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60歳以降に働くと年金額が減る? 誤解の多い「在職老齢年金」の重要なポイントは「生年月日と役職」です。

マネーの達人 のロゴ マネーの達人 2018/12/17 22:00 木村 公司

働くと年金が減るって本当??

定年退職後も働く予定の方が増えているせいか、60歳以降に働くと年金額が減るという話に、関心を持つ方が多いようです。

確かに「在職老齢年金」の仕組みにより、年金額が減る場合があるのですが、誤解が多いような印象があります

例えば、

・ 国民年金の保険料を納付した期間や免除を受けた期間、厚生年金保険に加入した期間などを合算した期間が、原則として10年以上ある場合には、65歳になると国民年金から、「老齢基礎年金」が支給されます。

厚生年金保険に加入した期間が1か月以上ある場合には、この老齢基礎年金に上乗せして、厚生年金保険から「老齢厚生年金」が支給されます

在職老齢年金の仕組みによって年金額が減るのは、このうちの老齢厚生年金だけであり、老齢基礎年金は減りません

その他の誤解として年金額が減るのは、原則として60歳以降に、厚生年金保険に加入した場合です。

ですからパートやアルバイトなどの短時間労働者として働き、厚生年金保険の加入要件を満たさなかった場合には、年金額は減りません。

また定年退職後に小規模の個人事業を始め、自営業者として働く場合や、シルバー人材センターの仕事を請け負う場合も、厚生年金保険の加入要件を満たさないため、年金額は減りません

在職老齢年金の仕組みによる誤解 © IID, INC. 提供 在職老齢年金の仕組みによる誤解

在職老齢年金は65歳を区切りにして、年金額が減る基準が変わる

老齢厚生年金の支給が始まるのは、上記のように65歳からですが、現在は段階的に60歳だった支給開始年齢を、65歳に引き上げしている最中です。

そのため生年月日によっては、厚生年金保険に加入した期間が1年以上あれば、65歳になる前にも老齢厚生年金が支給されています。

また65歳になる前に支給される老齢厚生年金は、「特別支給の老齢厚生年金」と呼ばれております

このように老齢厚生年金は65歳を区切りにして、2種類に分かれているため、在職老齢年金の仕組みにより、年金額が減る基準についても、2種類に分かれています。

例えば60歳から64歳までは、「月給 + 直近1年間の賞与を12で割った額」と「特別支給の老齢厚生年金を12で割った額」の合計額が、28万円を超えると年金額が減ります

それに対して65歳以降については、「月給+直近1年間の賞与を12で割った額」と「老齢厚生年金を12で割った額」の合計額が、46万円を超えると年金額が減ります

この28万円や46万円は、賃金や物価の変更に応じて、定期的に見直しされているため、将来的に変更される可能性があります

ただ過去の金額を見てみると、それほど大きくは変動していないため、「28万円の壁」や「46万円の壁」と表現しても、あながち間違いではないと思います。

60歳から64歳までの在職老齢年金は、「生年月日」で影響が変わる

60歳から64歳までは上記のように、65歳以降よりも基準が低いため、年金額が減ってしまうケースは、多くなりそうな感じがします

しかし特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、次のように段階的に引き上げされているため、60歳から64歳までの間に年金額が減ってしまうケースは、だんだんと少なくなっています。

【厚生年金保険に加入していた男性の支給開始年齢】

・ 1953年4月1日以前の生まれ : 60歳

・ 1953年4月2日~1955年4月1日の生まれ : 61歳

・ 1955年4月2日~1957年4月1日の生まれ : 62歳

・ 1957年4月2日~1959年4月1日の生まれ : 63歳

・ 1959年4月2日~1961年4月1日の生まれ : 64歳

・ 1961年4月2日以降の生まれ : 65歳

【厚生年金保険に加入していた女性の支給開始年齢】

・ 1958年4月1日以前の生まれ : 60歳

・ 1958年4月2日~1960年4月1日の生まれ : 61歳

・ 1960年4月2日~1962年4月1日の生まれ : 62歳

・ 1962年4月2日~1964年4月1日の生まれ : 63歳

・ 1964年4月2日~1966年4月1日の生まれ : 64歳

・ 1966年4月2日以降の生まれ : 65歳

このように女性の支給開始年齢の引き上げは、男性より5年遅れのスケジュールで実施されています

また近年は厚生年金保険の加入対象が拡大されているため、特に正社員で働いた期間が長い女性は、注意する必要があります

65歳以降の在職老齢年金は、「役職」で影響が変わる

平社員で良かった © IID, INC. 提供 平社員で良かった

60歳で定年退職を迎え、その後に再雇用された方の給与水準は、定年前と比較して、50~60%程度になるのが平均的です。

ですから65歳以降に、

「月給 + 直近1年間の賞与を12で割った額」と「老齢厚生年金を12で割った額」の合計額が、46万円を超えるケース

というのは、かなり少ないと思います。

ただ経営者や役員クラスになると、46万円を超える可能性が出てきますので、65歳以降の役職がポイントです

また嘱託社員などとして再雇用された場合の給与の金額は、定年退職する直前の給与や企業規模によって、個人差が出てきますので、職場にある就業規則などを参考にして、一度は試算してみるのが良いと思います。

なお本業では厚生年金保険に加入しているけれども、副業の方では加入要件を満たさないため、厚生年金保険に加入していないケースがあります。

こういったケースでは、

「(本業の)月給+(本業の)直近1年間の賞与を12で割った額」と「老齢厚生年金を12で割った額」の合計額が、46万円を超えるかが基準になり、副業の収入は含めません

60歳から64歳までの在職老齢年金でも、同様の取り扱いですので、年金額を減らしたくない方は、厚生年金保険に加入しない副業を、検討してみるのが良いと思います。

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28万円や46万円といった基準額を超えると、年金額の一部が減っていき、給与の金額によっては、全額が支給停止になる場合があります

これを自分で計算するのは、かなり難易度が高くなりますので、年金事務所や街角の年金相談センターなどで、試算してもらった方が良いです。

ねんきんネット © IID, INC. 提供 ねんきんネット

≪画像元:ねんきんネット[https://www3.idpass-net.nenkin.go.jp/neko/Z06/W_Z0602SCR.do]≫

これらの機関に行く時間がないという方は、給与などの条件を自分で変更すると、それに合わせた試算が自動的に出てくる「ねんきんネット」の登録をオススメします。(執筆者:木村 公司)

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