるためには事業を拡大し続ける必要があり、そうすれば過剰在庫やブランドのアイデンティティを弱めるリスクを背負うことになる。

■過去3年で利益を拡大したブランドはごく一部

こうしたパラドックスは、売上で苦戦している高級ブランドにとってはなおさら深刻だ。ベイン・アンド・カンパニーの調査によると、2014〜17年にかけて65%の高級ブランドが 売上高を伸ばしたが、利益を拡大したのはそのうち3分の1のみ。 多数のブランドが再編の危機に迫られている。

2017年の需要の85% は、X世代(1960〜70年代生まれ)とY世代(1980〜90年代生まれ)によるものだ。各ブランドはこれらの層にアピールするために、InstagramなどのSNSをコミュニケーション手段として利用したり、ストリート色を全面に打ちだしたカジュアルなラインを販売している。

こうした新たな戦略を打ちだしたブランドのみが、利益拡大に成功している。例えばSNSを通して若い顧客を獲得したグッチの売上の50%、サンローラン の売上の65%はミレニアル世代によるものだった(CNBC2018 年1月9日付記事 )。また2017年、ルイ・ヴィトンがスケートボードブランド「Supreme」とのコラボレーションで発売した商品は、瞬く間に完売したという。

高級ブランドが模索する中、タペストリー(ブランド名はコーチ)やラルフ・ローレン、ケイト・スペードといった手頃な価格帯の高級ブランドは大苦戦を強いられている。過去3年で売上を落としたケイト・スペードは2017年、タペストリーに買収されたものの、タペストリーの売上も2013年をピークに後退している(SALUTE2017年7月31日付記事 )。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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