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サブウェイ、バーガーキングに続く「大量閉店」危惧チェーン店はどこか

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2019/06/03 06:00 沼澤典史
ランチなど特定の時間帯に勝負をかけるチェーンや、「高くもなく安くもない」中間価格帯のチェーンは非常に厳しい戦いを強いられている Photo:DOL © Diamond, Inc 提供 ランチなど特定の時間帯に勝負をかけるチェーンや、「高くもなく安くもない」中間価格帯のチェーンは非常に厳しい戦いを強いられている Photo:DOL

今年1月に、サンドイッチチェーン店サブウェイのフランチャイズ店を運営する、エージー・コーポレーションの倒産が報じられた。さらに過去4年半にわたり約200店舗を閉鎖していることが判明。また5月17日にはバーガーキングの大量閉店も明らかになり、多くのチェーン店の存続危機がささやかれるようになった。そこで、そのほかのチェーン店や外食産業の展望について、飲食業界の動向に詳しい経済評論家の平野和之氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)

サブウェイと戦略がソックリ

モスバーガーも苦境に

 2019年が始まってすぐに判明した大手チェーン店サブウェイと、先日のバーガーキングの大規模閉店の報には、誰もが驚いたことだろう。盤石かと思われた有名店が、苦渋の決断をした理由はなんだったのか。平野氏は次のように話す。

「サブウェイは、ランチにフォーカスしてきました。競合と比較し、プチプレミアムな価格帯にもかかわらず、女性目線で見ると店舗の高級感が乏しく、男性は満腹感を味わえないといったところが敗因でしょう。トッピングの楽しさも、ランチはビジネスマン・OLの時間との戦いに文化として定着しなかったなど、結果として集客の幅やリピーターの幅を狭めています。なによりランチメインという特定の時間帯の集客モデルでは、過当競争時代にはさらに厳しくなります」

 一方、先日明らかになったバーガーキングの大量閉店。9都府県の22店舗が対象だというが、年内には新たに内装をアメリカンにした20店舗を出店予定だと発表されている。規模縮小ではなく、リニューアルオープンといったところか。

「バーガーキングはそもそも全国100店舗しか展開していませんでした。そのためマクドナルドのようにマス広告を打てるだけの余力がない。加えて高価格でもなければ低価格でもないメニューですので、飽和状態にあるハンバーガーチェーン業界にあっては、消費者の選択肢に入りづらいです。戦略を見直し内装を変えたところで、大幅に売り上げが伸びるとも思えません。やるも地獄、やらぬも地獄です」

 バーガーキングもさることながら、サブウェイのような「プチプレミアム価格帯」と「限られた時間帯に訴求する営業形態」は、現状ではかなり“崖っぷち”だという。

「直近の例ですと、モスバーガーも第二のサブウェイになる可能性があります。プチプレミアムな価格と特定の時間帯の集客モデル、時間のかかるファストフードはサブウェイと近く、売り上げも相当厳しい数字が出ています。まだモスの場合は、朝も晩もそれなりにはメニューがあるので、V字回復の可能性もありますが…」

 モスバーガーを運営するモスフードサービスは2018年10月に、2019年3月期連結決算の最終損益が8億円の赤字になる見通しだと発表している。8月に発生した食中毒が原因だと言うが、2018年3月期連結純利益も前年比19%減の24億7000万円と業績は芳しくなかった。

 いずれにせよ、プチプレミアム価格帯などの“割高感を感じる”飲食店への風当たりは、かなり厳しいといえよう。

居酒屋は行き詰まり

吉野家にも陰り

 では、第二のサブウェイとなる可能性があるチェーンは他にもあるのだろうか。平野氏はこう話す。

「居酒屋はどこも厳しいですね。サブウェイやモスバーガーとは逆で、ほとんどが夜の時間帯でしか集客できていません。また、ファミレスからファストフードまでアルコールを提供するようになり、猫も杓子も“ちょい飲み”を展開しており、居酒屋はアルコールで稼げなくなりつつあります。昔のように居酒屋で大騒ぎする文化も衰え、会社の飲み会も減りつつあります。今後も大規模飲み会などは減り続けます」

「吉野家」「すき家」といったいわゆる牛丼チェーンの場合、価格帯が似たり寄ったりで各社とも明確な違いを打ち出せておらず、どこも一長一短だという。特に吉野家は4月11日に発表された2019年2月期連結決算で、約60億円の赤字が判明したばかりだ。

 一方では、絶滅に瀕したチェーン店でも、見事な回復を見せた企業がある。

「マクドナルドは、一時期、絶滅危機にありましたが回復しています。リストラが功を奏したこともありますが、復活の最大の理由は好立地を確保していることでした。とにかく、飲食も小売店も好立地なら、あとは、てこ入れ次第でどうにかなります。モスバーガーのような路地裏中心の場合、メニューと価格設定に失敗すると、てこ入れが難しいのとは対照的ですね」

 10年間で不採算店を200店舗閉鎖したファミレスの雄、デニーズはサバイバルを懸けての起死回生策をスタートした。

「デニーズも閉鎖して残ったのは好立地の店舗が多いです。最近、高級メニューで単価の高い新店舗『デニーズダイナー 八雲プレステージ』をオープンしています。ただ、この『高級化路線』は飲食店の手詰まりを表しています。マーケットは小さい。富裕層の多い地域限定ですね。ただし、レストランである以上、この方向にいくしか成長の道はないともいえます」

業界全体が「レッドリスト」

市場規模は右肩下がりに

 サブウェイやモスバーガーなど、プチプレミアム価格が受け入れられない。「高級と低価格の二極化になる」のはマーケティング論の基本だと平野氏は言う。それが意味するものはなにか。

「中間価格帯のチェーン店が軒並み売り上げを落とせば、生き残りを図り、超高価格路線か超低価格路線に分かれます。ただ、食品の価格が高騰、人件費も高騰している現在では、超低価格を続けていくのは不可能に近い。そうなるとデニーズにもみられるような、超高級路線は残された最後の一手となるのです。

 ただし、どの外食産業も同じ方向に進んでいくでしょうから、あおりをくらうのはミシュランガイドに載るような、和食文化を支える中小零細飲食店。そうなると、日本の食文化の衰退を加速させる可能性もあります。グルメ志向の強い評論家としては憂うべき事象でもあります」

 平野氏によると、「そもそも飲食産業自体の市場規模は、社会の高齢化などと比例して右肩下がりの状態」で「楽な会社はほとんどない」。現在、好調な企業でも長く続く保証はなく、いわば業界全体がレッドリストに入っているようなものだ。

「大半の外食企業がサブウェイなどの報道を見て『明日は我が身』という実感でしょう。もはや外食産業の業種、業態にフロンティアはありません。どこかが伸びればマネをされ、どこかがつぶれた立地が好立地なら、その穴を埋めるべく他社が借りて出す、ということの繰り返しで、出店数も飽和状態。人口減少で減り続けるパイを、各社が手を替え品を替え奪い合っていく『終わりなき消耗戦』を、この20年間続けています。今後も外食日銭商売が、銀行が“貸せる”産業である限りは続きます」

 スクラップアンドビルドを繰り返し、徐々に衰退していくジリ貧の外食業界に、明るい未来はあるのだろうか。

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