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大手ゼネコン:宇宙ビジネス参入目指す 建設技術を活用

毎日新聞 のロゴ 毎日新聞 2018/09/14 20:11

 米航空宇宙局(NASA)などが月面に再び宇宙飛行士を送る計画を打ち出す中、大手ゼネコン各社が宇宙開発に向けた研究を進めている。2030年ごろから有人月面探査などが始まるとみられ、宇宙基地建設などの需要が見込まれるためだ。各社はビルやダム建設で培った技術を活用し、宇宙ビジネスへの参入を目指している。

 清水建設は今年4月、社内で宇宙開発の事業化を進める「フロンティア開発室」を設け、担当者約10人で月に基地を建設する研究などを行っている。月に存在するとされる氷を重機で掘削して溶かし、月の土砂と混ぜて基地建設用のコンクリートを作るほか、生活に必要な酸素や飲料水を基地に供給し、水素を燃料として利用することを計画している。

 鹿島建設は16年から宇宙航空研究開発機構(JAXA)と月に基地を建設する共同研究を行なっている。月に建設機械を送り、地球からの遠隔操作と自動制御で月面基地を整備する計画だ。現在もダム建設現場などで無人のダンプやブルドーザーなどを稼働させており、こうした自動化技術を応用する考え。同社は「月は地球から約38万キロ離れており、遠隔操作するには通信のタイムラグをどうするかなどの課題がある。実用化に向けて研究している」という。

 大林組は地球と宇宙ステーションを総延長9・6万キロのケーブルでつなぎ、宇宙船のような昇降機で往来する「宇宙エレベーター」構想を掲げる。総事業費は10兆円で、30年に着工、50年に完成させる内容だ。ロケットより安く人や物資を運ぶことができると見込む。ただ、同社は「理論的に実現可能でも、宇宙空間で飛び交う『宇宙線』に耐える高強度のケーブルなどが必要」としており、静岡大などと共同で研究を進めている。

 宇宙開発を巡っては昨年12月、トランプ米大統領が月に宇宙飛行士を送り込み、火星でも有人探査を行うよう指示する大統領令に署名した。月には白金など希少な鉱物資源があるとされ、将来的には資源開発が始まるとの見方もある。

月面を掘削するロボット重機の想像図=清水建設提供 © 毎日新聞 月面を掘削するロボット重機の想像図=清水建設提供

 ゼネコンにとって基地建設や資源開発に必要な重機の操作などは、技術力やノウハウを生かしやすい分野だ。清水建設は「宇宙ビジネスは有望な市場として成長が期待される。現在は構想・研究段階だが、各国の宇宙開発計画が具体化すると予想される20年代後半の事業化を目指したい」と話す。

 宇宙ビジネスに詳しい三菱総合研究所の内田敦主任研究員は「米国、ロシア、中国などが近い将来、月面で経済活動を始めるのは間違いない。人が活動するには基地が必要だ。日本のゼネコンの宇宙進出は夢物語ではなく、現実味のある近未来の話」と指摘している。【川口雅浩】

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