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大学受験で現実に存在する経済格差 「最も恵まれた層」の実態は

マネーポストWEB のロゴ マネーポストWEB 2019/11/10 16:00
受かる・受からないは親の経済力で決まる面も?(イメージ) © SHOGAKUKAN Inc. 提供 受かる・受からないは親の経済力で決まる面も?(イメージ)

 2020年度から始まる予定だった大学入学共通テストでの英語民間試験の導入は、萩生田光一文部科学相の“身の丈発言”が大きな反発を招き、その影響もあってか延期されることになった。日本の教育のトップに立つ文科相の、格差を是認するような発言が問題視されるのは当然だが、現実に目を向ければ、世の中は常に公平ではない。自らを「最も恵まれた受験生だったと思う」と語るYさん(40代・男性)が、その実態を明かしてくれた。

「私は都内の中高一貫の私立校に通いましたが、振り返ると、大学受験に関しては本当に恵まれた環境でした。まず、中学受験で選別された生徒が集まっているため、頭脳レベルが均一。教師は基本的に6年間持ち上がりなので、各教科の教師が生徒一人ひとりの特性を把握しています。

 カリキュラムは、高2終了時点で高校の全課程を終了し、高3は丸々1年受験対策。私は私立文系コースでしたが、高3になると理系科目は一切なく、授業の大半は受験科目の英・国・社でした。

 さらに各教科に受験のスペシャリストのような教師がいて、受験で点数を取るノウハウを熟知しており、テクニックを徹底的に教えてくれます。追い込みの時期になると、学問というよりは“点取りゲームの攻略法”でしたね」(Yさん。以下同)

 受験直前の丸一年、“余計な”科目を学ぶことなく、目標に向かって突き進めるというわけで、受験対策という点に限れば、これほど恵まれた環境はそうはないだろう。またKさんが通った学校は、それ以外の環境にも特筆すべき点があった。

「学校が山の手線内の文教地区にあり、近隣は塾や予備校だらけで、授業を補完する環境も完璧。模試や英検などを受ける際も、会場は近くの大学や予備校なので、気楽に受けることができました。大きな書店も近くにあり、参考書を選ぶ際もよりどりみどりでした」

 しかしYさんが声を大にして語るのは、親の経済力というポイントだ。Yさんが通ったのは、裕福な家庭の子弟が集まることで有名な学校だったが、その実情は想像を超えていた。

「バイトは禁止ですが、その校則を破る生徒はいません。親から結構な小遣いを渡されているので、バイトをする必要がないのです。学校の掲示板には奨学金の案内の紙が貼ってありましたが、見る人は誰もいなかった気がします。学費が年間100万円近くしますから、そもそも奨学金を貰いながら通うような学校ではないのです。

 高2や高3になると、多くの同級生が『英語は渋谷、数学は新宿』といった具合に、科目によって塾を変え、2~3か所の塾に通っていました。評判の良い塾に通うため、通学定期以外に、学校と塾の区間の定期を買っている人もいました。

 友人の中で、経済的な事情が理由で志望校を変えるケースは聞いたことがありません。“下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる”とばかりに、受けたいだけ受けるのが当たり前で、願書を7~8校出すのは序の口。10校以上受験する人もザラでした。第一志望に受からなかったため、とりあえず学費だけ納めて大学には行かない“仮面浪人”も、何人もいました。

 さらに同級生の中には、受験のためにマンションを借りた家もありました。通学時間が1時間半かかるため、これをムダだと考えた親が、都心のど真ん中にある学校のすぐ近所にマンションを借り、母親と1年間そこに住み込んだのです」

 Yさんはすでに高校を卒業して20年以上経っているが、子供を母校に入れた複数の同級生に話を聞くと、事情はほとんど変わっていないそう。文科相は「身の丈に合わせて……」と発言したが、現実問題としてこの格差を是正するのは容易ではないだろう。

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