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徳永えり、話題作に次々出演しながらも30歳直前で迷い。経験したアルバイトが「答えを出してくれた」

テレ朝POST のロゴ テレ朝POST 2022/01/14 19:00
徳永えり、話題作に次々出演しながらも30歳直前で迷い。経験したアルバイトが「答えを出してくれた」 © tv asahi All rights reserved. 徳永えり、話題作に次々出演しながらも30歳直前で迷い。経験したアルバイトが「答えを出してくれた」

数多くの映画賞を受賞した映画『フラガール』(李相日監督)で、気性が荒い父親から理不尽な扱いを受けながらも幼い妹弟の母親代わりを務める健気(けなげ)な木村早苗役を演じ、注目を集めた徳永えりさん。

若手演技派として『ブラッディ・マンデイ』(TBS系)、映画『アキレスと亀』(北野武監督)、舞台『ファントム』など多くの作品に出演することに。

徳永えり、話題作に次々出演しながらも30歳直前で迷い。経験したアルバイトが「答えを出してくれた」 © tv asahi All rights reserved. 徳永えり、話題作に次々出演しながらも30歳直前で迷い。経験したアルバイトが「答えを出してくれた」  

◆映画『春との旅』の撮影が終わったら女優を辞めるつもりだった?

2010年、徳永さんは映画『春との旅』(小林政広監督)に出演。

徳永さんが演じたのは、母親の浮気が原因で両親が離婚して母親は自殺し、仲代達矢さん演じる頑固な祖父・忠男の面倒を見ながら二人で暮らしている孫の春。春が家を出て働きに出たいと言ったことから、人生最後の住まいを求め、忠男は春とともに親戚縁者を訪ねる旅に出ることに…、というストーリー。

徳永さんはこの映画で演技力を高く評価され、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞と日本映画批評家大賞新人女優賞を受賞した。

-いろいろな作品に出演されていますが、『春との旅』がすごく印象的でした-

「撮影時は20歳で、本当にピンとこなかったんですよね。もちろん仲代達矢さんという方がどれだけ素晴らしい方かということはわかっていましたけど、あまりにも天上人くらいの感じで、一生のうちにお会いするとも思っていなかったですし、現実味がなかったです。

でも、実際にお会いしたらすごく柔らかい方ですし、優しくて、本当のおじいちゃんという感じで私に接して下さるんですけど、監督が厳しい方で、撮影中も話してはいけないと言われていたので。

『フラガール』の李(相日)監督とは違う厳しさが小林(政広)監督の中にもあって、それもまた映画作りの醍醐味というか、小林組の作り方に自分がちゃんと入れるかというところが勝負だったので、監督の言うことはすべて聞こうと思って頑張っていました」

-小林監督の中に出来上がっていた人物像に添うように?-

「はい。監督の中で歩き方とか仕草とかすべて出来上がっていたので。今となっては、なかなかそこまで追い込んでくださる監督でしたり、そういった時間とか環境が少なくなっているので、すごくありがたかったなと思います」

-今の時代はそれだけ厳しいと難しいかもしれないですね。でも、ある意味、そういう厳しい状況だったから、スタッフも俳優さんたちも育ってきたということはあると思いますが-

「本当そうですね。時代もありますよね。私たちがそれに耐えられるギリギリの世代なのかも」

-よく耐えましたね。何がなんでも女優でというわけではなかったのに-

「だから『春との旅が終わったら女優を辞めます』って、マネジャーさんに言いました。『私はこの作品が終わったら女優業を辞めますので、それまでは頑張ります』って。

それぐらいやっぱりつらかったです。『この仕事は責任をもって頑張るけど、これで思い残すことはない。私はやり終えたんだ』って思いました」

-仲代さんが相手役ということで緊張しました?-

「まだ監督に『仲代さんと話すな』と命令される前に、『僕たちは年齢も違うしキャリアも違うけど、僕は忠男という役をはじめて演じるし、君は春という役をはじめて演じる。それは一緒なんだ。だから、同じスタートラインだよ』って仲代さんがおっしゃってくださったので、気が楽になりました(笑)。存分にお力をお借りしてというか、甘えさせていただいて頑張ろうって思いました」

-それは気分的にものすごく救われたでしょうね-

「ありがたかったです。当時は20歳そこそこだったので、その意味がすべてはわからなかったんです。でも、今この年齢になって、仲代さんの懐の深さはすごいんだなというのをあらためて感じました」

-劇中の仲代さんとのやりとりもすばらしかったですし、最終的におじいちゃんと一緒に暮らしていこうと決断する春ちゃんの健気さが胸にジーンと来ました-

「そうですね。『私おじいちゃんと一緒に生きていく』って言うお蕎麦屋さんのところだけは、監督が私にゆだねてくれたシーンです。それまではカメラもフィルムだったので、なかなか回してもらえないし、リハーサルを何回も重ねてやったんです。

だけど、あのシーンは、仲代さんのセリフの後、間があって、私が『やっぱり私はおじいちゃんと生きていく』という流れが結構長いシーンなんですけど、『その間は君にまかせる』と監督がおっしゃってくださったんです。

あの作品はありがたいことに順撮りだったので、クライマックスにちゃんと気持ちも持っていけていたし、『やっと信頼してもらえた』って、そのときに思った記憶があります」

-あのお蕎麦屋さんのシーンは本当に良かったです-

「自分で言うのもなんですけど、良いシーンですよね(笑)」

-春ちゃんの「結婚相手もおじいちゃんと一緒に暮らしてくれる人じゃなかったら結婚しない」というセリフも健気で-

「そうです。セリフまで覚えていてくださってありがとうございます」

-なんて良い子なんだろうって思いました。香川照之さん演じるお父さんとのシーンも印象的でしたし-

「私はあのシーンはすごく悔しいんです。テストの方が良かったんですよ、本当は。本当は私と香川さんのカットバックの撮影で終わりだったんですけど、私がそのときにうまくいかなかったんです。

それを見て監督が、『もう一個引きの画を撮るから、そこで思いっきり行け』って追加してくださったので、『私はここで出し切らないといけない』と思って、思いっきりいったら、カットがかかった瞬間、過呼吸になってぶっ倒れてしまって(笑)。

うまくいかなかったというので焦りもありましたし、香川さんを目の前にしてというのもあったので、何かいろんな思い出がありますね、あの作品は」

-徳永さんが過呼吸になったとき皆さんは?-

「香川さんは『大丈夫?』って心配してくれたんですけど、監督は何ごともなかったように、『はい、次のシーンいきます』みたいな感じでした(笑)。

スタッフもみんな私に優しくするなと言われていたので、普通にシラーッとしていましたけど。ずっとサポートしてくれている衣装部さんやメイクさんは、さすがにやばいと思って介抱してくれていました。私もそこまでまだコントロールがうまくできない状態でもあったので、良い経験でしたね(笑)」

-個人的に賞も受賞され、世間的にも認められる作品になりましたね-

「本当にありがたいです。この映画に出会うことができて良かったと本当に思います」

-それでも女優としてやっていこうという気にはならなかったのですか-

「ぜんぜん思わなかったです。辞めようと思っていました。賞は本当にその作品に対してのご褒美(ほうび)なので、もうちょっと続けていてもいいのかなという気持ちにはなりましたけど、ずっと悩んでいました」

徳永えり、話題作に次々出演しながらも30歳直前で迷い。経験したアルバイトが「答えを出してくれた」 © tv asahi All rights reserved. 徳永えり、話題作に次々出演しながらも30歳直前で迷い。経験したアルバイトが「答えを出してくれた」  

◆30歳直前にカフェのアルバイトを経験して

『春との旅』で若手実力派として高く評価された徳永さんは、連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(NHK)、映画『ハナミズキ』(土井裕泰監督)、映画『はさみ hasami』(光石冨士朗監督)など次々と話題作に出演することに。

「ありがたいことにお仕事はいただいていましたけど、自分がうまく返せているとは思っていなかったんです。20代後半ぐらいは『うまくいかないなあ』ということの方が多かったので、苦しかったです」

-それでアルバイトをされることに?-

「はい。ちょうど30歳手前で、私の人生をこれからどうしていこうかと考えていた時期だったので、一回ちょっと違うことをしてみようと思ってアルバイトをやらせてもらいました。

そのときに朝ドラの『わろてんか』(NHK)に出演することは決まっていたので、それは長期になるし、責任も伴うから、ちょっと一回自分の中で整理してという思いもあったので」

-よく事務所も許してくれましたね-

「ぜんぜん大丈夫でした。『どうぞ』という感じで(笑)。知り合いにちょうどカフェをやっている方がいて、スケジュールの融通も利いたのでやらせていただくことに。小さいお店で本当に一人でも回せるくらいだったので、楽しかったです。

週に半分くらい、朝5時とか6時に起きて、7時ぐらいにお店に行って仕込んで、ホカッチャを焼いて、カレーを作ったりして」

-何人ぐらい入るお店だったのですか-

「カウンターでマックス8人かな。でも、そんなに埋まることがなくて、やっぱりテイクアウトが多かったです。ひっきりなしにお客さんが来るというお店でもなかったので、のんびりボーッとしながらやっていました」

-アルバイトの経験はあったのですか?-

「ありました。東京に出てきてからもありますし、大阪時代もずっとやっていました。大阪時代はケンタッキーフライドチキン。接客業が好きなので、東京に来てからもパン屋さんとか、全部飲食関係です」

-ご自分で作ったお料理をお客さんに食べてもらうというのはいかがでした?-

「うれしかったです。別にキッチンじゃなくても、人と接する仕事がしたいと思っていたんですけど、自分が作ったご飯を目の前で食べてくれて『とてもおいしいです』と言ってくださるのを聞いてすごくうれしかったです」

-カフェでのアルバイトはどのくらいの期間でした?-

「半年あるかないかくらいだったと思います」

-アルバイトを経験してご自身の意識に変化は?-

「ありました。女優という仕事は求められて成り立っていますけど、もし自分が求められなくなったとしても、自分はどう生きていくんだろうとか、何ができるだろうと思ったのに答えを出してくれたのがアルバイトでした。

私は女優じゃなくても生きる道がちゃんとある、だからこそ、今芝居の世界で求めていただけているなら、もうちょっと頑張ろうと思いました」

アルバイトを経験して気持ちを新たにした徳永さんは、『わろてんか』の撮影で濱田岳さんと絶妙なコンビネーションを発揮することに。

次回後編では『わろてんか』の撮影エピソード、1月14日(金)に公開される映画『ポプラン』(上田慎一郎監督)の撮影裏話も紹介。(津島令子)

スタイリスト:道端亜未

ヘアメイク:尾曲いずみ

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