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米株バブルにあらずも暴落の危険残る

The Wall Street Journal. のロゴ The Wall Street Journal. 2017/02/27 JUSTIN LAHART

――ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米国株のバリュエーション(投資尺度)はバブル状態にあるように見える。しかし、米株式市場にはそれ以外のバブルの兆候が見当たらない。

 ドナルド・トランプ氏が米大統領に選出されて以降の米国株の上昇はすでに高かったバリュエーションを異例なほど高くしてきた。調査会社ファクトセットによると、S&P500種指数は今や予想1株当たり利益の約18倍で取引されており、この12年余りで最も高い水準にある。米国株の時価総額の対国内総生産(GDP)比率は2000年代初めに達したピークに近づきつつある。

 市場は泡立ってきていると考える人がいてもおかしくない状況である。とはいえ、高い価格で購入している点を除けば、投資家の行動は通常のバブル時とはまったく異なっている。

 バブルの顕著な特徴の1つに株取引熱の高騰がある。1999年、米国株の出来高は急増し、そのうちの20%はインターネット関連株だった。ところが、大統領選挙以降の1日平均出来高が前年度の水準を下回るなど、現在の取引はとても落ち着いているように見える。

ドナルド・トランプ氏が米大統領に選出されて以降の米国株の上昇はすでに高かったバリュエーションを異例なほど高くしている(写真はニューヨーク証券取引所、2014年10月2日) © Provided by The Wall Street Journal.

 バブルのもう1つの特徴としてレバレッジ(借り入れ)が挙げられる。「根拠なき熱狂」に取りつかれた投資家は、儲けの拡大を狙いレバレッジを利用する。証拠金債務は増大しているが、対時価総額比では安定し続けている。IT(情報技術)バブルのときにはそれが急拡大していた。 

 ITバブル当時、メリルリンチのストラテジストとしてかなり弱気だった資産運用会社リチャード・バーンスタイン・アドバイザーズのリチャード・バーンスタイン最高経営責任者(CEO)は現在の株価高騰は理にかなっていると話す。「経済が今ほど健全なときに米国政府が減税措置や財政刺激策を話題にしたことなどあっただろうか」と同氏は問う。「株価がさらなる急騰を示すのに大きな刺激策は必要ない」

 たとえば、ファクトセットが調査したアナリストたちは、S&P500種指数を構成する企業の向こう1年間の利益率が法人税減税によって現在の10.6%から1ポイント上昇すると予想している。そうなった場合、2017年の利益成長率の予想は現在の約10%から約20%に拡大する。するとS&P500種指数の予想収益に基づく株価収益率(PER)はより妥当な16.5倍ぐらいに低下することになる。

 しかし、こうした計算にはリスクも伴う。歴史的に見ても利益率はすでに高く、雇用市場の逼迫(ひっぱく)と賃金の上昇が進んでいることを踏まえると、近い将来、人件費が利益率を低下させるかもしれない。最近の一連の堅調な経済指標や株価の上昇を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年、投資家が予想しているよりも大幅な利上げを実施するという可能性もある。

 最大のリスクは投資家が期待しているような積極的な経済刺激策をトランプ氏と米連邦議会が遂行できないという事態だろう。下院共和党があたためている税制改革案に重要な役割を果たすのが国境調整税だが、これには小売業者やその他の業界団体が強く反発している。このため、法案通過は心許ない。しかも法人税減税による税収減の一部は国境調整税で補てんされることが想定されていることから、投資家が期待するような利益率の急上昇は実現しないかもしれない。

 米株式市場でバブルが破裂することはないかもしれないが、暴落する可能性はまだある。

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