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年金制度改悪でプーチンの支持率も低下。平均寿命67.5歳のロシア男性は2年半しか年金受給されない!?

HARBOR BUSINESS Online のロゴ HARBOR BUSINESS Online 2018/10/12 08:37

 ロシアのプーチン大統領の支持率が急落している。

 原因は、年金問題。これまで89%の支持率だったのが、ロシアの独立系では最大の世論調査「レバダ・センター(Levada Center)」によると67%にまで下降したという。政府への支持率は47%から33%に落ちた。また、政府が正しい方向に向かっているという国民からの示唆も60%から45%に下降したという。(参照:「El Economista」、「El Confidencial」)

 もちろん、2017年度の世界報道自由度ランキングでもロシアは180か国の中で148位という国である。独立系の報道メディアや記者は毎日攻撃に晒される危険に挑まねばならなず、彼らの多くが主要メディアから排斥されているため、筆者はプーチンへ支持率は公表されている数値よりも実際はもっと低いのではないかと思っている。

ハーバービジネスオンライン: MabelAmber via Pixabay(CC0 Public Domain) © HARBOR BUSINESS Online 提供 MabelAmber via Pixabay(CC0 Public Domain)

◆平均寿命の短いロシアで年金支給開始が引き上げ

 年金制度改正の法案はロシア連邦議会の下院で9月に、そして上院で10月にそれぞれ可決された。

 この改正に多くの国民が不満を表明している理由は、少ない年金支給額に加え、ロシア人の平均寿命が短いことから定年してから年金を享受できる期間が少なくなったということからである。

 2005年にプーチンは彼の治政中は定年年齢を上げることはしないと約束していた。しかし、財政赤字をこのまま放置するわけにも行かず、今回の改正で年金支給額の負担を減らすことにしたが、それでも35億7000万ユーロ(4600億円)に相当する財政赤字を2018年度で抱えることになるという。それは国家予算の1.6%に匹敵するそうだ。(参照:「El Confidencial」)

 この改正によって、男性の場合の年金支給は、2019年から2028年まで60歳から65歳に、そして女性の場合は2019年から2034年まで55歳から63歳にそれぞれ繰り上げられることになる。(参照:「El Economista」)

 当初の計画だと、5歳繰り上げるのではなく、8歳繰り上げする予定だったという。となると、国民からの反発がさらに強くなるとして、政府は5歳の繰り上げということに留めたそうだ。(参照:「El Pais」)

 ちなみに、年金の平均支給額は14151ルーブル(24000円)で、4610万人が年金受給者となっている。この中には退役軍人が年金受給者の半分近くいる。

◆地域によっては平均寿命が開始年齢を下回る

 問題はロシア人の平均寿命である。2017年度で男性67.5歳、女性77.6歳となっている。即ち、男性の場合、年金の支給開始の65歳から平均寿命67.5歳まで僅か2.5年しか年金を享受できないということになるのである。

 男性の場合、平均寿命67.5歳というのは非常に短く、この年齢よりも長生きをしてより長く年金を享受する男性もいる。しかし、アルコール中毒に罹る人が多くそれが短命を導ているとしている。(参照:「El Pais」、「El Confidencial」)

 さらに、ノヴゴロド地方の男性などは、平均寿命が64歳ということで、年金支給開始年齢65歳に届かないのである。

 同地方では、男性の場合、62歳で亡くなる人が多いという。70歳以上存命した男性の墓を見つけるのは容易ではないそうだ。

 今回の年金制度改正で多くの人たちが愉しい未来に得る期待を失ってしまったという。

 しかし、年金制度の改正を実行しないと、2035年には年金受給者の方が労働者を上回る数になるという。年金支給額は年間で450億ユーロ(5兆8500万円)。(参照:「El Economista」)

 安倍政権でも年金支給の開始を選択性とはいえ70歳超に引き上げる案が検討され始めている。日本の平均寿命は男性は「81.09歳」、女性は「87.26歳」でまだマージンがあるものの、支給期間はどんどん短くなっているのが現実だ。遠からず、ロシアのことを笑えない日が来るかもしれない。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

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