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イチゴの授粉にハエ、ハチの弱点補う 医療でも熱視線

朝日新聞デジタル のロゴ 朝日新聞デジタル 2019/10/21 16:10 朝日新聞社
養蜂場でジャパン・マゴット・カンパニーの佐藤卓也社長(右)に巣箱を見せる、アピの中野剛さん=岐阜県各務原市、上田潤撮影 © 朝日新聞社 養蜂場でジャパン・マゴット・カンパニーの佐藤卓也社長(右)に巣箱を見せる、アピの中野剛さん=岐阜県各務原市、上田潤撮影

 イチゴやメロンといった農作物がきれいな実をつけるには、ミツバチが欠かせない。蜜を吸い花粉を集める際に、めしべにまんべんなく花粉をつけてまわるのだ。そんなミツバチと一緒に、ハエを授粉に用いる農家が増えている。ミツバチの弱点を補って収穫量が増え、しかも医療分野への貢献にもなっている。

 「これ1枚で2千~3千匹。働きバチのほとんどがメスです」。授粉用ミツバチの販売を手がけるアピのミツバチ課長代理、中野剛さん(47)が巣箱を開けて説明する。各地から集められたセイヨウミツバチは、ここから全国津々浦々の農家のもとへ発送される。

 ただ、ミツバチも万能ではない。気温が低すぎたり高すぎたりすると巣箱から出てこなくなってしまう。太陽の光が見えないとうまく働けないこともある。2010年前後には、世界各地でミツバチが大量死する問題も発生した。

■新聞記事がヒントに

 そんな中、17年5月に中野さんはある新聞記事を見つけた。ハエの一種ヒロズキンバエが授粉に使えるという。早速、そのハエをつくっている岡山市のジャパン・マゴット・カンパニー(JMC)へ。中野さんの「授粉用のハエを販売させてほしい」との申しでを、JMC社長の佐藤卓也さん(58)は快諾した。

 JMCは05年に設立。ヒトの壊死(えし)した部分をハエの幼虫(ウジ)を使って取り除く「マゴットセラピー」向けに、日本で初めて無菌状態でのウジの生産に成功した。従来なら患部を切断するような症例でも、切断せずに済むような治療も可能となった。だが、こうした治療は公的医療保険が適用されない自由診療。導入する医療機関は思うように広まらず、JMCの経営も不安定だった。

 そこで佐藤さんが目をつけたのが農業だった。「ハチ(ビー)のような働きをするハエ(フライ)」という意味で「ビーフライ」と名付け、11年に農家向けの出荷を始めた。JMCと提携したアピは、農家に出荷するミツバチにビーフライの案内をつけて宣伝。評判は徐々に広まり、これまでにビーフライを導入した農家は全国で500軒を超えた。

 愛知県豊田市のイチゴ農家、成瀬太貴さん(23)は今年2月ごろにハチの働きが悪くなり、いびつな形をした奇形果が多くなった。「試しにハエを入れてみたら奇形が出ず、『使える』と思った。今年の冬は正式に導入する」。島根県では、ビーフライの導入でイチゴの収穫量が6倍に増えた例も確認されたという。

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