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「初対面」で好印象を残せない人の意外な特徴 コミュニケーションの基本を忘れていないか

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/04/09 08:00 中島 輝
ビジネスの場において、初対面のときに大切なことは何でしょうか(写真:yusuke-k / PIXTA) © 東洋経済オンライン ビジネスの場において、初対面のときに大切なことは何でしょうか(写真:yusuke-k / PIXTA)

 事務用品メーカーの営業部で新規開拓を担当しているAさん(27歳)はまじめな性格。初めて訪問する会社のことはきっちり予習してから訪問するので、その会社の経営理念から資本金の額まで、細かく頭に入っています。

 それなのに帰社してから報告を聞くと、「名刺交換の仕方がまずかったのではないか」「お茶を先に飲んでしまったような……」など、口から出るのは自分のミスばかり。一方で応対した担当者の印象を聞くと、不思議なことにまったく覚えていません。

「初対面」に潜む落とし穴

 かたや同じ部署のBさん(28歳)は、口下手で内気な性格。一見すると営業マン向きでないように見えますが、報告を聞くと、相手のことは仕事に関することはもちろん、ネクタイの色から好きな野球チームに至るまで詳細に覚えています。提案力ではAさんに劣るものの、営業成績はBさんのほうが圧倒的に上回っていました。

 2人の差はいったいどこにあるのでしょうか。それは初対面でのコミュニケーションの取り方にあります。

 ビジネスの場において、初対面のときに大切なことは何でしょうか。それは、相手にもう1回会いたいと思ってもらうことです。初めて会って商談が成立することは、まずありません。会う回数を重ね、信頼関係が構築されてはじめてビジネスにつながるのです。ところがAさんのように、初対面での接し方を間違ってしまったがために、次がない残念な人は少なくありません。

 初対面での会話がうまくいかないパターンは、大きく分けると2つあります。1つは、自分が一方的に話してしまい、相手から距離を置かれてしまうパターン。もう1つは、会話が続かず、ぎこちない雰囲気のまま終わってしまうパターン。一見するとまったく異なるように見える2つの失敗パターンですが、実は共通点があります。それは、自分のことを話すことに意識が向いてしまっていることです。

 一般的に自己紹介は、いかにしてインパクトを残すかに主眼が置かれがちです。しかし、人間は初対面の人に対して、防衛本能が働きます。自分や会社のことをどんどん売り込んでくるような営業マンに対しては、防衛本能がより強く働き、心のシャッターは閉じてしまいます。

 人間には相手を第一印象で意味付けしてしまう性質がありますが、一度付いたイメージを覆すのは容易ではありません。しかも、初対面で悪印象を与えてしまうと、二度と会えずに挽回のチャンスすら与えられないことも多々あると思います。反対に、初対面で相手の防衛本能を取り除き、良い印象を与えることができたら、そのあとの信頼関係の構築がずっと容易になるでしょう。

 それを達成するために、3つの行動心理に基づいたテクニックをご紹介します。

相手に安心感を与える“5 YES”

 まずは「ラポール」形成です。ラポールとは臨床心理学の用語ですが、簡単に言えば、信頼関係のことです。信頼があれば安心感が生まれ、「この人ともう1回会ってもいいかな」という意識が芽生えるようになります。

 具体的には、 “5 YES“を意識するといいでしょう。

 5 YESとは、会話の中で“YES”の言葉を5つ集める会話の方法です。相手の話に対して「そうですよね」「なるほど」「すごいですね」と同意(YES)したり、「きれいな模様のネクタイですね」「落ち着く声ですね」と相手を承認(YES)したりすることで、相手にYESを伝えていきます。「今日はいいお天気ですね」など、相手からの同意(YES)をもらいやすい言葉がけも有効です。

 多すぎるとわざとらしくなりますが、5回ほどYESを繰り返すことで、防衛本能は取れていきます。冒頭に登場したAさんの頭の中には、自分が話そうとすることばかりが占めていたため、“YES”が5回どころか1回もありませんでした。相手はAさんが何を考えているのかがわからず、不安に感じたことでしょう。

 相手に話してもらうといっても、単に質問攻めだけでは信頼関係は築けません。そこで大切なのが、2つ目の「返報性の原理」です。相手が話したことを鸚鵡(おうむ)返しに繰り返したり、要点をまとめて伝えることで、“傾聴”や“承認”を示します。つまり、話をしっかり聞いているという姿勢を相手に示してあげるのです。

 ここで重要なのは、技術うんぬんよりも相手を尊重し、関心と興味を持つこと。初対面のときは普通、相手に話がちゃんと伝わっているかドキドキするものです。話をしっかり聞いてくれる人に対しては安心感が高まり、きっと心を開いて話してくれるはずです。Bさんは口下手ですが、相手が話したことの要点をまとめて伝えることは上手でした。それが顧客に安心感を与えたのです。

 これは、上司と部下、あるいは既存客との会話でも同じです。「今日はC社とD社を訪問しました」と報告したのに、上司から「わかった」しかリアクションがなかったらつらいですよね。「C社とD社ね」と繰り返してから、「わかった」とリアクションされたほうが、部下は聞いてもらったと感じるでしょう。

相手との距離を縮める「希少性」を探す

 傾聴して承認するためには質問力も重要になりますが、そこでも大事なのは、相手の話を聞こうとする意識です。自分が話そうとすることばかりが頭の中を占めていると、Aさんのように、相手の話すことが耳に入ってこなくなるのです。

 トイレのドアをノックする際、軽く“コンコン”とされたら“コンコン”と返しますが、“ドンドン!”とされると、“ドンドン!”と返したくなりますよね。質問も同じです。相手に興味を持って、「おもしろいお仕事をされているんですね」と話しかければ、「そうなんですよ」と返してくれ、話がどんどん広がっていきます。

 そうはいっても、初対面が苦手な人は、相手に何を聞いていいかわからないかもしれません。そこで3つ目のテクニックである「希少性の原理」を意識してみましょう。

 たとえばお互いの出身地が同じというだけで、途端に話が盛り上がったという経験はありませんか? 共通点というのは、会話の糸口になります。“偶然の一致”を探し、共通点があってうれしいことを相手に伝える。それが積み重なれば極端な話、相手は運命を感じてくれるかもしれません。そうした関係性を構築するためにも、相手に興味を持つことが不可欠なのです。

 話を聞くだけでなく、受け取った名刺からも偶然の一致が見つかることはあります。たとえば相手のオフィスの場所が自宅と近ければ、それだけで会話のきっかけになります。

 これら3つのテクニックはすぐに身に付くものではありませんが、日頃の心掛け次第で、その力を養うことは可能です。

まずは同僚に関心を持ってみよう

 私の実家は商家だったため、親戚と年に数回は集まって外で食事をする機会がありました。その時に私たちのテーブルで給仕する店員さんは大忙しでした。私の両親からいろいろと質問されるからです。

 「彼女はいるの?」とプライベートのことまで聞くのですが、彼女がいれば「その彼女さんは幸せね」、彼女がいないと「こんなにいい男なのに珍しい」など、どんな答えであっても”承認”していました。すると店員さんも気持ちよく給仕できるようで、店長さんからよく「うちの子がすごくやる気になっています」と感謝されていました。

 このように、日頃接する店員さんなどに対して興味や関心を持つことで、傾聴、承認、質問のスキルは身に付くのです。

 初対面では2、3分で関係性を築いていかなければならないので、会話以外から情報を得るために、観察することも重要です。たとえば色黒の人に対しては「ゴルフをやっているんですか?」などと聞くことで会話が広がります。

 観察力を養うには、まず会社内の同僚に関心を向けてみてはどうでしょうか。たとえば髪を切ったり、新しいシャツを着ている同僚がいたら、そのことについて触れてあげます。そうした心掛けひとつで観察眼は養われますし、自然と相手を尊重し、関心と興味を持てるようになるはずです。

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