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自由に休ませもせず、国の号令一下で月曜半休を推奨する「シャイニングマンデー」は、頭の悪い全体主義である

HARBOR BUSINESS Online のロゴ HARBOR BUSINESS Online 2018/08/02 10:22

 “毎月最終金曜日は「プレミアムフライデー」ということで、みんなで早く退社して、お金をたくさん使いましょう。”

 そんな計画が発表された時、多くの人が「何言ってんだ、コイツ?」と思ったに違いありません。

 給料日後の金曜日の夜に早く仕事を終わらせれば、遊びに行ったり、飲みに行ったりして、もっとお金を使ってくれるはずだと言い出し、強引に「プレミアムフライデー」を流行らせようとしたのですが、多くの企業にとって月末の金曜日は一番忙しい時期なので、「早く仕事を終わらせて飲みに行きましょう!」とか言い出したら、「空気読めよ、バカ!」と、とんでもなく冷たい目で見られるだけ。結果、「プレミアムフライデー」に早く退社できる会社はほとんどなく、公文書改竄がウリの経済産業省が発表しているアンケート結果でさえ、実行しているのは1割という結果に終わったのです。

 このままでは国民が消費してくれない。「プレミアムフライデー」は流行らないということがわかったので、経団連に要請を受け、経済産業省が考えたのは「シャイニングマンデー」でした。日曜の夜までたっぷり遊んでもらい、月曜日を午前半休にする。それが「シャイニングマンデー」です。この人たちはどこまで愚かなのでしょうか。なぜ「プレミアムフライデー」が失敗したのかを分かっていないのでしょうか。

◆誰も求めていない「シャイニングマンデー」

 日曜日をたっぷり遊んで、月曜日を午前半休にする。こんなのはわざわざ日にちを決められて、「はい、この日の午前中を休んでください」と言われる筋合いはありません。

 そもそも有給を消化することさえ困難なのに、休みたい時に休ませてもらえず、みんなで一斉に「シャイニングマンデー」と言いながら、べつに休みたいわけでもない月曜日の午前中に休まされても、仕事の効率が落ちるというものです。

 多くのサラリーマンが月曜の朝に気合いを入れるルーティンをしています。どんなに暑くても、どんなに寒くても、どんなに疲れていても、どんなに面倒臭くても、月曜の朝から気合いを入れて仕事をするため、みんな、心の照準を合わせ、ちゃんと仕事をしようとしているのです。

 それをある月曜だけ強制的に「午前中は休め」と言われるのですから、これでは調子が狂うばかり。金曜の午後に早く帰れるなら楽しいですが、1か月に1回だけ月曜の朝が遅いと言われて消費行動がどれだけ拡大するでしょうか。

 いつもより日曜を長く楽しもうという人はそれほど多くなく、月曜の朝を少し遅くまで寝ているだけではないでしょうか。こんなことすら想像できず、自信満々に「シャイニングマンデー」とか言っている奴は、きっと月末の金曜日を「プレミアムフライデー」と言っていた人と同一人物でしょう。何もわかっちゃいません。アホです。

◆どうすればみんなが喜ぶ「プレミアムフライデ-」になるか

 今はまだ「シャイニングマンデー」を「検討中」という段階なので、正式に始まると決まったわけではありませんが、そもそもこういうものは誰もが嬉しいと思わなければ流行りません。

 もともと「プレミアムフライデー」は、全国のサラリーマンに消費してもらうことが目的で、お手本になっているのはアメリカの「ブラックフライデー」です。

 アメリカには1年に1回、11月23日の「サンクスギビングデー」の後の最初の金曜日からクリスマスまでのバーゲンセールに消費が集中します。各店舗がバーゲンをして、1年の売上のうち半分くらいが「ブラックフライデー」から始まる約1か月ほどに集中するのです。

 これを日本版としてアレンジし、人々の消費を煽ろうとしたのが「プレミアムフライデー」なのですが、そもそも仕事が終わらないのに消費している場合ではなく、お金を使ってもらうのはあまりに非現実的でした。では、どうしたら「プレミアムフライデー」は成功したのでしょうか。みんなが喜びそうなことを考えてみました。

1)毎月第3水曜日の「ヒーリングウェンズデー」

 なんだか得した気持ちになる水曜日の祝日。月の真ん中である毎週第3水曜日を「ヒーリングウェンズデー」と称し、この日は自宅作業を認め、みんなで温泉に行ったり、カラオケに行ったり、エステに行ったり、癒やしのためにお金を使う一日にします。もちろん、何もしないで家でゴロゴロしていてもOK。今の時代、家でゴロゴロしていても、結局、ネット通販でポチッとしてしまうと思います。

2)毎月第2金曜日の「プレミアムフライデー」

 それまでの「プレミアムフライデー」が最終金曜日だったのは、給料日後だからお金を使ってくれるに違いないという発想です。だけど、給料日後だからってアホみたいにお金を使う奴は人生が破綻しているので、誰もが1か月を給料の範囲内で過ごせるように考えているはずです。給料日後にこだわらなくても、毎月第2金曜日なら、まだそれなりにお金が残っているし、飲みに行くぐらいのことはできるのではないでしょうか。会社に気兼ねなく飲みに行ける金曜日を「プレミアムフライデー」として再設定する計画です。

3)毎日が日曜日の「エブリデーサンデー」

 会社なんかに勤めているから「プレミアムフライデー」だの「シャイニングマンデー」だの、くだらないものに巻き込まれて「お金を使え」と言われるので、どうせ大した給料をもらえないのなら、いっそのこと会社を辞めて自分のやりたいことをする「エブリデーサンデー」。人生の夏休みとも言いますが、誰かが決めたアホみたいなルールに従って生きるぐらいなら、自分のやりたいスケジュールで生きていく方がずっといいかもしれません。

◆この国の労働者の社畜化は加速する傾向にある

 今、日本は着実に「社畜化」が進んでいます。

 先日、新たにリリースされた2つのサービスは、経営者からすれば画期的なのかもしれませんが、労働者のわずかな息抜きさえ認めないギャグの世界です。

 一つは、労働者が眠そうな顔をした瞬間、それをAIが判断して、眠らないようにエアコンの温度を低くするというサービスです。効率を重視して仮眠室を備えた会社が注目される中、「寒くて眠れない」という環境を作り出すことによって、半ば強制的に社員を働かせようというサービスが誕生しました。

 もう一つは、社員のパソコンを常時監視し、仕事と関係ないページを見ている時には上司に報告するサービスです。昨日は元AKB48の前田敦子さんが結婚したというニュースを聞き、思わず原稿を書くのを止めてニュースをチェックしてしまいましたが、そんなこともすべて上司に報告され、「ニュースを見ている暇があったら仕事をしろ!」と怒られることになるのです。

 わずかな睡眠、わずかな休憩も認めず、朝から晩まで息もつかせずに働かせる。そして、決められた日に「シャイニングマンデー」などと言って、「この日は午前半休だけど、それ以外の日は遅刻とみなす」と言われるのです。この世のブラック労働をナメてはいけません。やはり、最強なのは「エブリデーサンデー」なのです。

◆国の号令でみんなで同じ日に午前半休を取るという全体主義

 昨今の若者がテレビを見なくなったように、これからは徐々に「会社」の形が変わってくると考えています。

 スマホやノートパソコンさえあれば、物理的にはどこでも仕事をできるので、わざわざ会社に行ったり、わざわざ無駄な社内資料を作ったりする必要がなくなってきます。

 よく考えてみれば「通勤時間」は無駄です。

 自宅で作業ができるのなら、会社が支払う「交通費」も無駄ですし、何よりも「通勤している時間」が無駄であり、この時間は会社のために拘束されている時間にもかかわらず、労働時間としてはカウントされず、だいたいの人がスマホのゲームをして過ごしています。ゲームをしている時間に生産性はなく、わずかな「楽しさ」は得られますが、人生を無駄に浪費していると言っても過言ではありません。

 文明は常に進化していますので、世界の大きな流れで言えば「会社」が「同じオフィスで仕事をするもの」ではなくなり、必要な時にしか行かないものになると思います。ある時は海でBBQをしながら、ある時は温泉の低温サウナの中から、ある時は海外旅行に行く飛行機の中から、スマホやタブレットPCを使って資料のやり取りをするだけで給料がもらえる、自由な働き方をする人が増えると思います。

 ただ、世界がどんどん会社の形を変えて生産性を向上させる中、日本の企業が世界標準となった新しいビジネススタイルに対応できるかと言うと、まったく対応できず、いつまでも同じように会社に集まり、生産性の低いビジネススタイルを貫いていると思います。

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 その最たる例が「シャイニングマンデー」であり、みんなで同じ日に午前半休を取るという効率の悪い全体主義です。社畜となった人たちに「もっとカネを使え!」と言うのですが、たかだか月に一度の午前半休ごときでカネを使うメンタルになると思っているところが、強烈に頭が悪いです。

 これを経団連やら経済産業省やらが思っている時点で、壮大な勘違いです。そんなことなら社員に無条件に1万円でも配ったほうがよっぽどカネを使います。要するに、政治家も官僚も労働者を「生産性」でしか考えてなく、「人間」として考え、扱っていないから、この国の経済が回らないのです。

<取材・文/選挙ウォッチャーちだい(Twitter ID:@chidaisan)>

ちだい●選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材活動を行う。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどをTwitterやnote「チダイズム」を中心に公開中。立候補する方、当選させたい議員がいる方は、すべてのレポートが必見。

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