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なぜあなたは「中古の軽」では不満なのか

プレジデントオンライン のロゴ プレジデントオンライン 2017/11/09 午堂 登紀雄
なぜあなたは「中古の軽」では不満なのか: 午堂登紀雄著『人生の「質」を上げる 孤独をたのしむ力』(日本実業出版社) © PRESIDENT Online 午堂登紀雄著『人生の「質」を上げる 孤独をたのしむ力』(日本実業出版社)

人生を楽しむにはどうすればいいのか。ひとつは他人に振り回されないことです。米国公認会計士の午堂登紀雄氏は、自身の経験から「孤独をおそれることなく、素の自分を堂々と出して生きられることが自己実現と幸福につながる」と指摘します。午堂氏は第2子の誕生にあわせてクルマを探した際、「中古の軽自動車」を選びました。その判断基準に、人生を楽しむヒントがあるといいます――。

※以下は午堂登紀雄『人生の「質」を上げる 孤独をたのしむ力』(日本実業出版社)の「『みんなでブレスト』をやめる」(152ページ)を再編集したものです。

自己実現とは自分らしく生きること

「自己実現」という言葉をよく耳にしますが、何もバリバリ活躍することだけを指すわけではありません。

自分の本心に従って生きていくこと、それが許される環境・世界をつくることもまた、自己実現のひとつです。

孤独をたのしめる人は本音ベースで生きています。ありのままの自分でいいと思っているから、ウソ偽りもなく、無理して周囲に迎合することなく、つねに自然体でいられます。それは、自分らしく生きるということそのものであり、「自己」をそのまま実社会で「実現」していることにほかなりません。

ことさら華やかな活躍でなくても、素の自分を堂々と出して生きられることは、自分への自信、自分の人生への信頼感と、将来に対する明るい希望を持つことができる、「幸せ」な生き方と言えるでしょう。

しかし孤独を恐れる人は、この意味における自己実現ができません。ひとりにならないよう、自分を抑えて周囲に合わせて生きているからです。集団からあぶれないよう、自分の思いよりも周りの意見・価値観に配慮して行動するからです。

見た目は華やかで活躍しているような人でも、仲間にちやほやされたいあまり、つねに神経をすり減らしながら気配りをしている人も少なくありません。

これは著名人にもよく見られるのですが、いつもSNSの「いいね!」の数を気にし、「インスタ映え(インスタグラムでの見られ方)」を意識し、他人からの評価のために行動している人は、本当の意味で自己実現はしていないと言えます。

ではどうすれば、この「心の自己実現」ができるのでしょうか。

人生の優先順位を明確にする

その方法のひとつは、「自分にとって本当に大切なことと、そうでないこと」を分別することです。

それは思い込みや社会の常識、他人からの評価ではなく、自分なりの明確な判断基準を持つこと。仮にそれが好き嫌いにもとづくものであっても、その好き嫌いを分かつ自分の価値観を探ってみるのです。

そして、本当に大切なことを最優先し、そうでないことは後回しするか、力を抜くか、そもそも関わらないという判断をする。

そういう「人生の優先順位」を明確にしていけば、大事でないものはあっさりと捨てられる胆力がつくし、もっと大事なことが発生すれば、いまやっていることはスパッと諦めて、そちらに飛び移ることもできる。

すると、その場しのぎでズルズル時間が過ぎるということがなくなる。自分を貫くことで孤独になるかもしれないという恐怖感もなくなります。

私の場合、つねに合理的でありたいと考えています。自分の判断基準、行動指針の原点も「合理的か否か」です。時間・労力・コストのバランスから、最小のインプットで最大の効果効用を得たい。無駄を避け、自分の行動からはつねに何らかのメリットがもたらされるようにしたい。

そういう欲求が強いので、「合理的かどうか」をもとに行動すれば、自分の満足感・幸福感に直結することがわかっているからです。

だから合理的であればどんな意見も取り入れるし、そうでなければスルーします。

どんなに収入が増えても、たとえば都心の高級マンションに住みたいとか、かっこいい服を着たい、かっこいい車に乗りたいといった欲求もありません。

引っ越しの経験が10回以上あるため、どこに住んでもすぐ慣れるし、高級物件の感動も最初だけだと知っているからです。それこそ高層タワーマンションからの眺めなんて、うれしいのは最初だけで、あとは毎日の見慣れた光景になります。

何より自宅は収益を生まないから、そこそこ便利な場所でそこそこ快適であれば十分。豪華なエントランスやほとんど使わない共用設備にお金を払うのはバカバカしい。

買い物でも、「安いから」「かわいいから(かっこいいから)」「限定だから」「バーゲンだから」「新商品だから」「そろそろ買い替えの時期だから」「欲しいから」などという感情で何かを買うこともありません。

妻の「合理的」な提案で意見を修正

同時に、合理性が認められれば、簡単に自分の意見を修正します。

最近も、第2子が生まれ家族が増えることで、ちょっとした外出用に車を買おうということになりました。

ただ、私が30代前半のころは車の改造に夢中になっていて、スポーツカーの改造に300万円以上かけるなど、それなりに車にはくわしいという自負がありました。なので、「どうせ買うならこれこれこういうスペックで」というこだわりがありました。

そして新車ディーラーに行ってそのこだわりを反映させた見積もりをとったら、軽自動車ではありますが約180万円という金額。ほぼフル装備なので、そんなものだと思っていました。

しかしそのとき妻から提案が。「中古車でもいいんじゃない?」

そこで私はハタとわれに返りました。たしかに冷静に自分の生活スタイルを振り返ってみると、自宅は駅から近いし、仕事は都内に電車で行くし、買い物はほぼネット通販。

車を使うのは、子どもの保育園への送り迎えと、日々の生鮮食料品などを買うためスーパーへ行くくらい。毎日使うけれども、走行距離にして1日10キロに満たない。たまに家族で外食やレジャーに行く程度。

その程度しか乗らないので、高機能な新車はたしかに満足度は高いけれども、ただ持て余すだけ……。

そこで中古車検索サイトを調べたら、近所の中古車販売店で軽ハイトワゴンが19.5万円で出ていた。8年落ちで走行距離約14万キロメートルと、かなり走っているから安い。

さらに検索したら、タクシーなどは20万キロ、30万キロは当たり前の世界で、特に日本車はオイル交換などきちんとメンテナンスしていれば、14万キロ程度はまったく問題ないとのことでした。

「4年後とか5年後とか、第3子ができて車じゃないと移動が大変とか、動物園や博物館など車がないと不便なレジャー施設などに行くようになってから、新車のワンボックスカーなどに買い替えればいい」

という妻の意見も非常に合理的。何より、今回で浮いたこの150万円を別のことに使える。と話していたら次の瞬間、妻から驚愕のひと言。

「それでピアジェの腕時計買って」

自分の幸福に寄与する判断基準は何か

オチはともかく、合理性が高ければどんなこだわりも即座に捨て去ることができるのは、私のひとつの長所だと思っています。

そんな自分が大切にしている価値観を見出すためには、内省の作業が欠かせません。自分の行動を振り返り、その背景にある理由を考えてみる。その作業を繰り返していると、自分の思考や行動のパターンが見えてきます。

その判断や行動の根拠に、自分の価値観があるわけですが、もうひとりの冷静な自分を発動し、その価値観は自分の幸福に寄与するものかどうか、論理的に検証するのです。

それが心から納得できるものに調整していけば、確固たる自分の判断基準、行動指針ができあがります。そうすれば、自分の人生にとって大切なこととそうでないことを分別できるようになります。

午堂登紀雄(ごどう・ときお)

米国公認会計士。1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』『「いい人」をやめれば、人生はうまくいく』(ともに日本実業出版社)など著書多数。

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