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相続で困らないために覚えておくべき3つのポイント

ZUU Online のロゴ ZUU Online 2020/03/15 20:30
相続で困らないために覚えておくべき3つのポイント(画像=THE21オンライン) © 相続,野谷邦宏,花方亜衣 相続で困らないために覚えておくべき3つのポイント(画像=THE21オンライン)

■生前の備えと知識でもめない相続を実現

大切な人の死後、直後に考えなければならない相続。実際にはどんな流れで進むのか。また、日頃から備えておけることはあるのか。いざというときのために知っておくべき相続の基礎知識について、相続に関する相談に乗る司法書士の野谷邦宏氏、行政書士の花方亜衣氏にうかがった。(取材・構成=内埜さくら)

■相続の手続きの期限は意外と短い!

大切なご家族をなくした後に直面する、相続。遺されたご遺族にとっては、ただでさえ悲しみの中にあり、葬儀などで慌ただしい日々の中、すぐには考えられない、と思われるかもしれません。

しかし、相続に関する手続きには期限があり、大変な状況であってもなるべく早くスムーズに進める必要があります。たとえば相続放棄を検討しているのであれば、3カ月以内に結論を出さなければいけません。相続するのであれば相続税が発生するかを確認し、納税する必要があれば10カ月以内に申告と納税の手続きをする必要があります。

いざというときに慌てないためには、故人の準備も重要ですが、相続人となる人が事前に知識をつけておくことも必要になります。

■相続人が必ず行なう三つのステップ

まずは大まかな流れを把握しておきましょう。相続人となったら、次の三つのことを必ず3カ月以内に行ないましょう。

1 遺言書を確認する

確認方法は現状、2種類あります。まずは自宅を探す。次に公証役場で公正遺言証書を確認。2020年7月からは法務局が、「遺言書保管法」という、自筆証書遺言を預かる新制度をスタートさせます。

近年ではエンディングノートを書く方も増えていますが、法的効力を持たないため、遺産相続の手続きのためには必ず遺言書を確認してください。

2 相続人を確認する

遺産相続を行なうためには、相続人全員で協力して進める必要があります。そのため、誰が相続人に当たるのかを確認しなければなりません。 それには、出生から死亡まで、故人のすべての戸籍謄本を収集する必要があります。死亡時と出生地の戸籍が別というケースは珍しくありませんし、出生地を特定できても、本籍地の履歴がわからないというご遺族のご相談も頻繁に受けています。「以前の本籍地が遠方で現地に赴く時間が確保できない」などというケースもあります。

このような煩雑さをともなう、故人の戸籍謄本収集。専門の業者に依頼をするか、「法定相続情報証明制度」を利用するのも一つの手段です。2017年に開始されたこの制度を利用すると、故人と相続人の戸籍謄本の内容を1枚にまとめた、「法定相続情報一覧図の写し」が発行され、1枚で戸籍謄本一式の代わりにすることができます。無料で発行してもらえるため、費用の負担も軽減されます。一式を求められた場合は、「写し」が利用可能かを確認しましょう。

3 相続財産の把握と遺産整理

相続財産の把握で大変なのは、「何がどこにどれだけあるのかわからない」ということです。

まず、相続財産の資料になりそうなものを、自宅から探してみましょう。故人が大切なものを保管していた棚やタンス、神棚、仏壇、金庫などから探します。銀行の貸し金庫を契約していたかどうかも確認を。 重要な資料となるのが、通帳と郵便物です。通帳は預貯金の残高やお金の流れを見ることができます。郵便物は納税証明書や生命保険の契約、証券会社や金融機関との取引の有無を知る手がかりになります。過去1年間分程度を見てください。

ひと通り探したら、以下の関係各所に問い合わせ後、分類して目録化し、可視化しておくと整理が楽になります。

・預貯金→銀行

・不動産→法務局

・株式など→証券会社

・生命保険→保険会社

・自動車→陸運局

・借金→金融機関

他に、近年急増しているのが「デジタル遺品」、すなわちネット銀行や証券の口座等です。 ほぼインターネット上で取引が完結するため、遺族が口座の存在を知らないまま、デジタル機器内に埋没する可能性があります。こういった事態を回避するためには、生前に家族内で口座の存在やパスワードを共有しておくことが重要です。

ただし、パスワードを記載した遺言書には封をする、貸し金庫で保管するなど、情報が流出しないよう十分に注意しましょう。2020年7月から開始する法務局の遺言書保管制度を利用することも有効です。

借金や未払いの税金などは、相続人にとってマイナスになる財産です。場合によっては相続放棄が必要な場合があるため、早急に信用情報機関に情報請求するとスムーズです。

■こんなとき、どうする!? よくある相続トラブル4

日々相続の相談に乗っている野谷氏、花方氏によれば、相続のトラブルは資産家に限った話ではなく、一般的な家族でも訴訟に発展するケースは多いという。よくある事例と対処法について紹介する。

【Case1】相続人間の不和

「子供の頃、兄貴のほうが可愛がられていた!」

故人の遺産を長男と次男の2人が相続することに。手続きには相続人全員の戸籍謄本、実印と印鑑証明書が必要だが、弟が提出を拒否。幼少期に「兄のほうが親から可愛がられていた」と、積年の恨みが理由だ。非協力者が一人でもいると手続きが進められない。もちろん弟は相続放棄の手続きも取らなかったため、膠着状態に。現在、二人は音信不通で、故人の遺産は10年以上も放置されたままだ。

【野谷氏・花方氏からのアドバイス】

子供の頃の恨みを持ち出すというのはよくあるケース。生前の対策として、コミュニケーションを取り、元気なうちから話し合っておくことが必須です。また、相続人の側も、「遺産は故人が遺族全員の幸せを願い遺してくれたもの」と認識することが何より大切です。

【Case2】相続人の配偶者の横やり

「もらえるものはもらっておかなきゃ!」

長男、次男、長女の3人が亡父の遺産を相続することになったが、思いのほか高額であることが発覚。相続人間の仲は円滑だが、大金が舞い込むとわかった相続人の配偶者が欲を出し、少しでも多く遺産を手に入れようと横やりを入れ出した。親族会では各々が自分勝手な言い分を述べて大荒れに。配偶者自身は民法で定められた法定相続人ではないが、相続人たちが配偶者の意見を無下にできない様子。

【野谷氏・花方氏からのアドバイス】

例のように多額の遺産でなかったとしても、配偶者の介入によってまとまらなくなるケースは非常に多くあります。ベストな対策は、故人が生前から遺言書で資産分けの方法と主旨を書き記し、エンディングプランを明確に相続人へと伝えておくことです。

【Case3】遺産分配の問題(遺言・特別受益・寄与分など)

「姉さんばっかり、頭金出してもらって……」

ある男性は4子中、長女にのみマンションの頭金を出したため、他の子供たちから「特別受益」(相続人が被相続人から生前贈与などの特別な利益を受けていること)を責められないか不安。また現在は長男の妻に介護を受けているため、「特別寄与料」(被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供などにより、健康維持などに特別の寄与をした場合)として遺産を渡すかも検討中。

【野谷氏・花方氏からのアドバイス】

遺言書に遺産の分配とその理由について残すのが基本。委託者が自分自身の財産を信頼できる受託者に信託できる、「家族信託契約書」も併せて作成を。特別寄与者については「介護のために仕事をセーブし、本来もらえるはずの賃金を減らしてまで貢献した」などの場合は認められやすいです。

【Case4】「二次相続」を考えずに進めてしまう

「こんなに相続税がかかるなんて……」

父親が急逝。父は相続税税節税を第一に考えて、最も相続税がかからない相続人である母親にすべて遺産を相続してもらうよう遺言書を作成していた。2年後に母親も他界。母親自身にもかなりの貯蓄があり、父親の遺産も含めた母親の遺産相続(=二次相続)では子供たちが膨れ上がった相続税を負担することに。しかも、父親と母親は異なる観点で遺言書を作成していたため、きょうだい間で受取額に対する意見の相違が勃発。

【野谷氏・花方氏からのアドバイス】

故人の配偶者は老後の生活保障などの観点から、税額の軽減措置を受けられるようになっていますが、それに便乗してしまうとこのケースのような事例も。親の相続を考える際は、二次相続を考慮してトータルの金額を意識しましょう。生前のコミュニケーションはこのケースでも重要です。

『THE21』2020年1月号より

野谷邦宏(のや・くにひろ)

(一社)しあわせほうむネットワーク代表

1973年、神奈川県生まれ。司法書士、行政書士、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続士、遺品整理士。司法書士法人リーガルサービス代表、(一社)しあわせほうむネットワーク所属。自由が丘での資産管理会社勤務の経験を経て、2000年より司法書士・1級ファイナンシャルプランニング技能士として活動。著書に、『まるわかり!もしもの時の手続き・相続 完全ガイド』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

花方亜衣(はながた・あい)

行政書士

神奈川県横浜市生まれ。行政書士、ファイナンシャルプランナー。2016年より行政書士として活動。行政書士リーガルサービス、(一社)しあわせほうむネットワーク所属。民事法務専門行政書士として、遺言、家族信託、相続手続き、死後事務委任契約、遺産整理、生前整理等、市民に根ざした法務サービスを行なう。(『THE21オンライン』2020年01月14日 公開)

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