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マスク、消毒液「実売値」に見た品薄解消の現実 爆発的な需要増が一巡し流通が落ち着いてきた

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2020/05/23 17:50 坂口 孝則
ようやく入手できるようになってきました(写真:C-geo/PIXTA) © 東洋経済オンライン ようやく入手できるようになってきました(写真:C-geo/PIXTA)

 このところ妻とLINEのやり取りをしながら、市中のスーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアなどにマスクや殺菌消毒(アルコール消毒等)商品が置いてあるか連絡を取りあう。妻のママ友からは、どこの店に置いてあったと情報が入る。誰も買い占めるつもりはないが、マスクをしていなければ犯罪者のように周囲から見つめられる。

 新型コロナウイルスの予防にはマスクの着用や手洗い、アルコール消毒が有効とされる。マスクの有効性については議論もあるが、無自覚症状者が他者にウイルスを飛沫感染させる可能性もあり、他人にうつさないためのマナーとしてもマスクが求められている。

マスクや消毒液が店頭で手に入りやすくなった

 4月の中頃までマスクの入手は、かなり困難を極めた。しかし、先日は普通にコンビニエンスストアにも置いてあったし、100円ショップでも2枚組の商品を購入できた。ドラッグストアやスーパーマーケットにも置いてあるのを確認した。また、マスクや殺菌消毒(アルコール消毒等)商品もなんとか手に入るようになってきた。

 また、肌感覚だけではなく、ニュースやSNSでもマスク不足が解消されつつあると読む機会が増えた。

 筆者は3月、4月に5000万人規模の消費者購買情報を基にした、True Dataのデータベース「ドルフィンアイ」を使って、マスクや消毒液、ハンドソープといったコロナウイルス対策商品の売れ行きを調べた(「マスク、消毒液『実売値』で見る異常な売れ行き」2020年3月4日配信、「マスク、消毒液の「超品薄」を示す実売値の驚愕」2020年4月18日配信)。

 主要な全国のドラッグストアのPOSデータを基にマスク、消毒液の売れ行きを抽出したところ、今年1月後半以降、これらの商品は異常なほどに販売が膨れ上がり、品薄な状態が続いていたことがわかったが、今回はその最新状況を追ってみた。

 なお、今回、使用したのは買い物指数(点数)だ、買い物指数はドラッグストアへの来訪者100万人のうち何個の商品が売れたか(来訪者が買えたか)を示している。

 (外部配信先ではグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

 まずはマスクだ。結果を言えば、回復基調にある。2020年1月最終週に需要が急増し、そして大幅下落したあと、2020年5月1週現在では、昨年のピーク時に近い数量になっている。

 1月最終週の買い物指数は約37万7000。これは前年の5倍だ(なお、ある時期までは制限がかかっておらず来訪者がマスク数点を買えたケースもある)。来店者がマスクを求めて殺到したことになる。その後、3月4週目の買い物指数は3万5000にまで低下した。この頃は、おそらく来店者のほとんどがマスクを買えていなかった。読者の皆さんの感覚とも近いと思う。

 それが、2020年5月1週には、買い物指数は7万7000まで上がった。まだまだ買えていない人も少なくないだろうが、それでも店頭では買い求めやすくなったと見られる。なお、昨年最も売れた1月3週目の買い物指数は約8万8000だ。ということは、昨年のピーク時レベルには近づいていることになる。

マスクの生産・販売は、旧来からのメーカーが増産し、さらに異業種からも参入が相次いでいる。日本ではシャープやミズノが始めたし、アイリスオーヤマ、パナソニックなども参入を表明した。さらには無数の業者が適正な価格によるネット販売も開始している。自動車関連企業のボッシュも、ドイツ国内にマスクの自動生産ラインを開設した。世界の有名ブランドも販売に乗り出している。

 また、手作りマスクの風潮も広がってきた。不織布以外の材料でマスクの代替にする工夫も見られた。さらに海外から徐々にマスクが入りつつある。また、アベノマスクもあった。

 需要と供給の法則どおり、供給が満足な量になれば、人々に行き渡り、販売価格も落ち着いてくる。一時はマスクの転売屋が話題になったり、ネットでは高額販売が話題になったりしたものの、この傾向を見る限り、そろそろ収束に向かうだろう。

買い物指数に地域差はなかった

 ところで、調査を進める過程で面白いことを発見した。私は3月に仕事で東京から福岡県に向かった。東京の張り詰めた雰囲気と違い、博多の街はまだそれほどの緊張感はなかった。したがって、日本の地域によって買い物指数に大きな違いがあるとばかり思っていた。しかし調べると、どの地域も、微細な違いはあっても、基本的に同じ傾向だった。1月下旬から爆発的な上昇を見せ、そのあと品切れで下落。4月下旬から緩やかな回復傾向にある。

 メディアなどの影響によって、実際の感染状況にかかわりなく購買に走ったということなのだろう。この点は別途、分析したい。

 次は殺菌消毒(アルコール消毒等)商品だ。

 殺菌消毒(アルコール消毒等)商品も結果的には回復基調にある。私の家庭でも職場など、私の周りではコロナ禍の前に消毒していたのは私だけだった。それがすっかり店先やオフィスなど至る所で置かれるようになった。

 これも同じく、1月最終週にピークで買い物指数が約2万3000を迎え、その後に品切れにより急落。3月1週目には約1300になった。この頃は来店者のほとんどが購入できていなかっただろうが、5月1週目には約4000まで復活している。

 昨年に最も売れたのは1月の1週目だった。買い物指数は約5600。そう考えると、これも昨年のピークレベルに近づいている。通常ペースの流通状況になってきたと言っていいのかもしれない。

 この消毒液についても政府が転売を禁止する方針を固めている。同じく、異常な高額販売も徐々に影を潜めていくだろう。花王などは増量生産を継続している。他企業も同様だ。また、マスクほどではないが、これまで消毒液として馴染みのないメーカーも生産に取り組んでいる。資生堂は緊急で開発し手荒れにまで配慮した消毒液を生産している。さらには、酒類メーカーも消毒液に着手しだした。

 マスク同様に、コロナ禍以前のように入手は容易ではないが、それも、もう少しの辛抱だろう。

マスクと消毒液は収束しそうだが

 マスクや消毒液は2月からずっと品薄状態が続いてきた。マスクの場合は生産の大半を中国に委ねてきたという側面もあった。コストの面からすれば必然だったとはいえ、緊急時には中国からの輸入がままならず、日本に混乱をもたらした。

 そこから3カ月、医療用のマスクはまだ足りないとはいえ、やっと一般用マスクや消毒液はメドが立ちつつある。オールジャパンで、3カ月あればなんとかなった、と考えるべきか、あるいは、サプライチェーンの見直しを図るきっかけとすべきか。

 マスクと消毒液の不足は、供給体制の観点からも課題を投げかけている。

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