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消費税10%と老後生活費 長期の資産形成で備え必須

NIKKEI STYLE のロゴ NIKKEI STYLE 2019/10/04 11:00
写真はイメージ=PIXTA © NIKKEI STYLE 写真はイメージ=PIXTA

10月1日から消費税の税率が10%になりました。飲食料品などには軽減税率が適用され、税率は8%のままですが、それ以外の日用品や外食、光熱費などは10%になります。キャッシュレス決済によるポイント還元制度も導入されますが、それでも家計にとっての負担は増えることになるでしょう。年収600万円程度の「2人以上勤労者世帯」で、年4万円程度の負担増といわれています。今回は、消費税10%時代の家計をどのようにやり繰りし、将来に向けて貯蓄を進めていくのか考えてみたいと思います。

■「年金だけで暮らせない」からこそ、早めの対策を

令和に元号が変わってから、「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」(金融庁)、5年に一度出される「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」(厚生労働省)、3年に一度出される「生活保障に関する調査」(生命保険文化センター)など、老後にまつわるお金のデータに触れる機会が多かったように思います。

これらのデータの中でも、金融審報告書の「老後の生活費に必要な金額」は、私たちに「老後資金が2000万円不足する」という状況を突きつけるものになりました。しかも、財政検証で提示された「所得代替率」という、現役世代の手取り収入に対して受給できる公的年金の割合が、将来的に50%になるという話を聞くと、「やはり年金は減るのではないか」という不安を持った人も多かったのではないでしょうか。

正直、年金だけでは暮らせないといわれている今、年金受給額に毎月数万円を補填することが必要な人たちが多いです。その補填額を30年分、35年分用意すると、簡単に2000万円、3000万円という計算になってしまいます。また、年金の財源が足りないといわれている中ですから、年金受給額が増えることは期待できないでしょう。たとえ今を維持できたとしても、経済はゆっくり成長します。お金の価値が低下してしまえば、受給額が同じでもその金額の意味は今よりも少なくなってしまう可能性があるのです。

将来的なことを確実に予言することは不可能です。ですから、ある程度の予測を聞くと、不安な気持ちになってしまうのですが、そういう今だからこそ、対策をきちんと考えるべきだろうと思っています。

私は日々、何件もの家計相談を受けており、スタッフが受けている数も含めると、かなりの数の家計を見ていると自負しています。給料の中でしっかりとやり繰りして貯蓄を増やしている家庭、2人で共働きしているのにそれでも赤字になってしまい、ボーナスで補填している家計。中には、4人家族なのに食費が12万円、13万円とかかる家庭もありますし、教育費に20万円近くかけてしまう家庭もあります。信じがたい支出の仕方だと思われる人もいるかもしれませんが、実際にいらっしゃるのです。そして、自分たちの支出が多すぎるとは思っていないというケースもあります。

■支出に優先度、家計の将来を左右

このように様々な家計状況を見ていると、問題なのは収入という場合もありますが、多くは「支出のコントロールがされていない」ということが、将来の生活に大きく影響するのだろうと思わされます。ですから、一般的にいわれる収入の目安、支出の目安を知ることも大切ですが、将来のお金について考えるときには、「自分の場合は」と置き換えて考えることが一番大切です。

そして、生活に必要な最低限のお金だけではなく、家族旅行など、年間にかかるイベント費、介護医療費なども考慮する必要があります。準備すべきお金がたくさんある中、私たちが今すぐにできることは、ギリギリまで節約して将来にお金を回すことではなく、「今を楽しみながら将来にお金を送る」ことです。

それができるようになるには、まずは自分が何にいくら支払っているのかを把握し、優先したい支出、そうではない支出をきちんと見極めていくことが大切です。生きるための支出も大切ですが、自己の成長を促す自己投資は将来の収入増につながる可能性がありますし、趣味も人間の成長を促すことにつながるかもしれません。

とても大切な支出は継続的に、頻度が少なくてよい支出は数カ月に一度、あまり必要ないと思えた支出は思い切ってカットするなどとコントロールするのです。そうすると、毎月安定した貯蓄額を作りやすくなります。そのようにして支出を徐々に小さくしていければ、将来的に収入が少なくなるような変化の時期が来ても対応がしやすくなります。

このように支出について準備を整えていても、やはり“将来”を迎えたとき、収入が少なくて暮らしが大変だという状況も起こる可能性があります。そういう場合は、さらに支出の削減を検討しつつも、収入を増やすことも視野に入れます。例えば、毎月3万円の節約が必要な場合、1万円分の節約を頑張り、2万円は稼ぐという方法で達成することもできます。バリバリと働くというよりも、必要なだけ稼ぐという考え方でもよいのです。

■運用は「長期・積み立て・分散」が原則

今からできることのもう一つとして、「使わないお金を運用する」ことがあります。将来への資産づくりです。最近は少しずつ投資に関心がもたれるようになったと思いますが、行動に移し始めているのはそのうちの一部です。今までいわれてきたような、「長期・積み立て・分散」の原則を用い、市場に連動した動きを目指すインデックス型の投資信託でコツコツと積み立てていけば、15年後、20年後には、複利の力で預貯金だけではつくることができない、大きな資産をつくり上げることができる可能性が高まります。そうやって老後資金を準備することも一つです。

運用を始めるには、生活を守ることができるだけのお金を持っていることが条件ですが、先にお伝えしたように家計の見直しをし、安定した貯金が毎月できるのなら、その一部を投資に回して「長期」という時間を味方につけた投資をすることもよいでしょう。

老後に必要なお金というと、多額が必要であることが予想されるために不安になりがちですが、私たちが「家計」というレベルでできる自衛もまだあります。悲観せず、今できることに取り組んで、将来に向かって進んでいきましょう。

(「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です)

横山光昭

© NIKKEI STYLE (株)マイエフピー代表、mirai talk株式会社取締役共同代表。顧客が「現在も未来も豊かな生活を送ることができる」ことを一番の目標に、独自の家計再生・貯金プログラムを用いた個別の指導で、これまで1万件以上の赤字家計を再生。著書は累計100万部を超える『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ、累計65万部の『はじめての人のための3000円投資生活』シリーズがあり、著作合計88冊、累計270万部となる。講演も多数。

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