古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

あなたの仕事の8割は、「やらなくてもいいこと」だった

ZUU Online のロゴ ZUU Online 2019/06/12 20:30
あなたの仕事の8割は、「やらなくてもいいこと」だった(画像=THE21オンライン) © 働き方,佐々木常夫 あなたの仕事の8割は、「やらなくてもいいこと」だった(画像=THE21オンライン)

■人生観を持たなければ働き方は変えられない

あなたが働き方を変えたいなら、大前提として「自分はどう生きたいのか」という人生観を持つことが必要です。

「働き方」とは、すなわち「生き方」です。私は管理職時代にチームの残業を減らし、自分も毎日定時に退社していましたが、それは「家族を大事にしたい、友人とも会いたい、勉強や読書もしたい」という人生観があったからです。

となれば、「これらの時間を確保するために、どんな働き方をすべきか」を考え、仕事のやり方を工夫するしかありません。

ところが多くの人は、「仕事が忙しいから、家族と夕飯が食べられないし、友人とも会えないし、勉強も読書もできない」と考える。自分に主体性がないから、集団や組織の論理に従って言われるままに長時間労働をしてしまうのです。

生産性を上げて残業せずに済むようにしたいなら、まずは自分の人生観を持つことから始めてください。

■「決めて、略して、修正」のサイクルを回そう

「働き方を変えたい」と主体的に思えたら、次にやるべきことは「仕事を略す」です。「無駄な仕事を捨てる」と言い換えてもいいでしょう。

仕事が就業時間内に終わらない理由はただ一つ、何でもやろうとするからです。そして、何でもやってしまうのは、やるべき仕事とそうでない仕事の見極めがついていないのが原因です。

よって大事なのは、「何をやって、何を略すか」という基準を決めること。そして基準に従い、仕事を略してみる。ただし、その基準でやってみたらうまくいかなかったとか、状況の変化に伴って基準を変えたほうがいいことも当然出てきます。

その場合は、基準を修正すればいい。「決めて、略して、修正する」というサイクルを回していれば、実情に合った適切な取捨選択ができるようになります。

残業が多い人は、最初の「決める」という作業をしていません。だから優先順位が高い・低いにかかわらず、来た仕事を何でもやってしまうのです。

自分が管理職なら、チームの仕事を略すことも必要です。

私は課長になったとき、部下が過去1年にやった業務をすべて洗い出し、どれだけ無駄があるか分析しました。その結果、私の基準で判断すると、全体の4分の1がやらなくていい仕事だったのです。

そこで私は、「これらは重要ではない仕事なので、やらなくていい」と部下にはっきり伝え、仕事を捨てさせました。おかげで、私のチームはほとんど残業をしなくなりました。

このように、基準を決めれば無駄な仕事はいくらでも略せます。「皆がやっているから」「ずっとこのやり方だったから」と思考停止に陥って、来た仕事を何でもやっているうちは、定時には帰れません。

まずは「自分の基準を決めて、できるだけ略す」をモットーにしましょう。

■上司をうまく使って仕事量をコントロール

仕事の中でも上司から指示されたことは、無条件になんでもやる人がほとんどです。

しかし、上司なんて自分が指示したことの半分は忘れてしまうもの。特に思いつきで指示するタイプの上司は、「あれもやれ」「これもやれ」と言うものの、実はそれほど重要ではないことも相当含まれています。

ですから私は会社員時代、上司が指示を5つ出したら、重要度が低い2つくらいはやらずに放っておきました。もちろん上司から催促されたらやりますが、こうした価値の低い仕事は上司も忘れてしまうので、ほとんどはやらずに済みます。

指示された仕事をやるにしても、「この資料はパワポではなく、ワードでまとめていいですか」などとあらかじめ確認をとってから取りかかります。

手の込んだ資料を作らなくても上司の要求に沿えるなら、わざわざ時間をかけなくても簡単なやり方で済ませればいいでしょう。

このように、上から降ってくる仕事を巧みに取捨選択しながら、上司をうまく使うのが仕事を効率化するコツです。

上司をうまく使うには、こまめなコミュニケーションが大切です。私は課長時代、上司である部長に定期的な報告・相談をしていました。

部長の手が空く日時を見計らってアポを取り、「私のチームはAの仕事をやり、Bの仕事はやりません。なぜなら、Aの方が重要だからです」と伝えて合意を図るのです。

上司が了承すればAで進められますし、「いや、会社としてはBの重要度が高いのでこちらをやってくれ」と言われたら、自分の基準を修正してBをやります。いずれにしても、定期的に上司の了解をとっておけば、余計なことや間違ったことをしなくて済むので、無駄な仕事を略してスムーズに進められます。

仕事を効率化するには、自分が上司をコントロールするくらいのつもりで臨みましょう。

■絶対に略せないのは「部下の育成」

管理職であれば、下から来る仕事もあるでしょう。部下の相談に乗ったり、指導したりするのは上司の仕事です。

とはいえ部下は何人もいるのですから、すべての部下に直接対応していたら、上司の仕事は増える一方です。

そこで重要なのが、組織の階層をうまく使うこと。例えばあなたが課長なら、自分がコントロールするのはすぐ下の課長代理や係長までとし、その人たちがさらに下の部下に対応する仕組みにします。

管理職の中には新入社員の仕事にまで、こと細かに口出しする人がいますが、それは入社3年目くらいの若い社員に任せればいいこと。1人の上司が組織の末端まで直に対応するのは、あまりに効率が悪すぎます。

このように、管理職の仕事を減らすには、自分の仕事を人に任せることが不可欠です。中には「任せられる部下がいない」と平気で言う上司がいますが、任せられるように部下を育成するのは管理職の責務です。

部下の育成は時間をかけてでも上司がやるべき仕事で、絶対に略してはいけません。

「任せられない部下」を「任せられる部下」に育てるには、仕事の状況を定期的に報告させるのが最も効果的です。私が上司に対してやっていたのと同じように、部下から定期的に情報を上げさせれば、仕事の遅れやミスの兆候があっても早めにフォローできます。

仕事を発注するときも、「この点に注意して進めるように」とアドバイスを添えれば、失敗も減って部下のレベルは確実に上がっていきます。

こうして時間をかけてでも部下が成長すれば、上司である自分も仕事を下に任せて、管理職にしかできない重要な仕事に集中できます。チーム全員がそれぞれの役割に応じた仕事に取り組めば、組織の生産性は一気に上がるはずです。

■皆で仕事のやり方を「考える」場を作る

もう1つ、チームの生産性を高めるために、管理職がやるべきことがあります。それは、「皆で仕事のやり方を考える場」を作ること。

「自分1人で生産性の高い働き方を考えろ」と言われても限界がありますが、チームの皆で議論すれば、1人や2人は良い知恵を出してくれるもの。それを全員で共有し、実践すれば、組織の力はどんどん高まります。

 私が管理職時代は、1年のはじめにチームの皆で集まり、「今年はどんな仕事をやるか」「それを成功させるにはどうすればいいか」を議論していました。

無駄な会議は略すべきですが、チームで新しいアイデアを生み出すための場は積極的に作ることをお勧めします。

■生産性の高い人は「暇だ」が口グセ!?

生産性の高い働き方をしている人には、ある共通点があります。それは、暇なことです。

暇とは、時間に余裕があるということです。だから何か問題が起こっても、すぐに対応できる。対応が早いから問題が解決するのも早く、短期間で高い成果を出すことができます。

ところが、ほとんどの人は「忙しい」が口グセです。自分の上司がいつも「忙しい、忙しい」と言っていたら、部下は声をかけづらく、なかなか報告や相談に来ないでしょう。

私はいつも「暇だ、暇だ」と言っていたので、部下も「だったら佐々木さんに相談してみようか」と考えて、何でも話してくれました。 

他の部署の人が「ちょっと遊びに来ました」と立ち寄ることも多く、良い情報も悪い情報も入って来ました。「暇だ」を口グセにすれば、組織を効率的にマネジメントできるのです。

「暇だなんて言ったら、上司に余計な仕事を押しつけられるのでは」と心配するかもしれません。しかし、上司も部下の仕事ぶりはきちんと見ているので、本当に暇なわけではなく、自分の哲学でそう言っているのだとわかります。

そして仕事ができる上司ほど、「皆が忙しいと言っているときに暇だと言えるなんて、この人は有能だ」と見抜きます。ですから安心して、「暇だ」を口グセにしてください。

■働き方改革は実践した者勝ち!

「決めて、略して、修正する」のサイクルを回していると、略せる仕事は山のようにあることがわかります。

今まで何も意識せず、来た仕事をひたすらやっていたから気づかなかっただけで、「80対20の法則」があるように、本当に重要な仕事は全体の2割程度しかありません。

例えば、私は営業課長時代、無駄な出張をやめさせました。それまで部下たちは簡単な打ち合わせのために地方へ出張していましたが、代わりに毎週同じ曜日の同じ時間に顧客へ電話で定期連絡を入れるように指示したのです。

これで十分コミュニケーションが取れるので出張の必要はなくなり、営業課の仕事は激減しました。これも単に「営業は客先へ出向くもの」という 思い込みがあっただけで、「無駄な仕事を略して、生産性を高めよう」とする意識さえあれば、誰でも改善できたはずです。

私が他の管理職と違ったのは、それを実践に移したことだけです。つまり、「実践した人が勝ち」ということ。誰もが頭では「残業をしない方がいい」とわかっていても、実際にやる人はまだまだ少数派です。

だからこそ、実践した人やチームは他に大きく差をつけられる。この記事を読んだあなたも、ぜひ今日から実践してもらいたいと思います。

佐々木常夫(ささき・つねお)

佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役

1944年秋田市生まれ。6歳で父を亡くし、4人兄弟の次男として母の手ひとつで育つ。1969年東大経済学部卒業、同年東レ入社。30代前半に倒産しかけた会社に出向し再建。1987年社長のスタッフとして経営企画室で経営革新プログラムを担当。1989年繊維の営業でテグス(釣り糸)の流通改革を断行。1993年プラスチック事業企画管理部長。2001年取締役経営企画室長。2003年東レ経営研究所社長。2010年同社特別顧問。2013年より佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役。著書に『会社で生きることを決めた君へ』(PHP研究所)などがある。(『THE21オンライン』2019年04月25日 公開)

ZUU Onlineの関連リンク

image beaconimage beaconimage beacon