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あおり運転殺人で懲役16年くらった被告が獄中独白「はい終わりの意味は…」

AERA dot. のロゴ AERA dot. 2019/01/25 15:26
中村容疑者が追突した現場付近 (c)朝日新聞社 © Asahi Shimbun Publications Inc. 提供 中村容疑者が追突した現場付近 (c)朝日新聞社

 大阪府堺市で昨年7月、車をバイクに追突させるという「あおり運転」で、男子大学生を死亡させたとして殺人罪に問われた無職中村精寛(あきひろ)被告(40)の裁判員裁判の判決公判が25日、大阪地裁堺支部で開かれた。

 検察側は論告求刑で中村被告の運転を「まれにみる殺人運転」と主張。あおり運転を殺人罪に問う異例の裁判で注目された判決は、懲役16年(求刑懲役18年)だった。

 中村被告は昨年7月2日夜、堺市南区の大阪府道で乗用車を運転中、堺市西区の大学4年高田拓海さん(22)運転のバイクに追い抜かれたことに腹を立てて追跡。高田さんが死ぬかもしれないと認識しながら時速96~97キロで追突し、殺害したとされる。

そんな中村被告に筆者は拘置所で面会。事件の真相や心境について聞いてみた。

「お亡くなりになられ、お詫びするしかありません」

と述べた中村被告。

 だが、「あおり運転」と報じられることには、納得ができないようで、中村被告はこう主張した。

「あおり運転していたなら、危険運転過失致死など別の罪で起訴されていますよ。だから、あおり運転ではない。私がブチ切れて、バイクを追いかけあえて追突して殺害となっていますが、激怒したこともない。私の存在をバイクに知らせようとしただけ。それは、ドライブレコーダーの動画でも明らかです」

 この裁判で最大の証拠となっているのは、ドライブレコーダーの動画だ。法廷では約2分間が公開され、バイクに追突直後に「はい、終わり」と中村被告がつぶやいた音声が残っていた。中村被告はその意味をこう語る。

「はい終わりの意味は、法廷でも言った通りです、車を運転する仕事をしているのに、ビール飲んで事故を起こしてもう自分は終わってしまったと思い、出た言葉。検察側はあたかも、バイクにぶつけてやった、ざまあみろと言わんばかり主張していますが、そういう意味ではない」

 そしてドライブレコーダーの動画についてもこう不満を漏らした。

「実際は20分ほどドライブレコーダーの動画はあるのに、法廷で公開されたのは2分ほどだけ。『はい、終わり』の後にも、いろいろな言葉を発している。私がバイクの方の救護措置をしている場面も、映っています。あおり運転、殺人運転だと検察側は言い、裁判員裁判で印象が悪くなるばかり。ライブレコーダーの動画を記録したSDカードを隠し持っていたようなことを、検察は主張しましたが、それは逆です。万が一、消えてはダメだとあえて残したのです。すべてを公開してくれたら、もっと真相がわかるのですがね」

 筆者が「ドライブレコーダーの動画がすべて公開されると、刑が軽くなると思うのか」と質問すると、「そうだと思います」と答えた。

 そして、事件前にビール2杯を立ち飲み屋で飲んだことについても質問すると、返答に窮した。

「それはあまり言いたくない。酔っぱらっていた?そりゃ、お酒飲めば誰でも酔っ払いますよ。けど、警察のアルコールチェックでは問題がなかったのも事実。だから、道路交通法の飲酒運転に当たるものでも、罪を問われなかった。あおり運転でもない、残るは殺人罪で起訴するしかなかったということです。さすがに(殺人罪で起訴と言われて)ショックでした」

 判決についてはこう述べた。

「最悪の場合も考えてはいます。控訴するか、よく考え決めます」

 判決は中村被告の主張をことごとく退け、殺意を認め、「被害者のバイクを追跡していないと中村被告は虚偽を述べ、罪を償う姿勢がない」

と断罪した。

 今日の判決をどう受け止めているのだろうか?(今西憲之)

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