古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

携帯電話戦争 大手3社に勝負の楽天モバイルは使えるのか

NEWSポストセブン のロゴ NEWSポストセブン 2020/10/16 16:05
携帯料金は安くなるのか © NEWSポストセブン 提供 携帯料金は安くなるのか

 菅政権が誕生して1か月。菅義偉首相が繰り返しアピールしているのが携帯料金の値下げだ。これが実現すれば家計は大いに助かるが、果たして実現するのか。発売以来11年間連続完売を記録している『家計ノート』の著者であるカリスマ講師の細野真宏さんが解説する。

 * * *

 まず2019年10月1日から「電気通信事業法」が改正され、携帯電話の「契約期間」と「契約解除料」が原則的に無くなったのです。これは、携帯会社の乗り換えがしやすくなったチャンスと言えるでしょう。

 そもそも「携帯電話」というと、NTTドコモやau、ソフトバンクといった大手の携帯電話会社(メインブランド)に目が行きがちです。でも、シンプル化した「サブブランド」も忘れてはならず、au系列の「UQモバイル」やソフトバンク系列の「Y!モバイル」もあります。

 大手の「メインブランド」は基本料金が高い分、手厚い保証や、日中の混雑時でも安定した通信品質が確保されているなど「値段に相応な安心感」があります。とはいえ「サブブランド」の場合は、キチンと大手携帯会社の回線を使えているので、それほど通信品質は変わらない面もあります。何より自前の通信回線を持たなくていいため、通信費が安く済むメリットがあります。

 ちなみに、通話料は30秒20円というスタンダードな金額になっていますが、「UQモバイル」の場合は3つのオプションも用意されています。

(1)月500円で月に最大60分の通話ができる

(2)月700円で10分以内の電話がかけ放題

(3)月1700円で24時間いつでもかけ放題

 同様に「Y!モバイル」の場合は、基本的に「10分以内の電話ならかけ放題」となっていて、10分を超えると30秒20円という金額が加算されていきます。ただ、通話が長い人向けに、「月1000円で24時間いつでもかけ放題」というオプションも用意されています。そのため、自分に合う設定がしやすい「UQモバイル」や「Y!モバイル」の「サブブランド」の場合は平均的に月3818円と、携帯大手3社の平均6755円の半額程度で済みます(MM総研調べ)。

「携帯戦争」で何が起こっているの?

 携帯電話の契約は大手3社で約9割も占めているため、認知度が低いのですが、実は携帯電話会社は多くあります。総務省によると、3万件以上の契約数を持っている「格安スマホ」の会社は約60社もあるとされています。つまり、「メインブランド」や「サブブランド」だけではなく、私たちの家計管理に役立つ選択肢は想像以上に多いのです。

 そして、競争が増えれば増えるほど、サービス合戦が起こって、料金が安くなったりサービスが良くなったりするわけです。例えば、NTTドコモから通話回線を借りている「格安スマホ」の日本通信は、通話回線のレンタル料の値下げを総務省に求めていました。そして、値下げをしてもらえることが決まったため、今年の7月15日から、「電話かけ放題」と「データ通信量3ギガバイト」をセットで、月2480円という料金プランを開始しています。

 さらに、3ギガバイトを超えた場合は「1ギガバイト=250円」で販売しています。大手携帯会社の場合は、「1ギガバイト=1000円」が一般的なので、通信費は大手の4分の1という料金設定となっているのです。そして、この流れを受けて旅行代理店のHISの子会社HISモバイルが8月28日から同じ金額のサービスを開始するなど、競争が激化しているのです。

 さらに、このような競争の流れは「格安スマホ」だけにとどまらず「サブブランド」でも起こっていて、200万超の契約を誇る「UQモバイル」は6月に月2980円で、データ通信量が10ギガバイトの新プランを投入しました。

 それまでの設定では、データ通信量を使い切ってしまうと、通信速度が大幅に落ちていましたが、この新プランでは、従来の3倍以上を維持する設定にしています。その結果、6月の純増数は前年同月比2.4倍も増え、新規契約の約半数が新プランという成果を出したのです。そして、ライバルの「Y!モバイル」は10月14日から順次、容量超過後の通信速度を引き上げるプランにし、「UQモバイル」に揃えています。

 このように、過酷な「携帯戦争」というべき状況が生まれているのですが、そもそも大手携帯会社から回線を借りる格安スマホは、「利幅が少ないビジネスモデル」でもあるのです。そのため「価格競争」に限界があるのも事実で、ツタヤなどを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は「格安スマホ」から撤退していたり、昨年「DMMモバイル」は「楽天モバイル」に売却されたりしています。

 さて、まさにこの「楽天モバイル」という存在が今後、どこまで成功するのかによって、今後の日本の携帯電話市場が大きく変わりそうなのです。

大手3社に勝負の「楽天モバイル」は使えるの?

 まず「楽天モバイル」の現在の位置付けは「格安スマホ」から始まっているので、auから通信回線を借りている状況です。ただ、最終的には大手携帯会社になるのが目標なので、auから通信回線を借りながらも、自前の通信回線を一生懸命に作っている最中なのです。しかも、これまでの通信回線は、屋外基地局アンテナ設置には、多くの設備が必要でした。

 ところが「楽天モバイル」の場合は、無線アクセス機能を使ったシンプルな基地局で済むようにしたことが大きな特徴としてあります。そのため、通信回線の建設や運用コストを大幅に減らせているので、料金を安くできている面があるのです。

 ここで押さえておきたいのは、「4G」と「5G」という通信規格の違いです。まず、そもそも現在のベースは「3G」(第3世代)で、人口カバー率はほぼ100%となっています。そして、スマホで動画などを見るようになって「4G」(第4世代)という通信規格により、つながるスピードが急激に速くなってきました。

 そこで「楽天モバイル」は、先を見据えて「4G」からスタートをしています。そのため、基本的にauの「4G」の通信回線を借りているので、「楽天モバイル」が対応可能な地域は、現時点では限定的になっています。

 このように、まだまだ使えない地域が多くありますが、「楽天モバイル」は、2021年3月末までに人口カバー率を70%に、そして夏には人口カバー率を96%にまで拡大する方針を示しています。

 さらに、すでに世界では、新たな「5G」(第5世代)も進んでいるので、「楽天モバイル」は、大手携帯3社と同様に「5G」通信回線を作っている最中なのです。ちなみに、この「5G」は、「4G」の約「100倍」も速くつながるようになるものとされています!

 そんな中、9月末に「楽天モバイル」が、この「5G」も使えるサービスを月2980円で提供することを発表しました。これは上の表のように「破格な安さ」と言えます。ただ、気を付けるべきことは、いくら「5G」が使える、と言っても、NTTドコモが47都道府県で対応しているのに対して、まだ「楽天モバイル」は6都道府県にとどまります。しかも、まだ進行途中で、例えば東京都だけで見ても、NTTドコモの場合は、12区3市で対応していますが、「楽天モバイル」は2区だけにとどまっているのです。

 このように「5G」については、少し先の話になりそうですが、現時点で「4G」の圏内にいる人は「楽天モバイル」を試してみるのもいいのかもしれません。というのも、300万人までは1年間、基本無料で使えるからです。つまり、大手の携帯料金の平均額は月6755円なので、これの1年分の「6755円×12か月」に相当する8万1060円を無料で済ませられるのです。

 もちろん「まだ新規参入の楽天モバイルは不安」という人もいるでしょう。そんな人は、これから起こると予想される「携帯戦争・第2幕」を待ってみるのもいいのかもしれません。NTTが子会社のNTTドコモを国内過去最高額の4兆円超の金額で買収して完全子会社化することにしましたが、これによってNTTドコモが新たな動きを見せそうだからです。具体的には通話料金の値下げや、これまで慎重だった「サブブランド」を出してくる可能性があるのです。

【プロフィール】

細野真宏/日常よく目にする経済のニュースをわかりやすく解説した“細野経済シリーズ”が、経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」を記録した。首相管轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、金融・経済教育の重要性を世に問い続けている。

※女性セブン2020年10月29日号

配信元サイトで読む

NEWSポストセブン
NEWSポストセブン
image beaconimage beaconimage beacon