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寿司ネタになるのは魚の40%だけ ロスを出さない回転寿司店のマル秘テクとは

AERA dot. のロゴ AERA dot. 2019/10/16 16:00
さかなの活用の割合 © Asahi Shimbun Publications Inc. 提供 さかなの活用の割合

 今回は少しカタい話題から……。

 10月1日、「食品ロス削減推進法案」が施行されました。2016年時点で、日本国内では年間645万トンもの食べられる食品が廃棄されているそうです。世界に目を向けるともっとひどいことになっていて、世界中で生産される食糧のうち、約3分の1が食べられることなく捨てられているそうです。

 筆者の実家も農家ですので、せっかく一生懸命に育てた食材が、食べられることなくそのまま捨てられると思うと、とても悲しいです。やはり皆さんにおいしく食べていただきたいものです。

 では、当社が日々漁師さんに取っていただいて、皆さんにお寿司として提供している魚はどうなんでしょうか?

 魚種によっても違いますが、一般的に1匹の魚から寿司ネタにできる身がとれるのは約30%~40%です。ハマチやカツオのような体形の魚だと食べられる部分の割合が高くなり、ハタやクエのような岩礁帯にとどまっている頭でっかちの魚だと食べられる身の部分が少なくなってしまいます。

 最近は、ゲノム編集によって食べられる身の部分を増やした、「マッスル真鯛」などが開発されていますが、これらはあくまでも当社でも扱っている天然魚の数字です。

 では肉の場合はどうなんでしょうか?

 牛の場合、内臓も含めて食べられる部分は約40%、豚の場合で約50%、鶏だと約57%程度になるそうです。この数字を見ると、魚は牛と同じ程度なんですね。

 では、魚の寿司ネタにできない部分はどうしているんでしょうか?

 他のお寿司屋さんの状況はよくわかりませんが、くら寿司では、寿司ネタにできない部分も徹底的に活用しています。

 まず、寿司ネタにはならなくても、食べられる部分も結構あります。例えば脇骨の間の「なかおち」と呼ばれる部分や、エラぶたの「カマ」の部分が代表例でしょうか。実はこれらの部分だけで、全体の20%程度もあるんです。

 くら寿司では、これらの部分を自社の加工センターで、ていねいに身の部分だけを切り分けてすり身などにしています。今年3月に発売して好評をいただいているフィッシュバーガーも、こうした部分を利用しているんです。

 ここまで利用すると鶏肉並みの約60%の利用率になります。

 残っているのは、頭や骨、内臓などですが、さすがにこれらの部分は食べられませんよね。でも、無駄にはしません。

 どうしているかというと、まず専用の機械で粉々に砕いて魚粉にします。それをさまざまな栄養分等と混ぜてペレット状に加工して、養殖魚のエサにしているんです。それらのエサは当社が契約している養殖業者さんで、当社が仕入れる魚のエサの一部として使ってもらっています。

 エサとなるペレットにみかんやレモンのエキスを混ぜることで、みかんサーモンやレモンぶりなども育てていただいています。今年2月には、チョコレートを混ぜて育てたチョコぶりも販売しました。

 このようにくら寿司では、漁師さんに取っていただいた魚を無駄にすることなく、100%利用させていただく取り組みを「さかな100%プロジェクト」と名付けて18年から始めています。

 今月は「食品ロス削減強化月間」ということですので、おいしいだけでなく、エコで地球環境にやさしいお魚を食べながら、地球環境について考えてみませんか?

※AERAオンライン限定記事

◯岡本浩之(おかもと・ひろゆき)

1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当

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