古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

五輪中止なら都議選とW選挙か 「ポスト菅」不在…切り札は「再度の現金給付」?

AERA dot. のロゴ AERA dot. 2021/05/12 08:00
環境相 小泉進次郎(49) (c)朝日新聞社 © AERA dot. 提供 環境相 小泉進次郎(49) (c)朝日新聞社

 遅々として進まぬワクチン接種だが、東京五輪・パラリンピックの日程だけは着実に近づく。総選挙をにらみ、菅首相が切れるカードは数少ない。AERA 2021年5月17日号の記事から。

*  *  *

 永田町は今、「オリンピック」と「ワクチン」に政局が翻弄(ほんろう)されている。3度目の緊急事態宣言の成果も乏しく、これまで何が何でも五輪・パラリンピックはやると明言してきた自民党内からも「この状況では難しいのではないか」という声が広がりつつある。特に菅首相の危機管理能力の欠如に対する不信は決定的だ。

 5月5日、記者団のぶら下がり取材に応じた菅首相は、4都府県に発令中の緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置などの感染拡大防止策の成果を尋ねられ、こう回答した。

「人流については間違いなく減少した。効果が出始めている」

 そして、続けて感染者数の増加について記者に水を向けられると少し不機嫌にこう返した。

「今日の数字を皆さんご承知だと思いますけれど、感染者の人口が減少している。そうした効果は出始めてきているのではないかと思っています」

 これらを聞いたある自民党幹部は正直、驚いたと語る。

「人流についても、今日の数字についても、いつと比べてという根拠を全く語っていない。事務方から上がってきた資料の都合のいい数字しか念頭にないのだろう」

■五輪中止ならW選挙

 このまま緊急事態宣言を解除できず、5月中旬を過ぎても全国的に感染者数が減少しなければ「東京五輪・パラリンピック中止」が現実味を帯びてくる。求心力を失った菅政権は解散総選挙に踏み切るしかなくなる。最短で7月4日投開票の東京都議選に合わせたダブル選挙が有力視されている。この場合、東京五輪・パラリンピックという最強カードを失った政権が掲げる「旗」が問題だ。解散の名目としては菅政権のコロナ対策を世に問う「コロナ救国」解散だ。菅首相に近い自民党議員は不安しかないと訴える。

「考えられるカードは再度の現金給付くらいしかありません。それで戦えるかどうか。消費税の一時凍結くらいインパクトのある政策を打ち出せるかと言えば、今の政権にはできない。それほど五輪・パラリンピックを失うダメージは大きいのです」

 厄介なのは五輪・パラリンピック中止の責任を取れと党内で「菅降ろし」が始まるケースだ。結果、総選挙前に菅首相が政権を放り出し、自民党総裁選という可能性も、なくはない。しかし、現実的には肝心の「ポスト菅」が不在。次期総選挙は政権選択選挙にもなり得ることから、自民党関係者も頭を抱える。

 名前が挙がる筆頭は岸田文雄元外相だ。しかし、4月の参院の広島再選挙で敗北した経緯もあり、今、「ポスト菅」に名乗りを上げても支持する者がどれだけいるかは未知数だ。自民党最大派閥の細田派出身の安倍晋三前首相と、麻生派の麻生太郎財務相は、岸田氏を担ぎ次期政権に一定の影響力を持つことをもくろんだと噂されたが、それも難しくなった。

■消去法で残る河野氏

 石破茂元防衛相、野田聖子元総務相、小泉進次郎環境相と挙がる名前はあるが、政権選択選挙の「顔」になるまでの決定打になるとは言いがたい。そうなると、消去法で残るのが河野太郎氏ということになる。ただ、自民党内の評判はイマイチだ。自民党幹部の一人は河野氏についてこう評する。

「とにかく何を考えているか分からない一匹おおかみ。麻生派に所属しているとはいえ、派閥に媚びを売ることもない。発信力はあるだけに担ぐとなると一番面倒だ」

 菅首相は世論調査でも国民の7割以上が五輪の「中止・再延期」を求めている状況の中、「開催」を強行するのであれば、その理由を国民に対してしっかり説明するべきだ。緊急事態宣言も5月31日まで延長されることになった。各地で医療が逼迫し、変異株の猛威が日本列島を襲っている。国民の命よりも五輪・パラリンピックを優先する理屈は今、どこにも見当たらない。(編集部・中原一歩)

※AERA 2021年5月17日号より抜粋

AERA dot.の関連リンク

image beaconimage beaconimage beacon