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株、バブル後高値の条件 円安持続や業績底入れ

NIKKEI STYLE のロゴ NIKKEI STYLE 2019/11/24 11:00
年末にかけて株価は、昨年10月に付けたバブル崩壊後の高値2万4270円が視野に入ってきた © NIKKEI STYLE 年末にかけて株価は、昨年10月に付けたバブル崩壊後の高値2万4270円が視野に入ってきた

日本株相場がじり高基調になっている。一時は日経平均株価の2万円割れを予想する声さえあったが、円安を背景とする企業業績の底入れ期待や、国際政治・経済情勢の改善を受けて、外国人投資家の買いが戻ってきた。年末にかけて株価は、昨年10月に付けたバブル崩壊後の高値2万4270円が視野に入ってきた。

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企業が発表した2019年4~9月期決算は、全体の純利益が約14%の減益だ(14日時点、図B)。米中貿易摩擦の影響で製造業が3割減益と悪化が目立つ。中でも自動車、化学などが大幅減益だ。一方で非製造業は約6%増益で、ソフトバンクグループの大幅減益の影響を除くと増益率は高くなる。外国人観光客の伸びもあって電鉄や流通・小売企業が堅調だ。

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今回、通期(20年3月期)の業績予想を見直した企業のうち、下方修正した企業の比率は7割弱と多い。今のところ通期の全体の純利益は約7%減と、2期連続の減益になる予想だ。にもかかわらず株式相場はそれほど嫌気していない。

その理由は業績の底入れ期待が出ているためだ。全体の業績を四半期ベースで見ると4~6月期に比べて7~9月期に改善している。さらに10~12月期以降は増益基調に転じる可能性がある。昨年度の下半期(18年10月~19年3月期)は業績が大幅に悪化していたため相対的に改善しやすい。今年度の下半期は3%増益の予想となっている。

企業が通期予想を立てるうえで前提としている為替レートは平均で1ドル=108円程度だ。仮に円高が進んでも業績が下振れしないよう想定レートを円高方向に見直し、105円程度とする企業も多くなった。逆に110円とする企業は少ない。外国為替市場で円相場は1ドル=109円前後と下落基調にある。今後も円安傾向が続けば、企業にとって増益要因となる。

■外国人の買い戻る

実際、株式相場の売り買いのバランスとなる需給関係は改善している。外国人投資家の動向を見ると、昨年秋以降、売り越し基調が続いていたが買いが戻ってきた(図C)。今年は8月まで売越額が現物・先物合計で3兆円を超えていたが、9月以降は大幅な買い越し基調に転じている。

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世界的な金融緩和によって、米国の株価が過去最高値を更新するなど主要国の相場は軒並み高い。一方、日経平均は上値が重く、夏ごろまで株価純資産倍率(PBR)が1倍程度だった。出遅れ感の強い日本株に外国人投資家が再び注目し、先物主導で買い戻しに動いている。

もう一つ買い主体で見逃せないのが日銀だ。日銀は通常の株価指数連動型の上場投資信託(ETF)を年間5兆7000億円購入する。今年は9月、10月と株式相場が上昇し始めたため、日銀の購入額は11月初め時点で約3兆7000億円にとどまっている。年内はあと2兆円ほど買い余力がある計算だ。

市場では無理に買う必要はないとの指摘もある。ただ、数少ない追加緩和手段の一つであるETF買い増しという選択肢を温存するためにも日銀として買い残しは避けたいところ。これまでは午前の取引で東証株価指数が0.5%下落すると700億円程度、ETFを購入している。11、12月に2兆円購入するには立ち会い日数から逆算すると、週3回ペースで購入しないと枠を消化しきれない。

これまでより下落率が低くても買い出動するか、1回あたりの購入金額を増やす可能性があり、その場合は需給面からプラス要因になる。加えて企業の自社株買いが増えており、今年度は年間の総額が10兆円に迫る勢いだ。日銀の買いと合わせて、相場下落局面での下支え要因として期待できるだろう。

■中期では足踏みも

株式市場を巡る外部環境もひところに比べて改善している。今年夏までは相場の重荷が3つあった。米中貿易摩擦、英国の欧州連合(EU)からの合意なき離脱、日米経済協議だ。米中問題は12月にも首脳会談が実現して追加関税の段階的な解消に向けて合意するとの期待が高まっている。

英国のEU離脱の行方は12月12日の総選挙の結果が判明するまで不透明な部分が残るものの、市場混乱につながる合意なき離脱は回避できるとの見方が増えている。保守党が選挙に勝った場合も、緩やかな離脱となりそうだし、労働党が勝てば、EU離脱そのものが白紙に戻る可能性もある。日米経済協議は懸案だった自動車への追加関税が回避され、9月以降、トヨタ自動車を中心に自動車株が息を吹き返した。

企業業績、需給、外部環境がそれぞれ好転したことで、日本株相場は当面、堅調な展開が期待できるだろう。ただ中期的に見れば、消費増税の影響緩和のための政策の期限が切れる来年夏以降、東京五輪が終わる頃には個人消費に一服感が出る可能性がある。相場が足踏みするリスクを頭の片隅に入れておくべきだろう。

(編集委員 鈴木亮)

[日本経済新聞朝刊2019年11月16日付]

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