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「嫌いな上司」とうまく付き合うための処方箋 勝負型、注目型…タイプ見極め苦手意識克服

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/10/29 12:40 杉山 直隆
「直属の上司と相性が合わない」場合に接する方法とは(撮影:トモヤ/PIXTA) © 東洋経済オンライン 「直属の上司と相性が合わない」場合に接する方法とは(撮影:トモヤ/PIXTA)

 「初めて配属された部署の上司がイヤな感じ。もう辞めたいよ」――。

 読者の中には、上司に対してネガティブな感情を抱いている若手社員がいるかもしれない。しかし“ツイていない”と嘆くのはまだ早い。上司がイヤな人だと感じるのは、単に「ソーシャルスタイル」の違いだけかもしれないからだ。

 「それを知ると、苦手意識がスッキリ消えるかもしれませんよ」。

 そう話すのは、『面倒な“やりとり”がシンプルになる仕事のコツ48』『この世から苦手な人がいなくなる』などの著書を持つ、らしさラボ代表の伊庭正康氏だ。

 ソーシャルスタイルとは、アメリカの産業心理学者であるディビット・メリル氏が提唱した、人間のコミュニケーションのスタイルのこと。

 「感情」と「自己主張」の大小を軸に、次の4つのタイプに分けられるという。

ソーシャルスタイルで見ると、人間は4タイプ

 下記のように分けられるので、自分がどのタイプに当てはまるかどうか考えてみてほしい。

1. 勝負重視型(ドライバー)
あまり感情を表に出さないが、自己主張が強いタイプ。「勝つこと」を重要視し、合理的に目的を達成することに重きを置く。せっかちな人が多い。

2.注目重視型(エクスプレッシブ)
感情表現が豊かで、かつ自己主張も強いタイプ。勝つことも重要だが、それよりも「注目されたい」という気持ちが強い。話すときも、ボディランゲージやエピソード・比喩を用いて、感情をこめて話す人が多い。

3.気持ち重視型(エミアブル)
感情が前面に出るが、自己主張はしないタイプ。勝負重視型と正反対で、勝ち負けよりも、周囲の人たちの気持ちを重視する人が多い。

4.理論重視型(アナリティカル)
あまり感情を表に出さず、自己主張もしないタイプ。勝ち負けよりも「正しさ」を重視。物事を分析的にとらえ、データや理論、前例などの理屈に重きを置く人が多い。

 頭に入れておきたいのは、自分と異なるタイプの人には違和感を覚えるということ。特に、勝負重視型と注目重視型、気持ち重視型と理論重視型は、大切にしている価値観が真逆。そのため、「苦手」と感じることが多い。

 「若手社員の場合は、気持ち重視型の新入社員が、勝負重視型の上司の発言が理解できず、怖がることが多いですね」(伊庭氏)。

 しかし、上司がどのタイプなのかを理解していれば、なぜそんな発言をするのかがわかり、無用な苦手意識も消えていくという。

 たとえば、新入社員が、上司に苦手意識を持つきっかけとして、よくありがちなのが、報連相(報告・連絡・相談)をしたときに、「で、何?」「何がいいたいの?」と上司につっこまれ、しどろもどろになることだ。特に、勝負重視型の上司は、そうやって部下を急かす傾向がある。

 「そう言われると、何か自分が無能だと責められているようで、落ち込むかもしれませんが、若手社員が仕事のスピード感に慣れないのは仕方ないこと。加えて、勝負重視型上司はせっかちなので、ある程度、言われるのは致し方ありません。そこまで落ち込む必要はありません」(伊庭氏)。

「で、何が言いたいの?」に落ち込む必要はない

 もちろん、部下も改善の余地はある。意識すべきなのは、結論から先に言うこと。そして「PREP法」で説明していくのが有効だという。

 PREP法は、簡潔にわかりやすく伝えるための順序で、「Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論を繰り返す)」で構成される。たとえば、

P=ほぼ契約が決まりかけていたA社に「白紙に戻したい」と言われてしまいました。
R=担当者は乗り気だったのですが、社長が急に難色を示し始めたそうです。
E=具体的には、競合他社と比べてランニングコストが高いとのことでした。
P=以上の理由で、白紙に戻したいそうなのですが、どうすれば良いでしょうか。

というように用いる。ただ、わかっていても、上司を前にすると、結論を先に言うのが怖くて、具体例から話してしまう人は多い。

 「特に、気持ち重視型の部下は、できるだけその場を穏やかにしたいと考えて、結論を後回しにしがちです。そういう人は、報告する前にPREPを紙に書く、または普段から雑談などでPREPの順で話す練習をしておきましょう」(伊庭氏)。

 また、勝負重視型の上司にありがちなのは、「あれ、やっておけよ」「いいから、とっととやれ」「つべこべいわずにやれ」などと、命令口調を使うことだ。

 上下関係があるとはいえ、こう言われて、ムッとする若手社員は少なくないだろう。特に気持ち重視型の人は、感情を大事にするので、「なんでこんな人に従わないといけないのか」と思いがちだ。

 しかし、意外なことに、こうして命令口調を使う上司は、その部下のことを大事に思っていることが多いという。伊庭氏は「『見込みがあるから、サポートしてやろう』『他のやつにはいちいち言わないぞ』と思っていたりするのです。つまり、味方である可能性が高い。だから、口調だけで、この上司を嫌いになるのはもったいないことです」と分析する。

 また、勝負重視型の上司は、ストレートな言い方で、ダメ出しをしてくる傾向もある。これを聞いて、気持ち重視型の部下は、「嫌われているのか?」と思いがちだが、上司は特に部下に怒りなどの感情はなく、冷静に注意していることがほとんどだという。「要は、勝負重視型の上司は、仕事をきっちりしたいだけ。仕事に感情を持ち込まないのです。だから、裏を返せば、このタイプの上司には、必要以上に好かれようとすることはない。きちんと仕事をすれば、認めてくれます」(伊庭氏)。

武勇伝には「3つのあいづち」が有効

 一方、注目重視型の上司に部下が振り回されるケースは多い。

 このタイプの上司の特徴は、仕事の相談をすると、いろんなアドバイスをしてくれるが、実は、単なる思いつきや実現不可能なものも少なくない。しかし、「上司のアドバイスだから」と理論重視型や気持ち重視型の部下が真摯に受け止め、混乱してしまうことが多いのだ。だから、注目重視型の上司の下についたら、「スルーすること」を覚えたほうがいいという。

 上司自身も言ったことを忘れていたりするので、すべてのアドバイスを生真面目に受け止める必要はない。もし「あのアドバイス、実践したか?」などと聞かれたら、「実は、どうしていいか、悩んでおりまして……」と相談モードに持ち込むといいだろう。

 もう1つ、注目重視型の上司に多いのが、「武勇伝を語ること」。最初は耐えられても、だんだんうんざりしてくるかもしれない。ただ、上司との関係を良好に保ちたいなら、ぐっとこらえて、気持ちよく話してもらうようにしたい。そこで、伊庭氏がすすめるのは、「3つのあいづち」。具体的には、「相手の言葉を反復する」「感情に同意する」「間をあける」の3つだ。

 たとえば、「俺が若いときは、毎朝7時に営業先に行き、役員を待ち伏せして、仕事をとった」という武勇伝があったとしたら、「へえ! 7時ですか」と相手の言葉を反復。「朝早いから、しんどいんだよ」などと感情が出てきたら、「朝はしんどいですよね」と感情に同意する。

 さらに「俺はナンバーワンになりたかったから、とにかくやる気で燃えていたんだ!」と何かを強調していたら、「すごいですね……」と言って、しばらく間を空けるといった具合だ。

 「理論型の部下は、『いつの話ですか』『具体的にどうしたんですか?』などと根掘り葉掘り質問しがちですが、注目重視型の上司は、話を盛っていることも多いので、答えに窮して、気分を害することがあります。あいづちだけに止めておくのがいいでしょう」(伊庭氏)。

 このように、上司の思惑がわかると、苦手意識も薄らぐはず。何か嫌なことがあったら、この話をぜひ思い出してみてほしい。

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