古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

短命に終わった「麻生政権・菅政権」と、いまの岸田政権の“ヤバすぎる共通点” 「青木方程式」から分析

現代ビジネス のロゴ 現代ビジネス 2022/09/29 05:00 鷲尾 香一

“最悪の自民党政権”と呼ばれた政権

岸田文雄政権の支持率が急落している。岸田政権の前の菅義偉内閣は1年1か月で崩壊した。岸田政権はまもなく1年を迎える。岸田政権は大丈夫なのだろうか。永田町では「政権の存続の指標」と言われる“青木方程式”で分析した。なお、内閣支持率、政党支持率はすべてNHK世論調査による。

photo by gettyimages © 現代ビジネス photo by gettyimages

“青木の法則”とも呼ばれる「青木方程式」は、自民党の青木幹雄元参院議員会長が経験に基づき提唱したもので、「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を下回ると政権は倒れる」という法則だ。

確かに、近年の政権が倒れた時の状況を見ると、青木方程式が当てはまるケースは多い。(表1)

表1 © 現代ビジネス 表1

第1次安倍政権以降、8人の首相が誕生しているが、このうち5人の政権は青木方程式が50%を下回り倒れている点を考えれば、青木方程式はある程度は信頼に値すると考えられる。

ただ、福田康夫政権は青木方程式が50%を下回ってから4か月間生き延びたし、麻生太郎政権は月1度の世論調査で4回も青木方程式が50%を下回り、“最悪の自民党政権”と言われた。

岸田政権の支持率推移

菅直人政権は4か月連続で50%を下回った後で倒れ、野田佳彦政権は1年4か月の政権期間のうち、12か月も50%を下回っていたことから、青木方程式は50%を下回ったからと言って、すぐに政権が倒れるというものではない。

一方で、第1次安倍晋三政権以降で青木方程式が50%を下回らなかったのは、安倍政権(第1次から第4次まで)と菅政権だけだが、それでも政権は倒れる。青木方程式が50%を下回っていないから“安泰”というものでもない。

安倍元首相の長期政権を引き継いだ菅政権は、不十分な新型コロナウイルス対策とワクチン接種対応への遅れに加え、衛星放送関連会社「東北新社」に勤務していた長男と総務省幹部らとの接待会食が明らかになったことが“引き金”となり、支持率の低下を招いた。

菅政権を引き継いだ岸田政権は、新型コロナ対策以外の政策に対して不満や批判が多く、加えて、旧統一教会と自民党議員の関係に対する説明不足や対応不足を指摘する声、安倍元首相の「国葬実施」に対する反対意見が支持率低下の原因となっている。

では、岸田政権の支持率と自民党支持率、青木方程式はどのように推移しているのだろうか。

内閣支持率がもっとも高かったのは、22年5月と6月の59%。自民党支持率がもっとも高かったのは、22年2月の41.5%だった。内閣支持率と政党支持率の合計である青木方程式がもっとも高かったのは、22年6月の99.1%だ。(表2)

表2 © 現代ビジネス 表2

青木方程式が急落

安倍元首相が銃撃によってお亡くなりになったのは7月8日。その後、7月16日から18日にかけて行われたNHKの7月世論調査では、内閣支持率は59%、自民党支持率は38.1%、青木方程式は97.4%だった。

調査時点ではすでに、安倍元首相を襲撃した犯人と旧統一教会との関連が報道され、さらに、複数の自民党議員と旧統一教会の関連も報道され始めていたことで、自民党支持率は6月世論調査の40.1%から38.4%へ1.7ポイント低下した。

だが、8月調査では自民党議員と関係が大きく広がり、岸田首相や自民党の対応に対する批判が強まった。加えて、安倍元首相の国葬が決まったことへの批判もあり、内閣支持率は7月の59%から一気に46%へ13ポイントも低下し、自民党支持率も38.4%から36.1%に2.3ポイント低下したことで、青木方程式は97.4%から82.1%へと15.3ポイントと大幅低下した。

青木方程式が1か月で15ポイントを超えて低下することは“非常に稀”で、菅政権では一度もなかった。ただ、麻生政権では31.0ポイント低下したケースがある。

そして、直近の9月世論調査では、内閣支持率は46%から40%に6ポイント低下、自民党支持率は36.1%から36.2%に0.1ポイント上昇し、青木方程式は82.1%から76.2%に5.9ポイント低下した。

麻生・菅政権はどうだったか

安倍元首相襲撃事件が引き金となって、自民党議員と旧統一教会との関係、安倍元首相の国葬が内閣支持率、自民党支持率の低下に結び付いたことは明白だ。

とは言え、岸田政権の9月世論調査での青木方程式は76.2%と危機ラインの50%を上回っている。それでも、政権が “安泰”ではないことは前述した。加えて、筆者には何点か気にかかる点がある。

第1次安倍晋三内閣以降、ほとんどの政権が1年程度、長くても約1年半で政権が崩壊している。福田康夫政権は365日、麻生太郎政権は358日、鳩山由紀夫政権は266日、菅直人政権は452日、野田佳彦政権は482日、菅義偉政権は384日といった具合だ。そして、岸田政権は21年10月4日発足なので、まもなく1年を迎える。

そこで、過去の政権の青木方程式を見ると、青木方程式が当てはまった典型例の麻生政権は、青木方程式がもっとも高かったのが発足時の08年9月の85.3%で、この時の内閣支持率は48%で自民党支持率は37.3%だった。

その後、内閣支持率、自民党支持率とも急激に低下し、政権発足の4か月後の09年1月に青木方程式は危機ラインの50%を割り込み、48.4%に低下した。麻生政権の1年1か月の間に青木方程式の50%割れは6か月もあった。(表3)

表3 © 現代ビジネス 表3

一方、青木方程式が50%を割り込むことなく倒れた菅政権の青木方程式は20年9月の発足時の102.8%がもっとも高い。この時、内閣支持率は62%。自民党支持率は40.8%で、共にもっとも高かった。

その後、菅政権は支持率を下げ続け、21年9月には内閣支持率が29%と発足時から33ポイントも低下、自民党支持率も33.4%と発足時から7.4ポイント低下し、青木方程式も62.4%と発足時から40.4ポイント低下して最低となった。(表4)

表4 © 現代ビジネス 表4

3つの政権の共通項

この麻生、菅、岸田の3つの政権の青木方程式には、何の共通項もないように見える。そこで、3つの政権の発足後の青木方程式の動きを1つのグラフにまとめてみた。(表5)

表5 © 現代ビジネス 表5

各内閣の青木方程式の水準は違うものの、1つの共通する動きは政権発足から9か月、10か月で青木方程式の数値が低下し始めることだ。この共通項は安倍政権を除く、多くの政権でも見られている。

そして、麻生、菅の両政権では、内閣支持率が自民党支持率を下回ると、青木方程式が大きく低下を始めている。前述のように、岸田内閣の直近9月の内閣支持率は40%、自民党支持率は36.2%と両者はかなり接近している。

さらに、麻生、菅政権とも、政権期間中に青木方程式が前月よりも“7回低下”した後に倒れている。他の政権でも同様の傾向が見られ、どうやら青木方程式の7回の低下というのは、政権にとっては一つの“鬼門”のようだ。現在、岸田政権の青木方程式は“6回低下”している。

このように、岸田政権は(1)10月に発足1年を迎える、(2)政権発足10か月目から青木方程式が低下している、(3)内閣支持率と自民党支持率が接近している、(4)青木方程式が6回低下している―という状況にある。

従って、10月の世論調査で内閣支持率、自民党支持率、そして青木方程式がどのように変化するのかは、岸田政権の存続を占う上で大きな意味を持ちそうだ。

現代ビジネス の関連リンク

image beaconimage beaconimage beacon