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全方位ch 「美味しんぼ」富井に思いをはせる

産経新聞 のロゴ 産経新聞 2022/01/15 09:30

ツイッターを見ていたら、ある新聞社幹部に関する告発を見かけた。その幹部は株価大暴落のニュースを見て「ヘソクリがパアになった!」と叫んだという。告発主は「記者としての倫理や矜持(きょうじ)があるのでしょうか?」と疑問を呈する。告発はぬれぎぬだ…アニメでは。

告発されたのは東西新聞社-さまざまな料理や素材などに関する知識満載の漫画「美味(おい)しんぼ」に登場する架空の新聞社で、文化部副部長の任にある富井。主人公の山岡の上司で、眼鏡をかけ髪が後退しているキャラクターの人だ。なお、原作とアニメでは下の名前が異なる。

有料動画配信サービスでデジタルリマスター版のアニメを見返した。冒頭の発言が登場するのは「下町の温(ぬく)もり」という話で、アニメでは第85話にあったが、富井はそんなことを言っていない。

「(株を)売ろうと思ってたのよ。大損したわあ」と女性記者の田畑がこぼすと、富井は「(株は)八百屋で買っている」。機微な企業情報にも触れる記者として、株取引に手を出していないのだろう。

さらに株価暴落でアイドルと資産家の婚約が破談。富井は「大変だ」と職場のテレビのチャンネルをニュースに合わせている。記者としての習性を垣間見る。

記者以前に、大人としての矜持を感じられない面も多々見かける。上司にゴマをする。山岡の料理の知識や人脈で上司や客人が喜ぶ=自分の評価につながるとみると、山岡になびく。酒ぐせは相当悪い。

一方で富井は家が貧しく、父親の事業の失敗で大学に行けなかった弟との確執を抱える(第72話「代用ガム」)。戦時中は中国にいて残留孤児になりかけたそう。残留孤児のニュースに関心を寄せる姿が確認できた(第74話「黒い刺身(さしみ)」)。

富井はその歩みから志を抱き新聞社に入ったと推察する。記者として派手な武勇伝はないが、1人でも地道に報道を続けるタイプか…などと思いをはせながら、全話の視聴を終えた。そういう見方をする作品ではないと思った。(圭)

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